インバスケット研究所は2月18日、都内で新サービス「MYマニュアル」の発表会を開催した。MYマニュアルは、リーダー層に必要な能力を測定するためのツール「WEBインバスケット」によって得られた行動分析データをもとに、1人ひとりに合わせた管理職適正能力トレーニング方法と傾向をまとめてくれる完全オーダーメイドのビジネス書作成サービスだ。

  • MYマニュアルを紹介するインバスケット研究所 代表取締役社長 鳥原隆志氏

日本の管理職の元気がなくなっている

「日本の管理職の実に約4割が本当は管理職になりたくなかった。管理職でない方の8割は管理職になりたくない。そして管理職の7割以上の方が部下との距離が遠くなり寂しいと感じたことがあると答えました。一言で表現すると、日本の管理職には元気がなくなっています。」

インバスケット研究所の代表取締役社長 鳥原氏は、このように同社が行った日本の管理職の実態調査を挙げる。そのうえで現代の管理職に求められているのが、限られた時間・情報、トップからのプレッシャーなどの重圧の中で結果を残す能力、すなわち「インバスケット思考」だと述べる。

  • 同社が調査した管理職の本音に関するアンケート結果

インバスケットとは?

未処理箱を意味する「インバスケット」は、ビジネスで起こりうる「正解のない問題」を、限られた時間の中で、架空の主人公になりきって処理するビジネスシミュレーションゲーム 。これを行うことで自身の仕事の進め方や判断のパターン、自身の弱み強み、コミュニケーションのクセを把握できる。

インバスケットは、1980年代に日本の大手企業で導入され、次第に管理職の昇格試験などに用いられるように。鳥原氏もこの時期の受講をきっかけに、興味を持ち、それからスコアリング技術の確立や教育プログラムの開発等を行うことで、インバスケットをビジネスとして展開していったそうだ。現在では累計795社の企業の他、警視庁や自衛隊、学校などでもインバスケットが導入されており、人材の育成に役立てられているという。

  • 国内でのインバスケットの実績

MYマニュアル誕生の経緯

インバスケットがこれほどまでに注目されてきた理由は、「知っている」と「できる」の狭間を埋めたいというニーズ、つまり「覚えさせる教育」から「できる教育」へ変えたいという背景がある。

  • 似て非なる「知っている」と「できる」の差がインバスケットのニーズ

だがその一方でインバスケットの受講生からは「どういうところで失敗するかを教えてくれたが、どう直せばよいかわからない。」という声がたびたび上がっていた。鳥原氏のもとには「どうすれば課題を解決できるようになるか?」という相談が相次いだ。

そこで同氏が考えたのが、完全オーダーメイドのビジネス書、MYマニュアルである。MYマニュアルは、インバスケットの受講結果から人物像を分析し、当人のためだけに必要なアドバイスをまとめてくれるビジネス書作成サービス。サービス開発の背景には、「市販のビジネス書や啓発本は万人に向けて書かれているため、1冊の本の中で本人の参考になる箇所はわずかしかない」との島原氏の考えがある。確かに自分に必要な情報のみを複数の本から抽出していくとなると非効率だ。生産性の向上や業務の効率化を求められる現代のビジネスパーソンにとっては、ありがたいビジネス書といえるだろう。

  • 自分のためだけのビジネス書を作成できるMYマニュアル。

MYマニュアルの仕組み

MYマニュアルは、問題形式を紙からWebに変更し、従来よりも手軽に問題に取り組める「WEBインバスケット」と、書籍の中身を組み替えられる株式会社アテナの新プログラム「only for you」によって実現された。

実際にサービスを受ける流れは次の通り。

  1. アンケートで受験者の悩みを抽出
  2. Webインバスケットを解いて判断の癖を抽出
  3. 結果に応じて1人ひとりに特化した本が届く

当初の構想では「1.アンケートを出して受験者の悩みを抽出」がなかったそうだ。しかし、これがないと本の内容がダメ出しばかりで、鳥原氏自身も読む気がなくなる内容になってしまった。そこで本人が知りたい情報を引き出す方法としてアンケートを追加し、現在の形ができたという。

  • MYマニュアルサービスの大まかな流れ

MYマニュアルは大きく分けて全5章で構成されている。このうち1章と5章の内容は共通しており、2~4章がWEBインバスケットの結果を受けて変化していく。例えば2章の1項では6パターン、2項では4パターン、3項では4パターンが用意されている。3章では約70パターンからその人に必要な5項が抜き出される。このようなパターンの組み合わせは約11億通りにも上り、必要に応じて総ページ数も130~230ページほどに変動するという。

会場では実際に3冊のMYマニュアルが紹介され、WEBインバスケットのスコア、分析の結果で、MYマニュアルの内容がどのように変化するのかが紹介された。

  • WEBインバスケットによって得られる分析結果

  • 分析結果に応じた具体的な本の内容の変化

MYマニュアルは2020年4月1日のサービス開始を予定している。サービス料は30,000円(税抜)予定。ページ数の増減による価格変動はない。うち20,000円が採点料、10,000円が書籍作成代となるため、追加で書籍を発行する場合は10,000円(税抜)でOKだ。

鳥原氏に聞くMYマニュアル活用術

インバスケットによって、1人ひとりに合わせたビジネス書が作られるMYマニュアル。その本に書かれた内容はどのようなもので、そしてどのように活用するのが有効なのか。発表会後に鳥原氏に伺った。

「MYマニュアルの内容は、今まで私が書かせていただいた50冊をデータベース化し、その凝縮版を振り分けて一冊にまとめたものです。インバスケット自体は、リーダーシップを発揮される立場の方に受けていただくほか、企業によっては新入社員の方がどこでつまずくかを知るためや、人事において適材適所を見極めるためにも使われています。MYマニュアルでも同様のご利用ができるのではないでしょうか。」

  • 多くの著書を持つ鳥原氏。MYマニュアルはその凝縮版だ。

インバスケットを意識して行動することで、問題点を克服する方は多いという。だがその一方で、どこかの能力を伸ばすと、どこかがへこんでいくこともあったり、そのときどきの自身の役割に応じて必要な能力も変化したりするため、MYマニュアルは3年に1回程度更新するのがおすすめだそうだ。

最後に鳥原氏は、MYマニュアルをより活用できる方法を話してくれた。

「3人でも4人でも、ご友人とともにMYマニュアルを作ってみてほしいと思います。そして互いに本を見せ合ってみてください。そうすると本人に必要な部分の発見だけでなく、周りの方の参考にもなったり、フィードバックを受けられたりします。現実とリンクさせながらMYマニュアルを活用すると、より高い効果が得られると思います。」


[PR]提供:インバスケット研究所