世界的にインターネット上でのプライバシー保護を強化する動きが進んでいる。ターゲティング広告の配信や顧客の行動追跡など、効果的なマーケティングの実施にはデータ活用は欠かせない。しかし同時にコンプライアンスを遵守するには、今後どうしていくべきなのだろうか。
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(以下、DAC)は、インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)との協業によるプライバシーコンサルティングにおいて、こうした顧客の新たな悩みに応えている。プライバシー保護とマーケティングを両立する、DACのソリューションビジネス本部 DXソリューション局 データコンサルティング部の取り組みを紹介していこう。
法律と大手プラットフォーマーが進めるプライバシー保護
博報堂DYグループの一員として、デジタル領域の中核を担うDAC。日本のインターネット黎明期である1996年、インターネットメディアの広告枠を販売するメディアレップとして設立された同社は、情報や生活のデジタル化とともに事業を拡大し、近年はマーケティングコンサルティングやソリューション開発・提供、データビジネスなどをグローバルに展開している。
DACの中で、データ活用・分析の支援やツールの提案、プライバシーコンサルティングを担うのが、データコンサルティング部である。データコンサルティング部 部長の上野沙羅氏は、近年のインターネットにおけるプライバシー保護強化の潮流について、次のように話す。
「ここ数年で、日本を含めた世界中でプライバシー保護を強化する法律の策定が進められています。大手プラットフォーマーにおいても、Cookieや広告識別子の利用を規制するようになりました。コンプライアンスを遵守しながら、効果的なマーケティングを実施するにはどうすべきか。お客様の新たな悩みに応えていくことが我々の部門の役割です」(上野氏)
日本では2022年4月に改正個人情報保護法が施行され、プライバシーポリシーの明確化や、ユーザーデータの第三者提供に関する同意取得が必要となった。さらに2023年6月には改正電気通信事業法が施行され、Cookieや位置情報などのユーザーデータを収集・利活用している事実を「気づきやすく」「わかりやすく」公表することが求められるようになった。
また、大手プラットフォーマーの中でもAppleはいち早くプライバシー保護に乗り出している。ブラウザのSafariはWebサイト閲覧者の行動をトラッキングするCookieに対し制限を設け、アプリはIDFAの取得にユーザーの許可を義務付けた。こうした動きに、他社も追随する動きを見せている。
ユーザーの識別や追跡は、広告配信する際のターゲティングや効果測定には欠かせない仕組みである。いかに個人情報を保護しながら、広告施策の質を高めていくべきか。プライバシー保護の世界的な潮流は、デジタルマーケティングの今後に大きな影響を与えている。
DACとIIJの協業による、高度なプライバシーコンサルティング
法務部やシステム部門ではないマーケティング担当者が、法律や技術的な動向を把握し、適正な広告施策を独力で実施することは難しい。
「データを収集しているけれど、正しい収集の仕方なのだろうか」
「最新の法律に対して、どう対応していくべきかよくわからない」
「こんなマーケティングを構想しているが、プライバシーはどうケアすればいいのか」
こうした悩みのすべてをカバーできる存在がDACだ。勉強会の開催からツールの提供、データ活用に基づく広告運用施策の提案まで、一気通貫で実施している。
Webサイトに訪問したユーザーに対し、データ利用の同意取得を確認したり、管理をしたりするためのツールをCMP(同意管理プラットフォーム)と呼ぶ。表示されたポップアップバナーに対する同意・非同意の回答を記録し、それぞれの場合に応じたデータ収集・活用をするためには、欠かせないツールだ。
GDPR(EU一般データ保護規則)やCPRA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)といった海外のプライバシー保護法に対応しており、世界でも広く使用されているCMPの一つが、"OneTrust"である。DACはIIJと協業しOneTrustを提供している。
データコンサルティング部の藤村咲貴氏と上野氏は、IIJとの協業によるプライバシーコンサルティングについてこう語る。
「個人情報保護法の改正をきっかけにして、新たなサービスを立ち上げるところから、IIJとの協業が始まりました。2022年にはOneTrustの導入支援や、共同セミナーの実施、さらには弊社が提供するデータ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)"AudienceOne®"との連携など、多くの分野で連携を深めることができました」(藤村氏)
こうした連携が評価され、DACは"IIJ Partner of the Year 2022"においてビジネスイノベーションアワードを受賞した。デジタルマーケティング領域の企業としては、実質初めてとされる。IIJとの連携を深めたことによって、法律に対する専門的なサポートが可能になった、と上野氏は続ける。
「マーケットがグローバル化する中、『海外のユーザーが閲覧するページのプライバシー保護はどうすればいいのか』というご相談も増えています。同意取得に基づく広告・マーケティングの整理を我々DACが、適切なプライバシーポリシーの策定をIIJが手がけることによって、海外の法規にも則った、より専門性の高いサービスを提供することができるようになりました」(上野氏)
同意取得からマーケティング分析まで一気通貫で
デジタルマーケティングに活用される顧客データは、「1stパーティデータ」と、「3rdパーティデータ」に大別される。前者は、企業が独自に集められるデータであり、自社サイトへの訪問履歴や会員情報、購買履歴などが挙げられる。一方、後者は、第三者機関から提供されるデータであり、趣味・嗜好や市場動向などが含まれる。
こうしたデータ群を蓄積し、活用するためのツールがデータ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)だ。DACの提供するDMP、"AudienceOne®"は、1億以上のデバイスのIDなど膨大なデータを保有し、そのデータを解析して高精度な3rdパーティデータを生成/提供している。さらに、1stパーティデータと紐付けることによって、自社顧客の「解像度」を高め、より有効な企業のマーケティング戦略を可能とするサービス"AudienceOne Discovery®"も提供している。
2022年4月、改正個人情報保護法の施行により、上記のようなデータの紐付けが「個人関連情報の第三者提供」に該当するようになった。「個人関連情報」とは、個人情報や統計情報とはまた別に定義されている、プライバシーに関する情報のことだ。自社で保有する個人情報と、AudienceOne®が保有する個人関連情報を紐付けようとする場合、個人関連情報の提供企業がユーザーに対して事前に同意を取らなければならない。そしてAudienceOne Discovery®を実施する際には、個人関連情報の第三者提供に該当するため、実施企業がユーザーに対して同意取得が必要となる。
「AudienceOne®とOneTrustを連携させることによって、こうした同意の取得から、データの紐付け、マーケティング分析までを一気通貫で利用できるようなりました」と、データコンサルティング部の石山大揮氏は説明する。
「Webサイトの訪問者から同意を得た場合は、AudienceOne®の情報と紐付けして、より詳細なデータ分析ができます。ユーザーの同意状況を判別した上でデータの連携・非連携をコントロールすることで最大限にデータを活用できる仕組みを、AudienceOne®とOneTrustの連携により実現できました。改正法に対応しつつも、『マーケティングを阻害しすぎないプライバシー保護』が可能になったのです」(石山氏)
DX支援の中でプライバシー保護を強化していく
あらゆる業界でDXが推し進められる中で、データ分析・活用は欠かすことができない取り組みだ。デジタルマーケティングの世界は、プライバシー保護とデータ活用のバランスを求めて、今後も進化を続けていくことだろう。
「我々DACは、『DXを支援する』という立場を保ちつつ、プライバシー保護にも注力を続けていきます。守るべきものは守った上で、データ活用のためのBIツールや、CDPの提案、Cookie規制に準じた新たな広告配信のスキームなどにより、次世代のマーケティングを実現する支援をして参ります」(上野氏)
https://www.dac.co.jp/
[PR]提供:インターネットイニシアティブ