東邦ガス リビング計画部 部長付 里村平蔵氏

東邦ガスは2015年10月、ご家庭向け省エネ診断ソフト「e(い)ごこち診断」の「じっくり診断<マイホーム発電>」を活用した省エネ提案の取り組みについて、環境省の「独自の家庭向けエコ診断」の認定を西部ガスとともに受けたことを発表した。これは、家庭におけるCO2排出削減を目的に環境省が行っている「家庭エコ診断」を、独自のソフトを用いて実施する民間企業に対して与えられるもの。これまでに関西電力、JX日鉱日石エネルギーなどが取得しており、ガス会社としては両社が初となる。

「独自の家庭向けエコ診断」認定には、家庭への正しいアドバイスができる診断員と、エネルギーの使用状況やCO2排出量を高い精度で計算できるソフト、それを維持できる運用管理体制などが審査される。東邦ガスが用いているソフトは、西部ガス・DNPとの3社共同開発によるタブレット用の家庭エコ診断ソフト『eごこち診断』だ。2014年9月から現場に導入され、活用されている。その機能や導入効果について、同社リビング計画部 部長付 里村平蔵氏にお話をうかがった。

東邦ガス・西部ガス・DNPが共同開発した家庭エコ診断ソフト『e(い)ごこち診断』

省エネ効果を見やすく伝える『eごこち診断』

『eごこち診断』は、家庭エコ診断に求められるエネルギー使用状況やCO2排出量の数値を出すだけではなく、リフォーム提案や省エネ行動へのアドバイスを含めた顧客とのコミュニケーションツールとして開発された。そのステップに応じて、「省エネ鑑定」「ササッと診断」「じっくり診断」と大きく3つの機能が用意されている。

「省エネ鑑定」は家族構成と水道光熱費を入力するだけで、現在の水道光熱費を全国平均の金額と比較できる機能。結果画面では省エネのコツや最新機器のエコ性能の紹介など項目ごとのアドバイスも見ることができる。クイズ的な要素も盛り込むなど、利用者にも親しみやすい構成になっている。

家庭の水道光熱費利用状況が一目でわかる「省エネ鑑定」。利用者が自ら操作できるよう、分かりやすいインタフェースになっている

「ササッと診断」では、使用中の設備の状況などを入力し、省エネタイプの機器に交換した場合との水道光熱費・CO2排出量を比較。省エネ型給湯器や節水型水栓などとどの程度の差が出るのかをグラフに表示し、全体での節約額・CO2削減量を「エコ性能」という基準で評価する。

省エネ機器に交換した時の違いを「エコ性能」で評価する「ササッと診断」

「じっくり診断」は、担当者がお住まいの現状設備を詳しく確認した上で詳細な診断を行う機能。「エコ性能」と共に、使いやすさやバリアフリー、清掃性など生活の快適さを数値で比較する「いごこち性能」も診断する。例えば浴室暖房乾燥機を導入すれば光熱費とCO2排出量は増加してしまうが、節水タイプのシャワーヘッドや水栓、エコタイプの給湯器も同時に導入することで浴室全体としてのエコ性能を高め、カビ抑制やヒートショックの予防といった快適性を向上させることができる。

総合的なリフォーム提案を行う「じっくり診断」

里村氏「これまで、新しい機器に交換してどの程度の効果があるか、各家庭の利用状況に応じた数値をすぐに答えることができませんでした。『eごこち診断』ではそれが簡単にできることに加え、個別の機器・設備のカタログからは見えてこない総合的なリフォーム効果を、分かりやすいビジュアルで伝えることができます。」

ガス利用者を対象としたイベントでもコーナーを設けて鑑定を行い、好評を得た

同社では2014年9月の導入開始から徐々にタブレット端末台数を増やし、現在は社員・ENEDO(販売店)合わせて約100IDが稼働中。2015年9月20日の時点で累計11,000回以上の鑑定・診断が行われている。特に簡単にできる「省エネ鑑定」は設備点検や修理のための訪問時やガス展のイベント会場などで活用され、お客様とコミュニケーションを取るきっかけ作りに役立っている。また、機器提案などの成果に結び付く事例も徐々に増えているという。

※東邦ガス資料より

東邦ガスの研究成果・シミュレーションソフト「家庭用エネルギーシミュレーションソフト」

『eごこち診断』は、入力された情報をサーバに送り計算された結果をリアルタイムで受けてタブレット端末上に表示する、クラウド型のアプリだ。ご家庭での水道光熱費やCO2排出量を計算するサーバ側の基幹部分には、東邦ガスが長年研究を続け開発してきた「家庭用エネルギーシミュレーションソフト」が組み込まれている。

今回、このソフトをインターネット経由で『eごこち診断』と連携できるよう改良したものだ。家族構成やライフスタイル、気象条件や住宅設備の性能などから消費エネルギー量などを試算し、リアルタイムに診断結果のフィードバックを得ることができる。

※端末内に収録するパンフレットやチラシの内容も、管理者がサーバ側から一斉に管理・更新することが可能

5年後、10年後の信頼関係を見据えた取り組みを

従来、同社におけるリフォーム成約は機器の修理や交換がきっかけになることが中心だったが、今後は『eごこち診断』を活用し、エコ性能や快適性の総合的な視点から、潜在的なリフォーム需要を掘り起こしていきたい考えだ。

里村氏「水道光熱費が平均より高いとか、不便なはずのことに慣れてしまうなど、本当は困っていることに気付かずそのまま使っているお客様も多いんです。この診断でそこに気付いていただきき、リフォームを考えるきっかけ作りになればと思っています。すぐに受注に結びつかなくても、診断で蓄積されるお客様の情報は長期的な財産になります。」

2016年以降に計画されている電力・ガスの自由化に伴い、エネルギー事業者には利用者に選ばれるための施策が求められる。その中で東邦ガスは「省エネや暮らしのニーズを把握しきめ細かな提案をしていくことで、信頼され選ばれる企業になることを目指したい」と里村氏は語る。DNPらと共同で開発した『eごこち診断』は、その意図を丁寧に織り込んだコミュニケーションツールとして成果を上げつつある。

関連リンク

・東邦ガス
http://www.tohogas.co.jp

・eごこち診断
http://www.dnp.co.jp/cio/solution/detail/10099338_5309.html
*「eごこち診断」は東邦ガス株式会社の登録商標です。

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