新製品開発や設計の現場で使われる汎用エンジニアリングシミュレーションソフトウェアや、ソリューションシステムを提供しているANSYS(アンシス)。展開しているさまざまなツールの中でも、構造、流体、熱、電磁界の解析を一元化された環境で行えるよう最適化されたのが「ANSYS AIM」と呼ばれるシミュレーションソフトだ。

従来、こうした解析は専門のエンジニアチームが担当するというのが一般的だったが、同製品はプロダクトや建築の設計者やデザイナーなどでも手軽にシミュレーションを行うことができる環境を提供するものだ。

日本法人であるアンシス・ジャパンは、9月から日本語に対応したANSYS AIMの提供を開始。現在、同製品を体験できるセミナーを定期的に開催している。そこで今回は、「佐藤立体設計室」代表の佐藤圭多氏にこのセミナーを体験してもらい、その感想を伺った。

11月10日アンシス・ジャパン本社にて開催されたANSYS AIM体験セミナー

直感的な操作でシミュレーションを容易に体験

佐藤氏は大学院でデザイン科学を学んだ後、2001~2012年にかけてはキヤノンデザインセンターに勤務し、プロダクトデザインを担当。IXY DIGIALやEOSシリーズなどのデザインを手掛け、「Good Design Award」をはじめ、ドイツの「IF Design Award」などの受賞歴も持つ。その後さらに建築を学び、現在はプロダクトから空間まで幅広いデザインの仕事を行っている。

佐藤立体設計室 代表 佐藤圭多氏

そんな佐藤氏だが、解析ツールを扱うのはもちろん今回が初めて。「メーカーなどでも通常解析は専門の部隊があって、デザイナーが直接関わるということはあまりありません。こちらで作った形状を必要に応じて設計部門が解析に回すというような流れですね」と話す。

セミナーでは、最初にANSYS AIMの紹介が行われ、その後に講師の解説とともに、サンプルのグラフィックデータを用いてソフトの基本操作を学ぶ。そして、実際にシミュレーション結果を表示させるところまでを体験するといった構成だ。日本語化されたガイド機能付きで、柔軟なカスタマイズ機能や直感的なワークフローを用いた操作インターフェース、さまざまな物理現象・条件に対応したマルチフィジックス解析、そしてCADツールの扱いやすさをひととおり体感できるという内容だ。

建築デザインの分野でも活躍できるANSYS AIM

セミナーを終えた佐藤氏は、ANSYS AIMを体験した感想を次のように話した。

「解析ツールと聞いて、はじめは畑違いというか、敷居が高いなと思っていたのですが、難しく感じるところはなかったです。ふだん3D CADを扱っている人ならまず問題なく扱えると思います。今回実際に体験してみて、気体のシミュレーションをするにはメッシュのデータでないと扱えないんだなということを改めて理解しました。解析についてはこれぐらいの知識しかない私でも、概ね理解できる内容でした」

一方で、佐藤氏が現在携わっている建築デザインの分野でも、構造、気流、熱といった要素についての検討は欠かせないものだという。

「建築の世界でも空間や環境をよくするために、こうしたシミュレーションはよく利用されています。通常、自社内にシミュレーション設備を持っている、もしくは専門の会社に外注で依頼するというのが一般的だと思うのですが、デザイン段階で建築家自身が気体の流れや温度など、気軽にシミュレーションできれば、それをリアルタイムに設計に生かしていくこともできるので非常に有用だと思います。住宅や空間デザインなどは、できあがる空間をイメージしてもらうのに苦労することも多いのですが、このように事前にシミュレーション結果を提示できたら、施主に対し説得力がすごく増すと思います。また、ANSYS AIM は空間の“快適さ”を視覚化することができるので、プレゼンツールにも活用できそうですね」

また、佐藤氏が手掛ける案件の中でも最近増えているのが「リノベーション」だという。デザイナーや建築家は、「床下から上がってくる冷気をなんとかしたい」といった機能的な問題を解決する場合、業界の通例にもとづいて提案することが多い。しかし、こうしたシミュレーションがANSYS AIMを利用して簡単に可視化できれば、より幅広い視点から解決策を依頼主に提案することができる。こうした現場では、専門性に富んだ解析データは必ずしも必要としていないため、時間をかけずに簡単に解析が行えるというのがポイントというわけだ。

はじめてANSYS AIMを利用する佐藤氏でも、熱流体解析(左)、構造連成解析(右)が容易に行える

デザインと解析、ANSYS AIMの可能性

さらに、ANSYS AIMを体験する中で、佐藤氏が興味をひかれたのが、マテリアル(材料)を設定したシミュレーション方法だ。

「マテリアルの設定のところにあった『ポリマー押し出し機能』というのが面白いなと思いました。たとえばゴムのような変形しやすい素材を押し出して成形した場合、実際にどう変形してしまうのかということが目に見えて確認できるわけです。その変化の具合をあらかじめ想定してデザインすれば、通常の金型からは成形できないような意外な形が作れるのではないかと、発想のためのツールとしても使えるように思えました」と、デザイナーならではの観点を佐藤氏は話してくれた。

また、通常のCADの場合には、メッシュ生成に非常に時間がかかるものが多いが、ANSYS AIMの場合には自動で生成できるのも大きな特徴の一つだ。複雑なジオメトリ用の高品質なメッシュや四面体、六面体といったさまざまなメッシュを自動で生成することができる。

「メッシュ生成においてははじめての経験でしたが、あらかじめいくつも設定が用意されているので気にすることなく進めていくことができました。また、もともとは別の用途で利用していたCADデータをそのまま使用して解析できるというのも大いに活用できそうですね。解析と言うと、ちょっと前だと大掛かりな機械でやるもので、個人レベルでできるという感覚ではなかったのですが、解析そのものを身近に感じることができました。3D CADは目に見える形を扱うものですが、解析は目に見えないものを可視化して扱う。個人的にはその部分も面白いなと思いました」と、感想を明かす。

そして最後に「建築の分野でも私は意匠設計の側なので、解析まで求められる機会は少ないのですが、構造の設計士の人なら構造と気流の解析を同じデータで一度にできるなど、幅が広がるのではないでしょうか」と、佐藤氏は太鼓判を押す。

「私自身も空間デザインや設計をする上で、たとえば『どうしても空気が淀みやすい場所がある』、とシミュレーションでわかっていれば、その場所を居室にするのは避けるとか、設計プロセスの中にも取り入れてみたいなと思いました。それぞれ別の分野だと今までは思っていたデザインと解析という2つのものがつながることで、新しいものや価値が生み出されることにつながるのではないでしょうか」と、今回の体験セミナーを通じて感じた、デザイン分野におけるANSYS AIMの可能性を語ってくれた。

佐藤氏のように、ANSYS AIMはCADの経験やある程度のデザイン知識のある人であれば十分扱えるツールだ。これまで解析は敷居が高そうだと思っていた人でも、セミナーへの参加を通して、まずは気軽に試してみてほしい。

今回記事で紹介しているANSYS AIMの詳細はこちら
http://www.ansys.com/ja-JP/products/multiphysics/ansys-aim

今回、取材にご協力いただいた佐藤立体設計室のHPはこちら
http://satoproduct.com/wp/wp/

(マイナビニュース広告企画:提供 アンシス・ジャパン)

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