• Celonisロゴ前に立つ山下氏

    Celonis株式会社 執行役員 営業統括本部 統括本部長 山下一将氏

ビジネス環境が目まぐるしく変化するなか、企業が競争力を保ち、さらなるチャンスをつかむためには、スピーディーかつ継続的な業務改革が求められる。一方で、業務改革に向けてRPAツールやSaaSを導入したり、外部ベンダーのコンサルティングを受けたりするも、思ったような成果が出ないだけでなく、そもそも効率化すべき業務を見極められないといったケースは多くある。この大きな要因の1つに、自社プロセスを完全に、そして、正しく可視化できていないことが挙げられる。

業務を可視化するうえで有効なのが、「プロセスマイニング」という手法だ。前編である今回は、欧米で広く採用されているプロセスマイニングが求められている背景やそのメリットについて、Celonis執行役員 営業統括本部 統括本部長 山下一将氏に聞いた。

IT投資の効果が出ない理由とは? プロセスの可視化がカギに

デジタルトランスフォーメーションが加速するとともに、国内外におけるIT投資が活発になっている。しかしながら、多くの企業においてビジネス効果や事業価値につながらないIT投資が発生しているのも事実である。

フォレスターコンサルティングが行った各業務領域における各社の業務実行能力の調査※を見てみると、納期遵守率はトップ企業が98.9%であるのに対して、平均が42.8%、タッチレス請求書処理率はトップ企業が85%であるのに対して平均が27%などとなっており、多くの企業においては依然として改善の余地が大いにあるといえる。山下氏によると、End to Endの業務実行状況の可視化が難しく、現行業務のプロセスが明らかになっていないことがこの要因の1つにあるという。実際に、同調査においても「自社プロセスを完全に可視化できている」と回答した企業は16%にとどまっている。

  • 納期遵守率トップ企業と平均の差

    ※「Trends in Process Improvement and Data Execution, A commissioned study conducted」, フォレスターコンサルティング(Celonisの代行として), 2022年1月

客観的なデータをもとに、業務プロセス全体を可視化するプロセスマイニング

こうした背景のもと注目されているのが「プロセスマイニング」だ。プロセスマイニングとは、既存システムのイベントログデータを利用して組織内のビジネスプロセスを自動的に分析し、具体的な業務の流れやパフォーマンスを可視化することで、改善点を特定し最適化していく手法を指す。たとえば、注文書受理から請求書消込までのOrder to Cashのプロセスの場合、業務システムから伝票番号やその処理内容と日時のログデータを読み取ることで業務プロセスの全体を可視化し、どこがボトルネックになっているのかを特定し改善していくという流れになる。

  • Celonisプロセスマイニングはイベントログを業務システムから抽出し、業務プロセスを可視化する

実はプロセスマイニングの歴史は古く、1990年代に学術的な研究において提唱された概念で、2000年代に入ると企業でも取り入れられるようになった。現在では、デジタル化された環境での業務の進行状況や問題点をデータに基づいて客観的に捉え、改善や最適化につなげるための強力なツールとして位置づけられている。

日本では、机上で現場の担当者にヒアリングをしながらTo-Beの業務プロセスをモデリングしていくBPM (ビジネスプロセスマネジメント)を採用している企業は多い。しかし、この手法ではプロセスマイニングに比べて時間が掛かるほか、コンサルティングファームに依頼するため高コストであり、継続的な取り組みになりづらいといった課題がある。また、ヒアリングの対象者が限定されることで全体像がつかみづらく、主観的かつ部分的な理解にとどまってしまうおそれもある。こうしたアプローチの課題に対するプロセスマイニングのメリットについて、山下氏は次のように話す。

「特に日本企業の場合は、個別最適な業務改善になりがちです。プロセスマイニングは、テクノロジーを活用することで、客観的なデータをもとに局所的な業務ではなく業務プロセス全体を可視化できます。LOB(Line of Business;事業部門)とIT部門が一緒になって業務改善に取り組んでいくことを考えると、データを共通言語に議論できるのも大きなメリットとなります。プロセスマイニングにより、日々の業務実行状況をリアルタイムで確認しながら継続的な改善を行っていくことが可能となります」(山下氏)

  • インタビューに答える山下氏

2019年に日本に上陸したプロセスマイニングプラットフォーム「Celonis」

Celonisは、プロセスマイニング研究の第一人者であるウィル・ファン・デル・アールスト博士の知見をベースに2011年、ミュンヘン工科大学発のスピンオフ・スタートアップとして創業。プロセスマイニング領域のパイオニアとして市場を牽引してきた。日本法人の設立は2019年。業務の可視化からモニタリング、継続的な改善をワンストップで実現できるプロセスマイニングプラットフォーム「Celonis Execution Management System(EMS)」を提供しており、多くの大手企業や組織が採用している。

Celonis EMSの特長は、多くのERPやBPMシステムとの統合が可能であり、さまざまなデータソースからの情報を取り込むことで、End to Endのビジネスプロセスをリアルタイムで可視化・分析できる点にある。また、改善策の実行からその後のモニタリングまでワンストップで実施していくことも可能だ。

たとえば製造業の場合、需要→調達→生産→販売プロセスにおける逸脱の発生状況をすべて可視化し、外部市場やオペレーションを正確に捉えることで、所要量計画や販売見込計画を作成する際の標準納期・安全在庫といった前提条件を常に最新のものとし、適切な在庫管理を実現できる。

山下氏はCelonis EMSについて「プロセスマイニングによって可視化、分析するだけでは業務改革にはつながらず、その結果突き止めた課題をどのように解決するかが最も重要なポイントです。Celonisでは、業務プロセス上の改善機会を自動的に明らかにし、改善のためのアクションを推奨するインテリジェンスを提供しています。また、ノーコード・ローコードで改善アクションを実行するところまでを同一プラットフォーム上で実現可能です」と説明する。

“バリューパートナー”として顧客価値を実現させるCelonis

Celonis EMSは、業務改善のインサイトを得るためのツールとしてだけでなく、ビジネス全体の成長や変革を実現するための価値創出パートナーとしても高く評価されている。ERPを含む、“情報の蓄積”を目的とした基幹システムSoR(System of Record)、“顧客接点”を強化するSoE(System of Engagement)が各部門に散在するなか、Celonisはこれらを土台に価値を生み出すSoV(System of Value)という位置づけだ。

  • Celonisが提供する世界

Celonisでは、PoV(Proof of Value)と称して、実際にユーザー企業の業務データを使用したワークショップを通じて、Celonis EMSの導入により得られる価値を検証する活動も行っている。また、国内においては「バリューパートナー」をキーワードに掲げ、各ソフトウェアベンダーと連携することで、顧客の価値創出に向けたエコシステムの拡充にも積極的に取り組んでいるという。

「当社では、トップのメッセージとしてお客様の価値創出にコミットしていく方針を掲げています。さらに、価値の特定から実現までをカバーした当社の『バリューフレームワーク』により、価値を数値として捉えて実現していくことが可能です。Celonisは一過性のツールを提供するのではなく、客観的なデータをもとに継続的な改善を行うことで、ビジネス価値を創出していくためのプラットフォームでありたいと考えています」(山下氏)

一見自社の業務プロセスに問題がないように見えても、見えづらいところにボトルネックがあるかもしれない。また、めまぐるしく変わるビジネス環境において、解消すべき課題も変化する。Celonis EMSを活用して、継続的な業務プロセス改善に取り組んでみてはいかがだろうか。

前編となる本稿では、日本企業における業務プロセスの課題解決に有効な手段として、プロセスマイニングの価値を紐解いてきた。後編ではプロセスマイニングの具体的な進め方や、次世代のプロセスマイニング「オブジェクト・セントリック・プロセスマイニング(OCPM)」について紹介していく。

企業プロフィール

Celonis株式会社
〒100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目6番5号丸の内北口ビルディング9階
HP:https://www.celonis.com/jp/
メール:info.japan@celonis.com

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