マイナビニュース主催の「FileMaker選手権 2020」が 2020 年 11 月 6 日に開幕した。今回は「エンジニアヘのはじめの第一歩」をテーマとして、エンジニア経験者部門と開発未経験者部門のそれぞれで、 Claris FileMaker で作成したカスタム App を 2021 年 1 月 4 日まで公募する。

ほとんどコードを書く必要がないローコード開発プラットフォームの FileMaker だが、経験がなくても本当に開発できるのか、 FileMaker とはどんなものなのか、と思っている方もいるかもしれない。そんな方におすすめしたいのが、初心者向けに参加費無料で開催されているハンズオンセミナーだ。実用的な内容がたくさん盛り込まれたこのセミナーの模様をお伝えしよう。

Mac と iPad の両方を操作しながら学べるハンズオンセミナー

今回取材したのは、 2020 年 10 月 29 日に横浜で開催された「 iPad と FileMakerを利用した業務システム作成体験セミナー」。日本に 8 社しかない Claris Platinum パートナーのうちの 1 社である株式会社イエスウィキャンが主催し Claris が後援する、約 3 時間のセミナーだ。この日の講師はイエスウィキャンで FileMaker の開発業務をしている菊池美沙さんで、さらに同社のスタッフ 2 人が参加者をサポートする。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、セミナーは定員を減らして開催されている。この日の参加者は 7 人(取材陣を入れて 10 人)で、十分な間隔をとって着席できるようになっていた。ほかにも入室時の検温と手指の消毒、参加者の席にも消毒剤を用意、そしてもちろん全員がマスク着用と、安心して参加できる環境だった。

  • セミナーの様子

参加者全員に、事前にアルコール除菌された Mac のノートブックと iPad がそれぞれ 1 台ずつ用意されている。Mac と iPad の両方を操作しながら学べることが、実はこの後、重要なポイントとなる。

  • Mac のノートブックと iPad

まずは iPad で FileMaker のカスタム App を体験

セミナー開始時に参加者に挙手をしてもらったところ、 FileMaker を初めて使う人が数名いた。そこで開発に入る前に、完成形のカスタム App を各自の手元にある iPad で開いて操作を体験し、イメージを膨らませる。

テーマは「顧客情報」のカスタム App だ。顧客の会員番号や氏名、住所といった個別の情報のほか、地図、見積書、署名、購入履歴を管理できるようになっている。多くの情報や機能があるが、直感的で操作しやすい。

  • 完成形のカスタム  App を各自の手元にある iPad で開いて操作を体験

既存の Excel ファイルがあっという間にカスタム App に

iPad でカスタム App の使い勝手を体験したら、次はいよいよ作成だ。ここからはしばらく Mac を使う。ちなみにこのセミナーでは Mac を使用しているが、 Windows コンピュータでも操作や機能は同じだ。

コンピュータの FileMaker Pro でゼロから作る方法もあるが、実業務ではたいてい何かしらのデータがあるはず。そこで、このセミナーでは Excel ファイルに保存されている顧客情報を利用する。操作は簡単で、 Excel ファイルのアイコンを FileMaker Pro のアイコンにドラッグ&ドロップするだけだ。順を追ってダイアログが開き、ひとつずつ確認しながら設定していけば、 Excel ファイルが変換されて FileMaker のカスタム App になる。

  •  Excel ファイルが変換されて FileMaker のカスタム  App になる

コンピュータと iPad を連動させた実用的な使い方を体験できる

Excel ファイルから変換したカスタム App には iPad で使うのに適したレイアウトはないので、新たに作る。講師の説明に従って手を動かすと、最初に iPad で体験したのと似た画面に近づいていく。

顧客の会員番号や氏名などが表示されるところまで作ったら、このカスタム App をFileMaker Server にアップロードし、 iPad で開く。そして Mac と iPad のそれぞれで、氏名などのデータを変更してみる。

つまり、下記のような FileMaker プラットフォームの典型的な使い方の流れを体験し、実感できるのだ。

コンピュータでカスタム App を作り、それを FileMaker Server にアップロードする

アップロードされたカスタム App を iPad で開く

サーバーを使ってコンピュータと iPad でカスタム App を共有しているので、どちらかでデータを変更するともう一方にもリアルタイムで反映する

参加者 1 人につき Mac と iPad が 1 台ずつ用意されて自由に操作できる利点がここにある。

  • Mac でデータを変更したところが ipad 上のカスタム App にも反映されている1
  • Mac でデータを変更したところが ipad 上のカスタム App にも反映されている2
  • Mac でデータを変更したところが ipad 上のカスタム App にも反映されている

最初に操作したサンプルと同じカスタム App を自分で作れた!

基本的な流れを実感できたところで Mac での作業に戻り、カスタム App に機能を追加していく。

顧客の顔写真を保存する、顧客の住所の地図を表示する、見積書の PDF を保存する、iPad に指先で署名を書いて保存する、ボタンで画面を切り替えられるようにするなど、便利な機能がどんどん増えていく。

  • 顧客の顔写真を保存する

    顧客の顔写真を保存する

  • 顧客の住所の地図を表示する

    顧客の住所の地図を表示する

  • 見積書の PDF や署名を保存する

    見積書の PDF や署名を保存する

  • ボタンで画面を切り替えられるようにする

    ボタンで画面を切り替えられるようにする

さらに、先ほどとは別のExcelファイルから顧客の購入履歴をこのカスタム Appに読み込み、「この顧客はこれまでにこの商品を購入した」というように顧客情報と関連づけて表示できるようにする。

  • 購入履歴と顧客情報を関連付けて表示する1
  • 購入履歴と顧客情報を関連付けて表示する2
  • 購入履歴と顧客情報を関連付けて表示する

ここまで、コードは一切書いていない。ツールやボタンのクリック、操作対象のドラッグ&ドロップ、ダイアログで一つひとつ確認しながらの設定と、 FileMaker のわかりやすいユーザーインターフェイスで直感的に機能を追加していくことができる。

そのうえ、講師の菊池さんは操作の一つひとつを細かく丁寧に説明してくれる。専門用語もできるだけ使わず、使う際には説明を加えている。そのため、ついていけない様子の参加者はいない。まれにつまずいてしまうことなどがあっても、スタッフが個別にサポートしてくれる。

  • 丁寧に教えてくれる講師の菊池さん

    丁寧に教えてくれる講師の菊池さん

  • つまずいてもスタッフが個別でサポート

    つまずいてもスタッフが個別でサポート

こうして 3 時間のセミナーの最後には、最初に体験したものと同じカスタム App が完成して、自分で作れたという驚きと嬉しさを感じられる。

実務に使うカスタム App に必要な機能の多くがこの 3 時間で網羅されているので、「自分の会社だったらこうしよう」といったイメージをつかむことができ、さまざまなアイデアが出てくるのではないだろうか。

しかも帰宅後に、自分が作ったカスタム App をメール添付で送ってもらえるというのも復習の意味で非常にありがたい。

  • iPad で使えるカスタム App が完成!

    iPad で使えるカスタム App が完成!

参加者の声

「これから勉強して作っていきたいと、やる気が出ました!」

これからの抱負をやる気に満ちて意気込んでくれたのは、化学製造メーカーに勤務する A さん。

「 FileMaker を使うのは今日が初めてでした。楽しいセミナーでしたね。これから会社で使うのですが、今日がその第一歩となりました。ものづくりの管理に使いたいと考えています。社内に IT 専門の部門がないので、製造に関わるスタッフがカスタム App を作る予定です。現在は製品を膨大な量の紙の書類で管理していて、本当に大変なんです。ゆくゆくはモバイルデバイスを活用してペーパーレスにしていきたいと思っています。今日のセミナーは内容が濃く、収穫がたくさんありました。手を動かしながら学ぶことができ、自分たちのやりたいことは FileMaker でできそうだというイメージが湧いてきました。これから勉強して作っていきたいと、やる気が出ましたね」

講師からのメッセージ

講師を務めた菊池さんからは「皆さんのカスタム App を楽しみにしています」と、エールをいただいた。

  • 株式会社イエスウィキャン システムクリエーター 菊池美沙さん

    株式会社イエスウィキャン
    システムクリエーター
    菊池美沙さん

「このセミナーには、 FileMaker を使ったことがない方が毎回必ず数名参加されています。参加者の年齢も幅広く、男女の偏りも特にありません。機材などがすべて用意されていて自分の身ひとつで参加でき、まったく経験がなくてもカスタム App を作れるのが、このセミナーの特長です。私自身も、カスタム App 開発が簡単にできることを伝え、これからやってみようかなと思っていただけるように心がけて、講師を務めています。参加した方々からは『思ったよりも簡単だった』『この短い時間でここまでできるとは』という感想を多くいただきます。カスタム App 開発はハードルが高いと感じている方でも、セミナーに参加するとイメージがつかみやすいと思います。セミナーをきっかけに、 FileMaker を活用していただきたいですね。カスタム App は、自分で作ったもの、社内で使っているものしか見る機会がありません。作る立場からすると、見せて表現する機会はなかなかありません。FileMaker 選手権は貴重な機会で、私も皆さんが作ったカスタム App をぜひ見てみたいと楽しみにしています。ご自身のニーズに合わせて工夫したオリジナリティあふれるカスタム App で参加してください」

多くのリソースから学び、FileMaker選手権にチャレンジしよう

FileMaker選手権の応募締切に間に合うセミナーもまだまだある。参加して概要をつかみモチベーションを上げて、応募作品を作ってみてはいかがだろうか。

●ハンズオンセミナー
https://sales.claris.co.jp/event/list.php?cat=ハンズオンセミナー

そして今回紹介したセミナーのほかにも、 FileMaker のカスタム App 開発を学ぶ方法はたくさんある。

●Claris Engage Japan 2020 - 2020年12月15日まで開催中。ユーザ事例やテクニカルセッションなど50以上のセッションを無料で視聴できる。
https://content.claris.com/cej20-mynavi/

●ライブやオンデマンドの Web セミナー
https://www.claris.com/ja/events/

●Clarisの公式 Youtube チャンネル
https://www.youtube.com/user/filemakerjapan

●『 FileMaker Master Book 』(初級編、中級編、上級編)と『関数・スクリプトガイド』。 PDF は無料、書籍は有料
https://content.claris.com/fmb19_reg-ja

●ユーザーや開発者が情報交換をする Claris コミュニティ
https://community.claris.com/ja/s/

●カスタム App の無料サンプル
https://fmgo.jp

●有償トレーニング
https://sales.claris.co.jp/event/list.php?cat=トレーニング

こうした多くのリソースは、FileMaker選手権の参加に、そしてビジネスや身の回りの課題解決にきっと役立つはずだ。ぜひ挑戦してみてほしい。

FileMaker で作ったカスタム App を募集するコンテスト
「FileMaker選手権 2020」開催中!!
  • FileMaker選手権 2020


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