新型コロナウイルス感染症は、企業の働き方に大きな変化を引き起こした。緊急事態宣言は解除されたが、その後もテレワークを継続する企業は増加傾向にある。旧対応のしのぎではなく、永続的に働き方を変える動きが加速しているのだ。

ここで考えねばならないのが、商談のあり方である。オフラインを主とする従来型の営業活動は、ウィズコロナ時代にあっては十分に機能しなくなる。企業はどんな風に営業活動を変えていくべきか。こうした疑問を背景に、BtoBマーケティングを主題にマイナビニュースが2020年5月28日にオンライン配信したウェビナーは、およそ350名もの方が聴講した。本稿では同ウェビナーより、「テレワーク時代の商談創出」をテーマに講演した、ハンモックのセッションの模様をお届けする。

デジタル化とシームレス化が、ウィズコロナ時代を勝ち抜くカギ

BtoBにおける商談は、「見込み客の獲得」「見込み客の育成」「クロージング」、大きく3つのプロセスで構成される。企業はいま、これらのプロセス全般にわたって、活動のあり方を変える必要性に迫られている。"永続的なテレワーク" を選択する企業が増えているからだ。

展示会出展やDMを配送して見込み客を捕まえる、テレマーケティングで見込み客を育成する、顧客先へ訪問して商談をクロージングする、……従来の商談は、こうしたオフラインの活動が各プロセスのおおよそを占めていた。ただ、展示会の開催中止が相次ぎ、電話も不在不通が増える中、旧態依然としたあり方では事業を成長させることが困難となってきている。

  • "永続的なテレワーク" が浸透するにつれて、オフラインの活動には制限が出てくる。

そうした中、ハンモックのセッション「テレワーク時代でも新規案件を作れる! 法人営業/マーケ手法とは」では、新しい商談のあり方として1つのモデルが提唱された。スピーカーを務める同社 GLUE事業部 カスタマー営業部 主任の木村 和真 氏は、商談を構成するあらゆるプロセスをデジタル化せねばならないと言及。ただ、そこにあたっては留意すべき事項があるとし、このように述べた。

株式会社ハンモック
GLUE事業部 カスタマー営業部
主任 木村 和真 氏

「デジタル シフトの必要性は皆さんがお感じになっていることかと思います。ここで重要なのは、マーケティングと営業、それぞれの担当者がきちんと足並みを揃えることです。デジタル化にあたって、各プロセスはこれまで以上に複雑となります。たとえマーケティング担当がオンライン施策で見込み客を生み出しても、その後のセールスがオフラインに傾倒していたり、シナリオに沿った適切なアプローチがなされなかったりでは、商談が途中で止まってしまうでしょう。双方の担当者が意思疎通を図れる、ビジョンを共通化できる。そうした『シームレス化』も同時並行で進めなくては、ウィズコロナ時代で成長していくことができません。」(木村 氏)

商談プロセスのデジタル化における3つの要点

「シームレス化に話を移す前に、まずはデジタル化の要点についてお話します。」木村 氏はこう前置きし、各プロセスで留意すべき事項を整理した。

「見込み客の獲得」でポイントとなるのは、既存顧客のデータベース化を進めることだ。たとえば、展示会の中止に伴い、当初見通していた1,000社の見込み客が得られなかったとしよう。リスティング広告によるサイト集客やウェビナー開催など代替案は幾つかあるが、ランディングページの作成、プログラムの立案といった準備には相応の時間がかかる。1,000社分の損失はすぐに埋め合わせできるものではない。

「オンライン広告を投下するのはもちろん有効です。ただ、予算も時間もかかりますから、見込み客をデータベース化していないならまずはそちらに着手すべきです。10名の営業スタッフがいて、それぞれが100社の "商談化していない顧客" の名刺を持っているとしましょう。これをデジタル上でデータベース化すれば、それだけで育成対象となる1,000社の見込み客が得られます。顧客獲得の機会は、これから先どうしても少なくなっていきます。接点を得た企業をデータベース化して1社でも多くの見込み客をつくることが、これから先は必須となるのです。」(木村 氏)

  • 受注企業だけでなく、接点を持ったすべての企業を見込み客としてデータベース化することが求められている。

続く「見込み客の育成」では、画一的なアプローチではなく、個社ごとで適切なコミュニケーションを図っていく必要がある。これまではテレマーケティングが担ってきた領域だが、電話がつながりづらくなる以上、メールなどで代替していく必要がある。ここで重要となるのが、相手の状況を考慮したOne To Oneのマーケティングを徹底することだ。毎日送る、興味のない情報を送るといった活動では、かえって見込み客が離れてしまう。逆に、顧客の関心が高まった時にコンタクトしなければ、競合他社へ案件が流れてしまう。

「見込み客の育成」と同じく「クロージング」も、商談の場をオフラインからオンラインへ移していかなくてはならない。留意すべきは、実商談だけでなく商談管理やマネジメントの場もオンライン化すること。なぜなら、顧客だけでなく自社においてもテレワークは進むからだ。

「紙に印刷した売上状況をもとにして、対面で商談状況を確認する。こういった会議体は、今後どんどん数を減らしていきます。見込み客の状況を正しく把握し、適切なアプローチをメンバーに指示する。オンラインで過不足なくこれが行える仕組みがないと、機会損失を生じさせかねません。」(木村 氏)

  • マーケティング活動や商談のみならず、その進捗管理もオンラインで行える仕組みづくりが重要になる。

ツールの組み合わせでは部門間の足並みを揃えられない

接点を得たすべての企業をデータベース化する。オンラインでOne to Oneマーケティングを実践する。そして、これら見込み顧客の経過・進捗を可視化する。以上の仕組みを用意し、尚且つそれがマーケティングと営業の双方で有効活用されれば、ウィズコロナ時代でも新規案件を作っていけると木村 氏はいう。ただ、仕組みづくりにあたってはある問題が存在すると同氏は述べ、こう続ける。

「名刺管理ツールを使えばデータベース化ができますし、MAを利用すればOne to Oneマーケティングが実践できます。見込み客の可視化もSFAによって可能です。このように、市場にはデジタル化に必要な各種ツールがすでにあります。ただ、それぞれで異なるツールを入れてしまうと弊害が生じます。まずツールが増えればそれだけ情報入力の工数が増えます。これは現場活用の定着を妨げる要因となり、"使われないシステム" になってしまう大きなリスクです。また、各ツールで専任の管理者を用意しなくてはなりません。『これは〇〇部の持ち物だから』といった意識を生み、マーケティングと営業の足並みを揃えることが難しくなります。」(木村 氏)

  • 市場にあるツールをただ組み合わせるだけでは、冒頭に木村 氏が述べた「両部門の意思疎通の仕組み」からかけ離れてしまう。各種ツールが連携されシームレスにつながった環境が理想だ。

ここで木村 氏が提案するのが、ハンモックが提供する「ホットプロファイル」である。ホットプロファイルは、マーケティングと営業、双方の活動とそのデジタル化を支援するプラットフォーム。名刺管理機能による見込み客のデータベース化から、MA機能による新規案件創出、SFA機能による商談管理まで、受注までの全プロセスをワン プラットフォームで提供する。

  • ホットプロファイルは、受注に至るまでの全プロセスをワン プラットフォームでカバーする。

ホットプロファイルでデジタル化とシームレス化を実現

ホットプロファイルを利用することでどのようにデジタル化を進めていくことができるのか。マーケティングと営業の足並みを揃えることはできるのか。木村 氏は、具体例を交えながらこう説明する。

「手元にある名刺を営業の方がスキャンすれば、ホットプロファイル側が自動で名寄せや企業属性付与を行い "活用できるデータ" にします。そしてこのデータを用いて、今度はマーケティングの方がホットプロファイルでメールマーケティングを実施します。メールの開封有無、リンクのクリック有無、特定ページの閲覧有無でグループ分けし、それぞれで次のアプローチをスケジューリングする。これによりOne to Oneマーケティングの実行と自動化が可能です。見込み客のアクションは自動的にスコアリングされ、行動履歴もログ化されます。この情報はマーケティング担当だけでなく営業担当も閲覧できますから、見込み客の関心が顕在化したタイミングで両部門が即座に適切な行動をとることができます。」(木村 氏)

  • 自動で "活用できるデータ" になるため、営業担当は名刺をスキャンするだけで、マーケティング担当に対して見込み客に対するアクションをパスすることができる。

  • 名簿の前処理が不要なため、マーケティング担当はメールマーケティングに注力することが可能。シナリオ設計とその実行をするだけでいい。営業担当はホットプロファイル上で顕在化した見込み客を確認できるため、わざわざ案件をパスするためのレポートを作る必要もない。

ホットプロファイルは商談管理の機能も充実している。記述の通り、メールの開封やオンライン動向といった情報は自動的に各見込み客のデータにラベリングされるが、加えて、営業担当が入力する商談履歴も同じようにラベル付けが可能。これらの情報は個社ごとに詳細を閲覧できるほか、営業担当別、顧客セグメント別といった統計的な視点から状況を可視化するBI機能も備えている。

「営業管理者はBI機能で今の営業状況をすぐ把握でき、個社の詳細情報を参照しながら具体的な対応策を検討することができます。また、オンラインの商談は、オフラインのそれ以上に高い営業スキルが求められます。高い水準で営業スキルを平準化せねばなりませんが、成績のよい営業担当の活動履歴をもとにしてそれをテンプレート化すれば、平準化も進めていくことができるでしょう。」(木村 氏)

  • 営業、マーケティングの全メンバーがすべての見込み客情報へアクセス可能。管理者の指示を精緻化するだけでなく、チームとして全案件に臨むような体制づくりも進められる。

*  *  *

木村 氏は、マーケティング担当と営業担当の足並みを揃えることが、デジタル化にあたっては重要だと繰り返し述べる。そして、ワン プラットフォームのホットプロファイルならばこれが実現できると強調。実際、ホットプロファイルの顧客は1,500社を超えるが、中をみてみると、従来散在していた各種ツールを統合する狙いで同サービスを導入するケースが多いという。

「商談のデジタル化は多くの場所でその必要性が説かれています。ただ、マーケティング連携や商談管理までは、まだそれほど意識が届いていないように思います。これらをないがしろにしては、ウィズコロナ時代を勝ち抜いていくことはできません。本講演を機に、商談プロセス全体のデジタル化とそのシームレス化に取り組んでいただきたいですね。」木村 氏はこのように述べて、講演を締めくくった。

関連リンク:
マーケティングと営業、双方の活動とそのデジタル化を支援するプラットフォーム
>>「ホットプロファイル」の詳細はこちら

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