北海道 札幌市に本社を構え、道内全域の情報通信インフラを支える企業としてビジネスを展開する株式会社つうけん。企業や自治体向けに電気通信設備、情報通信設備といった通信設備エンジニアリング事業や、土木や一般電気設備などの社会基盤事業を展開している。同社は、以前よりIIJと密接な協業関係を構築しており、IIJのサービスを効果的に活用し、道内企業や自治体のDXを支援している。この長年にわたる実績により、「IIJ Partner of the Year 2021」においてビジネスイノベーションアワードを受賞している。本稿では、同社の担当者に自治体DX実現に向けての展望と、その取り組みを通じてIIJと協業していくことへの期待感について話を伺った。
道内の自治体が抱えるリソース不足の課題
北海道における情報通信インフラの設計・施工・保守・メンテナンスをトータルで手がけるつうけんは、2022年4月から新たにITビジネス事業部を設立した。同社が所属するコムシスグループの1社である日本コムシスのITビジネス事業本部 北海道事業部門を移管し、グループ会社であるつうけんアクティブ、つうけんアドバンスシステムズを同じ社屋に集約。3社の強みを統合した立体運営で、DXを中心としたIT事業のさらなる強化を目指している。
そのなかで同社が特に注力しているのが、政府主導で推進されている「自治体DX」だ。つうけん ITビジネス事業部 EG部 SE部門 課長の堤 龍生氏は、北海道の地方自治体におけるDXの課題についてこう分析する。
「少子高齢化による人口減少が社会問題化しているなか、北海道の人口減少率は全国1位となっており、2030年までに約60万人、2045年までに約140万人減少すると予測されています※1。つまり、2045年には北海道内のほとんどの自治体で、人口が現在の半分以下になってしまいます。こうした状況のなか、政府主導で自治体の主要事業をデジタル化し、少ない人的リソースを生産性の高い業務に集中させる「自治体DX」が推進されています。政府から自治体におけるDXの指針が示されていますが、60%以上の自治体が、DXに携わっている職員やITのスキルを有する職員が5人以下しかいないという状況です※2。特に北海道は人口数千人の自治体が大半で、自治体が内製でDXを推進するのは極めて難しい状況といえます」(堤氏)
IIJのサービスを活用した効果的なDX施策を検討
このように、北海道における自治体DXを支援する事業をスタートした、つうけんの ITビジネス事業部。発足して間もないため本格的な取り組みはこれからだが、広大な道内全域をカバーする拠点を持つ強みを活かし、つうけん、つうけんアクティブ、つうけんアドバンスドシステムズが培ってきたノウハウを北海道内にある自治体に展開していきたいと堤氏は語る。
「2021年7月に、総務省の自治体DX推進計画の一環として「自治体DX推進手順書」が策定されています。このなかでは、DXの取り組みを「DXの認識共有・機運醸成」(ステップ0)から「全体方針の決定」「推進体制の整備」「DXの取り組みの実行」までの4つのステップに分けています※3。つうけんのITビジネス事業部では、現在マーケティング部を中心にステップ0、ステップ1について各自治体にヒアリングを行い、どのような支援が行えるのか検討を開始しています。2022年夏を目処に、自治体の主要20業務に関する標準化のフローが総務省から公表される予定で、これが自治体DXにおける標準化の指針となります。ITビジネス事業部としては、各自治体を訪問して現状の取組状況を分析し、自治体DXの実現を目指していきたいと考えています」(堤氏)
そして、同社が見据える自治体DXにおいては、IIJの提供している通信・クラウドサービスが重要な役割を担うと堤氏。「2021年時点で選定されたガバメントクラウドサービスとも柔軟に接続可能な「IIJ GIO インフラストラクチャーP2」を展開し、テレワークの実現を支援するモバイル通信サービスも豊富なIIJのサービスは、自治体DXの実現に不可欠と考えています」と期待を口にする。
自治体にヒアリングし現状を知るつうけん ITビジネス事業部 マーケティング部の白井 芳明氏も、純国産のクラウド・通信事業者であるIIJが、北海道の自治体DXを推進するための起爆剤になると考えている。
「政府が推進する自治体DXでは、原則としてクラウドファーストな環境の構築を求めています。しかし北海道の自治体は179もあり、そのほとんどが小規模で、ベンダーのサポートを受けたとしても内製でクラウドサービスを導入・運用するのは限界があります。特にセキュリティの担保は大きな課題で、クラウドを活用した自治体DXの推進を妨げる要因の1つとなっています。こうした状況のなか、ジャパンスタンダードで日本向けのセキュリティ機能もカバーするIIJの通信・クラウドサービスには大きな価値があると考えています」(白井氏)
ゼロトラストを実現する、リモートアクセスサービスでセキュリティを担保
白井氏は、自治体DXの実現に向けて特に注目しているIIJのサービスとして、ゼロトラストを実現するリモートアクセスサービス「IIJフレックスモビリティサービス/ZTNA」を挙げる。
「自治体においてもテレワークの推進は重要なミッションとなっており、セキュアなテレワーク環境の構築が求められています。とはいえ、セキュリティエンジニアは北海道だけでなく全国で不足している状況で、内製でセキュリティ対策を行うのは現実的とはいえません。そこで、ゼロトラストの考え方を実践して安全なリモートアクセスを実現するIIJフレックスモビリティサービス/ZTNAなど、IIJのサービスが極めて有効な選択肢となります。また、自治体DXを支援する私たちの立場から見ても、ネットワークやクラウド、セキュリティの知識が豊富なIIJのエンジニアに提案段階からサポートしていただけるのは大きなメリットと実感しています」(白井氏)
堤氏も、単にサービスを利用するだけでなく、豊富なノウハウを持つIIJと協業することで、北海道の自治体DXを加速させていきたいと語っている。そして提案・設計からネットワーク機器、サーバー、各種通信・クラウドサービスまでをトータルで提供するIIJとの連携を強化したいと今後の展望を口にする。
IIJと協業し、コンサルティングからシステム構築・運用まで自治体DXを包括的に支援
少子高齢化への対応から働き方改革の実現までを見据え、全国で早急な自治体DXの実現が求められてるなか、具体的な取り組みを進めている自治体はほとんどないのが現状だ。こうした状況を打破すべく、北海道庁では今年度から地域デジタル化促進事業を開始するという。
「DXを促進するにはシステムインテグレーションが不可欠です。我々がこれまで培ってきたインテグレーションのノウハウと、IIJのサービスや知見を最大限に活用し、北海道庁の取り組みを全面的に支援していきたいと考えています」と白井氏。
IIJに対してはクラウド基盤の活用はもちろん、特に地方において深刻な問題となっているセキュリティ人材不足を解消するための支援にも期待を寄せている。つうけん ITビジネス事業部 営業部の小川氏も、「ITビジネス事業部だけにとどまらず、つうけんグループではコンサルティングからシステムの構築・運用まで、自治体DXを一気通貫で支援していきます」と力を込める。
つうけん ITビジネス事業部に集約されたノウハウとIIJのサービス・知見の相乗効果は、北海道における自治体DXに大きな影響を与えることに違いない。道内の自治体だけでなく、クラウド基盤の構築・運用から主要業務の標準化、テレワーク環境の整備を実現したいすべて地域の自治体、さらにはDXに取り組むすべての企業にとっても、つうけんとIIJの取り組みから得られる“気づき”は多いはずだ。
<出典>
※1:「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)より
※2:「自治体DX推進計画概要」(総務省)より
※3:「自治体DX推進手順書 概要」(総務省)より
https://www.tsuken.co.jp/
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