BtoCの世界では、販売施策としてマーケティングオートメーション(以下MA)を活用するケースが増え、大きな効果をあげていることはみなさんご存知の通りだ。一方、製造業界では既存顧客や系列企業など法人との取引がメインであり、従来のやり方のまま業務を続けているというケースも少なくない。しかし、ひとたび世界に目を向けると、製造業界においてもマーケティングを取り入れる動きは活発化しており、グローバルレベルで激化する競争に打ち勝つためには、従来のやり方のまま座して構えているわけにはいかなくなっているのが現状だ。厳しくなっていく製造業界の中で生き抜くには何が必要か、改めて考えてみたい。

脅威を感じる企業が続出!製造業界に新たな勢力が参入!

日本の製造企業は長年、世界からも高い評価を受けており、その品質は現在でもゆるぎないものになっている。しかし、近年ではアジア諸国を中心に製造業が成長を続けており、日本の製品を研究して品質を向上させているだけでなく、低コストで製品を市場に供給している。このような低コストメーカーのほぼすべてがグローバルでビジネスを行っており、加速度的に成長していることは、日本の製造企業にとって大きな脅威である。

そんな時代に、これまでと変わらず系列企業や既存顧客との取引を中心としたビジネスを続けていれば企業的な成長は望めなくなる。既存顧客へのサービスレベルを保つのはもちろんだが、新規顧客獲得の取り組みも強化しなければ、低コストメーカーに市場を奪われてしまいかねない。これは、欧米の製造業界にとっても同様だ。そこで、欧米ではもともとマーケティングが認知されていることもあり、近年BtoBマーケティングが重視されているというわけだ。

BtoBマーケティングはBtoCと何が異なるのか。BtoCは購入者はほぼひとりだが、BtoBでは客先となる企業に複数のキーマンが存在しているケースが多い。また、選考プロセスも複雑で製品を購入するまで時間が掛かるといった理由により、個別の対応が求められるような特殊性もある。さらに、案件の発掘にも時間が掛かり、長期的な視野を持ったマーケティングとその後のフォローアップまで計画しておくことも必要だ。このように、BtoBマーケティングは複雑でそれなりの人手がかかる活動だといえる。

  • BtoBマーケティングは各部門やキーマンに合わせた施策が必要となってくる

    BtoBマーケティングは各部門やキーマンに合わせた施策が必要となってくる

つまり、既存の顧客をケアしながら、新規顧客の獲得をめざすにはそれなりのリソースが必要となる。既存の体制ではきめ細かい対応は難しいのが現実だろう。しかし、それをテクノロジーの力で可能にする方法がある。それが「マーケティング・オートメーション(MA)」だ。

データをもとに顧客へアプローチする

インターネットが発達し、BtoBの世界でも購買手法に大きな変化が生まれており、製造企業の営業が顧客にアプローチする以前に、購買担当者が独自でWebサイトから情報を入手し製品情報をチェックしていることも少なくない。

こうした背景から、製造業界における購買においても、デジタルの世界で情報を集める消費者の行動履歴から個人のニーズを把握し、見込み客と位置付け、その個人が必要な情報を最適のタイミングで届けることで購入へつなげるという、BtoCビジネスで行われていたマーケティング手法との親和性は以前よりも高くなっている。どうだろう、新規顧客となり得るキーマンかもしれない貴社のWeb来訪者を、見逃してはいないだろうか?

そのWeb来訪者は、ただ覗きに来ただけかもしれないし、見込み顧客かもしれない。正体を知り、アプローチするべきかどうかを判断するためには、会社概要や製品の仕様が掲載されているだけの「Webカタログ」では不十分だ。Web来訪者とのコミュニケーションの第一歩となる「問い合わせフォーム」をWebサイト上に準備する必要がある。

もし問い合わせフォームから見込み顧客の情報を獲得できたとしても、すぐ営業に渡すべきではない。製品への興味の度合いがわからないからだ。今すぐ詳細を聞きたい、というようなホットなものはすぐに営業に渡すべきだが、とりあえず資料請求、情報収集というような場合には、メールマガジンなどを活用し、まずは来訪者の興味に合わせた情報を提供する。それに対して適切なアクションがあったなら、見込み顧客としてターゲティングし、自社製品にもっと興味を持ってもらえるよう、適したセミナーなどに招待する。このような複雑な作業を人の手で行うには限界があるが、MAを活用すれば、送付したメールマガジンのリンクをクリックして来訪した見込み客も新たな製品を検討している既存顧客も、閲覧履歴をベースにスコアをつけ、その傾向から顧客が必要としている適切な情報を適切なタイミングで自動配信することができる。

  • ターゲットごとに最適化した内容としたメール配信

同じ会社でも、違う部署の人がWebに来訪してくれることもあるかもしれない。その会社から多くの人が来訪していたらより見込みの確度は高いといえる。どの部署の、どの役職の人が、どのようなアクションをしてくれているのか。こういった状況もMAがあれば管理可能だ。

こうして、こちらからアプローチを続ければ、購入してもらえる可能性は高まってくるが、BtoBの場合はここですぐ購入とはならない。法人には契約するにあたりステークホルダーがたくさんいるからだ。ここから先は契約締結に向け営業の腕の見せ所だ。メールやWebの情報で興味が高まっている顧客は、契約への意欲も高いはずだ。MAは法人を対象とした新規契約獲得にもってこいのツールというのがおわかりいただけただろう。

このように、リード(見込み客)獲得から、ナーチャリング(継続的な育成)まで行い、営業にリードを渡すことが、BtoBマーケティングの肝となってくる。

マーケティング vs 営業!?

しかし残念ながら、MAを導入しただけではうまくいかない場合がある。「リード(見込み客)」と「ナーチャリング(継続的な育成)」、そして確度が高まった顧客を案件の成立へと導く「パイプジェン(案件化)」という一連の流れは理解できているはずなのに、なぜだろうか。

簡単に言うと、BtoBマーケティングでは、リードを獲得してナーチャリングをおこなうマーケティングチームと、マーケティングチームから受け取った成約の確度が高まっているリードをフォローして案件化する営業チームがうまく連携することで初めて良い結果を生むことができる。

しかし、「マーケティングチームから受け取るリードは、案件化まで時間が掛かるものばかりだ(から、フォローはやめよう)」「せっかく営業チームにリードを渡したが案件化してくれない」といった不満は相変わらず減らない。これはマーケティングチームと営業チームの間で、渡すべきリードの基準が明確になっておらず、合意するプロセスが存在しないことが原因だ。

基準を満たしていないリードはマーケティングチームが引き取ってナーチャリングを実施する。基準を満たしているリードは営業チームが確度の高い顧客として粘り強く対応していく。こうした流れをスムーズに回していくためには、見込み案件の発掘から成約まで、両チームが一連のプロセスを共通言語で認識できるシステム環境が必須となる。

営業支援ツール(SFA)とMAのシステム連携がカギ

つまり、BtoBマーケティングを成功させるには、営業チームが活用する営業支援システム(SFA)とMAが相互連携できることが重要だ。MAとSFAが連携することで、担当営業へのリード自動割り当てはもちろん、リードの行動履歴に応じて営業にアラートを出すことも可能なため、もし積極的にWebサイトに来訪しているリードがいれば、営業が即フォローすることも可能だ。ナーチャリングから商談に至るまでのプロセスを把握することもできるため、受注につながりやすいリードの行動を把握し、マーケティング施策の最適化を図ることもできる。

しかし、MAとSFAが分断している場合、そうはいかない。それぞれのシステムに顧客情報があるため重複が発生したり、双方向連携しないため二重にメンテナンス工数がかかったりするほか、リード引き渡し後の商談情報がMA側から見えずマーケティング施策のPDCAが回せない、不完全なリード情報がCRMに残り顧客データが汚れる、など骨の折れる苦労をするケースが多々ある。両ツールはシームレスに連携できてはじめて、鮮度の高い確実性のある活動が行えるのだ。

SFAとスムーズに連携できることを謳っているMA製品は多いが、実際には上記のような問題が発生してしまうことが多い。一番確実なのは、MAとSFAを同じベンダーの製品を使うことだ。これならシームレスに連携できなかったということはまずあり得ない。しかし、MAとSFAのどちらも提供しているベンダーは多くない。よく知られているのは、セールスフォース・ドットコムが提供しているMAの「Pardot」とSFAの「Sales Cloud」の組み合わせだ。

MAとSFAの連携図

例えば、Pardotでナーチャリングして基準に達したリードをSales Cloudへ自動割当することができる。Sales Cloud上でそれを確認した営業チームは速やかにフォローを実施。迅速な行動により、成約の確率を上げることが可能だ。また、受注した案件と、それが発生したリードの発掘活動を結びつけることで、受注につながりやすい施策の傾向を割り出すといったことも行える。

密接に、そしてスムーズに連携できるMAとSFAなら、BtoBマーケティングを成功に導けるシステムが構築できる。これからの製造業をさらなる成長へ導くには、MAの活用は避けては通れない道だ。今後も実りあるビジネスを続けたいと願う企業はぜひ、この機会にセールスフォース・ドットコムのPardot とSales Cloudを検討してみてはいかがだろうか。

なお本稿では、Pardotを導入して中国/アジアでのビジネスを成功させている「コーセル株式会社」のBtoBマーケティング事例や、具体的にMAを使うにはどうしたらよいのか、定番のシナリオを紹介した「いまから始めるマーケティングオートメーション定番シナリオ20選」のPDFを提供している。興味を持った方は、ぜひダウンロードして、その内容を確認していただきたい。

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[PR]提供:セールスフォース・ドットコム