• 病室にWiFiを

インタビュー前編に引き続き、#病室Wi-Fi協議会の取組みについて、協議会の中心メンバーの一人であり、自身もがん治療のため長期の入院経験があるフリーアナウンサーの笠井信輔さんに伺ったお話しをご紹介します。後編では、協議会として取り組む今後の目標や展望など、笠井さんが見つめるビジョンについてお話しいただいています。

>>前編のインタビュー記事はこちら<<
  • #病室Wi-Fi協議会 フリーアナウンサー 笠井 信輔 さん

    #病室Wi-Fi協議会 フリーアナウンサー 笠井 信輔 さん

―#病室Wi-Fi協議会として、病院側にどのようなことを期待しますか。また、病院の人々がWi-Fiに対して持っている意識はどのようなものだと感じますか。

病院関係者にヒアリングして分かったことは、多くの病院で病室Wi-Fi整備が実現していないということです。小さな病院でも大きな病院でも、病室Wi-Fi整備を実現している病院では、院長や理事長のトップダウンで実現している病院が多いと感じます。これまでは今回のような補助金の予算が出ていませんから、病院は自分たちの予算でWi-Fi整備を実施しているわけですが、実現に至るまでの間にいろんな障壁があります。それを乗り越えるのは、やはり上層部の方々の高い意識だと思います。患者さんを思う意識、患者さんのためにWi-Fiを通さねば、と思う意識です。それによってさまざまな障壁がクリアされます。

さまざまな障壁が何かというと、病院関係者、特に上層部の方々ではITの知識に長けていない方も少なくありません。手術をするための機械には詳しいかもしれませんが、電波に関しては詳しくない。そこで何が起きているかというと、Wi-Fiは危ないという考え方が根強く残っているんです。電子カルテを運用するためのWi-Fiに悪影響があるのではないか、それなら患者用Wi-Fiの整備はやめた方がいい、電子カルテを守れということが錦の御旗になっている場合もあるようです。本当は電子カルテのWi-Fiと並行して病室にWi-Fiを通すことはできるし、整備の費用も莫大にかかることはありません。古いIT知識で、上層部の人たちが電子カルテを守ろうとすると、患者用Wi-Fiがなかなか実現しない。

もうひとつ、電子カルテの業者さんがシステムに不具合があってはいけないから、余計な電波は飛ばさないようにやめた方がいいですよと、病院側に進言することもあるようです。それは会社としての考え方かもしれないし、担当者が面倒だと思うのかもしれませんが、業者さん側がやめといた方がいいですよと病院側に言うと、病院関係者は止めざるを得ません。病室Wi-Fiの整備に向けた検討や取り組みが全て止まってしまいます。

病院では院内の通信にPHSが使われていることがありますが、今ではPHSよりWi-Fiの方が安全だという情報も総務省の方から出ているんです。病院は人の命を預かっている立場上、Wi-Fiの導入には慎重になるのは仕方ありませんが、技術は進歩し更新されていますので、古い常識に縛られず検討をしていただきたいです。

協議会が病院にアンケートをとると、Wi-Fiのここが不安だと、不安の声が多くあがります。その不安を解消するのが電子カルテの業者さんや、Wi-Fi関連の業者さんの仕事だと私は思っています。病院関係者に根付いている古い常識に屈することなく、説得して課題を乗り越えてほしいです。病院の方々には、電子カルテの業者さんに患者用のWi-Fi整備について尋ねた際にNGが出た場合、なぜダメなのか、本当にできないんですかと諦めないで詰め寄ってほしいと思います。そうしたら、きっと不可能ではないことが分かります。

病院の現場で働く多くの方は、Wi-Fiの安全性や必要性が分かっているはずです。院内の通信にiPhoneを使っている最新の病院もいっぱいあります。とにかく、患者さん用のWi-Fi整備に向けては、病院の古い常識が大きな障壁になっていると言えます。患者さんを守る技術、今回の場合はWi-Fiですが、それがあるのにそれを使わないということが、多くの患者さんたちの精神的な安らぎの障壁になっていると私は思います。

  • 笠井さん

―9月30日に補助金申請の期限を迎えますが、補助金制度が終わった後、協議会としてはどのような活動をしていくのでしょうか。

申請期限後のことについて、協議会としても今一番ホットなテーマになっています。というのも、この申請期限が9月30日ということが、Wi-Fi業者さんの間でも常に話題になっていました。補助金の申請には、期限内に計画書類を提出することで認可が下りると、私たち協議会もそう考えていましたが、病院関係者から『どうやら9月30日までにWi-Fi導入整備の工事が終わっていないとダメなようです』という声が聞こえてきました。厚生労働省の担当技官の方に確認すると、補助金申請の条件は工事を9月30日までに完了していないといけないとの回答で、協議会としても衝撃でした。

また、世界的な半導体不足によって、Wi-Fiのアクセスポイントを準備・納入できないという問題も立ちはだかります。契約するなら1年後になると回答する業者さんもいるくらいです。今回の補助金制度の通達は、協議会としては感謝感激と喜んでいたのですが、現状をみると申請期限の条件については不十分だと感じています。これは急遽コロナ対策費にWi-Fi整備を入れて貰ったため仕方がないとも思うのですが、厚生労働省の方はWi-Fi業界やネットワークの整備に現実的にどれだけの期間を要するかといったことまでは詳しく理解していなかったのではと考えます。

補助金というのは、使われなかったら意味がありません。社会的に意味があるから、皆さんの税金の使途として高いハードルを乗り越えて補助金として認可されます。誰も使えない補助金は有名無実化していて意味がなく、今回のWi-Fiの補助金はそうなりつつあります。タイミングよくWi-Fi整備を準備していた一部の病院には制度がいきますし、あるいは在庫をたくさん抱えている一部のWi-Fi業者さんは大丈夫かもしれません。ですが、この制度を今知り、これから検討していく病院が多くを占めると思いますし、患者さん用Wi-Fi導入の検討についてもさまざまな事情を抱えている病院があって、ちょっとでも話がこじれると計画が停滞し、気付けば期限切れになってしまいます。

私たち協議会としても早急に大臣たちや官僚の皆さんに延長を求めないといけないと思っていますし、自分たちとしては、これだけ早く補助金制度として実現していただいたということは、病室へのWi-Fi整備は必要性が高い課題だと認められたと思っていますので、検討の余地はあると考えていますし、絶対に期限を延長しなければならないと思います。

緊急事態宣言も一部地域に改めて発出されました。となると、この先もますます患者は孤立することになります。どのような立場・業界に関わらず、多くの方々がコロナ禍で困っています。そして病室にいる誰にも会えない患者さんたちも、孤独な状況下で困っています。その人たちを私たちは救わないといけません。だから、協議会はまず、補助金制度の期限の延長を求めます。このコロナ時代はこの先も続くと思います。ですので、Wi-Fiに関する補助金をコロナ対策費の一環として余ったお金でやるのではなくて、病室Wi-Fi予算として、単独かつ恒常的な予算として出してもらえるように、これから一生懸命活動するつもりです。

  • 笠井さんオンラインインタビュー取材の様子

    笠井さんオンラインインタビュー取材の様子

―協議会として新たに着手している取組みはありますか。

どの病院で無料の病室Wi-Fiが使えるかどうかが分かるように、全国的な調査を行っています。まず、全国の451のがんの基幹病院に対して、全室無料でWi-Fiが使えるかどうかの調査をしています。その調査のためにボランティアの調査員を募集したところ、100人以上の方からご応募いただきました。がんを経験した元患者さんや、家族が患者だった方がほとんどで、入院中にWi-Fiが使えず苦労した経験や孤立することの危機を知っている方が手伝ってくださっています。

現在(2021年7月時点)で9割以上の調査が終わっています。その調査を完了して、広く皆さんにお伝えする予定です。巷では電源カフェやWi-Fiカフェはどこにあるかなどについてはネットで容易に検索できますが、病院に関してはそういった調査結果が一切ありません。病室でWi-Fiが使える病院をネットで探すことが難しいのが現状です。そのような全国的な調査をやっているところがほかになかったので、協議会の方で取り組んでいます。ここの病院は使える、ここは使えないと分かると、全国的に病室への整備が進むのではないかと期待しています。

ただ、私たちはWi-Fiが使えない病院を非難しようとは思っているわけではもちろんありません。なぜなら病院ごとにさまざまな事情があって、コロナで業務が逼迫していたり人員不足で整備に手がまわらなかったりする病院もあるので、一概にWi-Fiが通っていない病院を明らかにするという意図は一切ありません。どちらかというと、通っている病院を褒めたたえたい! 患者さんにお知らせしたい! という方向性で取り組んでいます。

-将来的に多くの病院でWi-Fiが使えるようになることが協議会としての目標ですね。

目標は“多く”の病院ではなく、日本全国の“全て”の病院ですね。

  • 笠井さん2

-最後に、コロナ禍もまだまだ続く状況下で、入院されている患者さんや、これから入院する方々に向けて、協議会からのメッセージをお願いします。

入院中に記事を読んでいる方で、Wi-Fiが使えず困っている方がいらっしゃるかもしれません。私たち#病室Wi-Fi協議会では、患者さんが安心してWi-Fiを使える病院が増えるように頑張っています。私の入院している病院にもWi-Fiが導入されました、再入院したらWi-Fiが使えるようになっていましたといった声は、協議会にたくさん寄せられています。

病院側としても、患者さん用にWi-Fiを設置しなければいけないという意識と機運は高まっていると思います。一方で、まだ導入の検討に移っていない病院も多くあるのが現状ですので、Wi-Fi設置に向けた課題を乗り越えられるような活動をこれからも続けていきたいと思いますので、もうしばらくお待ちください。

そして、これから入院を控えている方々には、病院を選ぶ際に、今コロナの時代に誰も病院にお見舞いに来られないという大きなリスクがあることを考えながら、病院食が美味しいか、病室はきれいかどうかという以上に、入院生活の質を上げるという意味で心の栄養としてWi-Fiが重要だということを知っていてほしいです。Wi-Fiというものをちょっと心の片隅に置いて、病院選びをしてみてください。そうすることで病院での暮らし方は大きく変わり、入院中のストレスも減少すると思います。

―病室Wi-Fiの普及促進を応援しています。本日はお忙しいなか、お話しいただきありがとうございました。

7月30日(金)15:30~開催
笠井さんも登場するWi-Fi導入支援ウェビナーについてのお知らせ

『補助金でWi-Fi整備! 患者様向けWi-Fi導入支援セミナー』
登壇者:#病室Wi-Fi協議会 フリーアナウンサー 笠井 信輔さん ほか

▼申込フォームはこちら
https://www.furunosystems.co.jp/special/medical_webinar/


◇#病室Wi-Fi協議会の情報はこちら
https://wifi4all.jpn.org/hospital/index.php

◇フルノシステムズの病室向けWi-Fi専用ページはこちら
https://www.furunosystems.co.jp/channel/medicalwifi/

[PR]提供:フルノシステムズ