クリーニング店向けPOSレジシステムを全国展開する株式会社ライトでは、POSレジや無人受け渡し機から収集されるデータの保護に課題を抱えていた。同社ではさまざまなデータを「Oracle®Database Standard Edition」で一元管理し、災害対策ソリューション「Standby Express」で保護する体制だったが、災害対策ソリューションのサポートが終了し、対応を迫られていたのだ。そこで採用したのが「Dbvisit Standby」だ。同社は、販売パートナーの株式会社システムサポートとタッグを組み、容量6TBのデータ移行を含めたシステム移行をわずか6時間の業務停止時間で完了させ、災害対策の高度化を実現した。

  • 株式会社ライト  カスタマーサクセス部 エンジニア  小林 哲也 氏

    株式会社ライト カスタマーサクセス部 エンジニア
    小林 哲也 氏

  • 株式会社システムサポート 東京支社 インフラソリューション事業部 蕗谷 季樹 氏

    株式会社システムサポート 東京支社
    インフラソリューション事業部 蕗谷 季樹 氏

POSレジでクリーニング業界をリードするライトが直面したデータ保護の課題   

1933年に創業し、クリーニング用タック(番号タグ)やクリーニング店向けPOSレジシステム、24時間対応の無人受け渡し機などを展開する株式会社ライト。タックにおいて業界トップシェアを誇るほか、全国数千店舗で採用されているPOSレジ「あずかりくん」、無人受け渡し機「マジックシェル」、IoTを活用したクリーニング工場の商品管理などさまざまな商品・サービスで業界をリードする存在だ。

そんな同社がビジネスを継続させていくうえで直面した課題の1つがPOSレジや無人受け渡し機などで管理する顧客データや商品データの保護だ。ライトのカスタマーサクセス部 エンジニア 小林 哲也氏はこう話す。

「クリーニング業界は人手不足が深刻化していて、POSレジに代表されるITシステムによる業務の効率化と、さまざまなデータを活用したお客様向けサービスの拡充が重要になっています。ライトでもPOSレジのサービスを通して多くのクリーニング店の取り組みを支援しています。ただ、利用店舗の増加やサービスの拡充とともに、管理すべきデータが増え、データのバックアップや災害対策をどのようにしていくか改めて考える必要がありました。特に、長年使用していた災害対策ソリューションが販売終了となり、2023年12月にサポート終了を迎えることが喫緊の課題となっていました」(小林氏)

ライトが提供する各種サービスは、データベース基盤として「Oracle Database Standard Edition(SE)」を採用し、災害対策ソリューションとしてはこれまで「Standby Express」を利用していた。データはメインサイトとなる首都圏のデータセンター拠点に保存し、Oracleの基本スタンバイ機能を用いてデータベースを日本海側のデータセンター拠点にレプリケーションし災害対策サイトとして運用するという構成だ。

「2019年にStandby Expressの販売終了がアナウンスされてからすぐに社内で対応策の検討に入りました。代替ソリューションを検討するなかで、Dbvisit Standbyの存在を知り、その販売代理店だったシステムサポートさんから、システム切り替え方法やデータ移行の方法、Oracle Databaseのバージョンアップへの対応などを含め、手厚い支援を受けました」(小林氏)

データ総容量は6TB以上、テーブル数は200以上、データ件数は数十億件規模

ライトがOracle Databaseで管理しているデータは多種多様だ。POSレジを利用している全国数千店舗から1時間ごとに受付データなどが転送されてくるほか、無人受け渡し機やクリーニング工場からはIoTデータなどが日々収集・蓄積されている。

「10数年にわたってサービスを提供していますが、基本的にあらゆるデータはOracle Databaseに蓄積され、資産として活用できる状態になっています。データの総容量は6TB以上、テーブル数は200以上、データ件数は数十億件規模に及びます。データ項目は1件あたり30以上になるものがほとんどで、トランザクション量は1日あたり数百万件に達します。個人情報などの機微情報を含むデータも数多くあります。データの容量を管理することはもちろん、日々更新されるデータを安全に確実に保護し、災害や障害が起こったときに迅速に復旧できるようにしておくことが不可欠です」(小林氏)

しかし、取り扱うデータ量や種類の増加にあわせて、バックアップやレプリケーションにかかる時間は少しずつ増えてきていたという。データベースサーバーからNASへのバックアップは日次でフルバックアップしていたが、バックアップ完了までに16時間かかるようになっていた。また、レプリケーションの同期間隔も最短で10分に1回に設定することが限界だった。

「システム障害や災害対策の際には、できるだけリアルタイムに近い状態で復旧することが理想です。今後、データ量や種類は増えていくことを考えると、災害対策ソリューションは単に同じ機能を持った製品を切り替えるだけでなく、より高いパフォーマンスを発揮できる環境をつくることが重要でした。また、サーバーやハードウェアのリプレース時期とも重なったため、Oracle Databaseの11gから19cへのバーションアップにも同時に取り組みました。こうした事情を踏まえて丁寧に対応してくれたのがシステムサポートさんだったのです」(小林氏)

Oracle Database SEで利用できる災害対策ソリューションDbvisit Standby

システムサポートが国内提供するDbvisit Standbyは、Oracle Database SEで利用できる災害対策ソリューションだ。Oracle社が提供する災害対策ソリューションとしてはOracle Data Guardがあるが、利用にはEnterprise Edition(EE)が必要になり、SE環境では利用できない。これに対し、Dbvisit Standbyは、Oracle Data Guardに匹敵する機能を有しながら、SE環境で利用できることが最大の特徴だ。システムサポート 東京支社 インフラソリューション事業部 蕗谷 季樹 氏はこう説明する。

「Dbvisit Standbyは、Oracle Database SE向けの災害対策ソリューションとして110カ国1300超の組織に導入実績のあるソリューションです。Oracle Data Guardが備えるさまざまな機能を代替しながら、ライセンス・サポートコストを最大80%削減することも可能です。また、Webブラウザを利用したGUIによる直感的な操作のほか、スタンバイデータベースと環境の自動作成、リアルタイムのモニタリング、アーカイブログ転送時の暗号化など、高度で優れた機能を提供することが特徴です。当社はDbvisit Standbyの国内売上トップのパートナーとして数多くの日本企業をサポートしています」(蕗谷氏)

ライトがDbvisit Standbyの存在を知ったのは、製品検討の際に行ったWeb検索がきっかけだったという。もっとも採用の決め手になったのは、問い合わせ後の面談であった。担当者に会い、システムサポートの技術力や提案力を肌で知ったことで、ほぼその場でDbvisit Standbyの採用を決めたのだ。

「代替ソリューションとして複数の製品やベンダーを検討したのですが、われわれの事情を考慮しながら、Oracle製品に対する知見やノウハウをもとに提案してくれたのはシステムサポートさんのみでした。たとえば、6TBのデータをできるだけ業務停止せずに移行したいというニーズがありましたが、それに対して『ダイレクトパスインサートというOracleの機能を使えば6~8時間で可能』と具体的に提案してくれました。全体のプロジェクト期間も短く、サーバ-構成やOracle Databaseの各種設定も含めてサポートしていただけることがわかりました。納期、提案内容、技術への信頼感からシステムサポートさん一択という状況だったのです」(小林氏)

ダイレクトパスインサート機能を活用し、6TBのデータ移行を6時間で実施

システム移行作業は2022年11月頃から本格化した。実際の作業のなかでシステムサポートの技術力にあらためて気づかされることになったという。実際の移行作業で課題になったのは6TBのデータをどう効率良く移行するかということだ。

「データを精査したところ、単にダイレクトパスインサートを使うだけでは時間内にデータ移行が終わらないことがわかりました。そこですべてのデータのなかから、似た特性を持つ複数のグループに分け、それぞれを並列で処理するというアプローチを採用しました。最終的に13のグループに分け、2~3並列で処理することで時間内に移行できるメドが立ったのです」(蕗谷氏)

また、サーバーやハードウェアのリプレースにともなって、メモリの割り当て不足によってOracle Databaseのパフォーマンスが十分に発揮できなくなる可能性もあった。そこで、サーバー構成と設定を見直し、搭載メモリ768GBのうちの8割をOracle Databaseに割り当て、各種パラメータも調整するといったチューニングを行ったという。こうした対応について小林氏は「われわれも気づかなかったことで、Oracleに対する知見とノウハウを持っているシステムサポートさんだからこそできたことだと思います」と高く評価する。

小林氏は「移行当日は、進捗をメンバーで見守っていましたが、途中でコピー処理が極端に遅くなり、緊張が走ったこともありました。ただ、すぐにプログレスバーがどんどん進み、時間通り移行を終えることができました。」と、両社による密接なタッグがプロジェクト成功の最大の要因だったと振り返る。

レプリケーションやバックアップ時間の短縮で事業継続性を強化

Dbvisit Standbyは2023年5月から本稼働したが、すでにさまざまな効果を生んでいる。まず挙げられるのは、10分に1回だったレプリケーションが10秒に1回に短縮されたことだ。

「これにより、災害や障害からの復旧時に事業インパクトを最小限にすることができました。障害からの復旧時間も高速化していて、監視をリアルタイムで行うこともできるようになっています。さらにDbvisit Standbyは、災害対策のテスト機能も備えています。今後はそうした機能を活用しながら災害対策をさらに高度化させていくつもりです」(小林氏)

また、バックアップも大幅に高速化した。システムサポートの支援を受け、NASへのバックアップについては、新たにOracle Recovery Manager(RMAN)を使った差分バックアップの仕組みを導入した。これまで日次で16時間かかっていたフルバックアップを日次15分の差分バックアップと週次のフルバックアップに切り替えることで、運用負荷を大きく低減させることができたという。

加えて、サーバーやハードウェアの刷新とチューニングの結果、アプリケーションのレスポンスが大幅に高速化した効果も挙げられる。たとえば、同社ではスマホアプリからのアクセスに1秒以上かかるとアラートが出る仕組みになっているが、以前は1日に数百件出ていたことのあるアラートが、ゼロ件になったという。

このように、ライトでは、Dbvisit Standbyの導入とシステムサポートの支援により、バックアップと災害対策の高度化を実現した。そのうえで小林氏はこう今後を展望する。

「プロジェクト全体にわたってシステムサポートさんは非常に頼りになる存在でした。クリーニング業界は、効率化とサービス拡充が急務です。システムサポートさんの力を借りながら、今後もさまざまな取り組みにチャレンジしていきたいと思っています」(小林氏)

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株式会社ライト
クリーニング業界のメーカーベンダー。クリーニング用タック(番号タグ)、POSレジ「あずかりくん」、24時間対応の無人受け渡し機「マジックシェル」など、全国数千店舗で採用されているさまざまな商品・サービスで業界をリードしており、クリーニング店の課題解決に日々取り組んでいる。
関連リンク
株式会社システムサポート
データベースひとりでできるもん
Dbvisit Standby製品紹介+アーキテクチャについて
Dbvisit Standby製品ページ

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