Poke Posアプリの今後のロードマップ
クレメンテックのポケポスアプリは、基本機能の実装を経て、さまざまなアプリと連携することで進化していく。現在はiSMPのみだが、今後はiPadやiPad miniなどの新端末に対応したリーダライタの導入も予定している。
クレメンテックではポケポス連携アプリとして、外国人が来店した場合、iOS標準のビデオ通話システム「フェイスタイム(FaceTime)」を経由して通訳に接続できる通訳アプリ、接客中以外には店舗の商品を紹介する電子看板として利用するための「デジタルサイネージ」アプリのリリースを今春に予定している。また、今夏にはPOS(販売管理)や棚卸、在庫管理アプリなどとの連携も視野に入れる。
例えば、洋品店での従来の接客はこうだった。商品の前で接客し、お客から「これの色違いはありますか?」と尋ねられると、バックヤードに走り、在庫を確認。それからお客をレジに案内して決済を行う。
「ですが、ポケポスを導入すれば、お客様の目の前で在庫管理アプリを起動し、バックヤードに電話をして商品を持ってきてもらう。レジではなく、その場でカード決済ができます。つまり、お客様の来店からお買い上げまで、お客様の側を離れることなく、接客の密度を上げることができるのです」(武内氏)
三菱UFJニコス・執行役員の鳴川竜介氏(左)と、アクワイアリング開発部・ネットワーク開発グループ・グループ長の熊田健一氏(右)。「接客というヒューマンタッチの部分、そしてiPhoneのような電子デバイスが結びつくことで、販売、接客、決済の世界が大きく変わっていくと信じています」 |
また、ポイントカードや会員カードと連携するアプリを開発すれば、お客が来店したら、まずは会員カードを預かって読み取りを行う。そして購入履歴を表示するアプリがあれば、顧客の個別情報に基づいた接客ができるようになる。接客密度はもちろん、接客の質も上げることができるだろう。
中でも小売店舗のシーンを大きく変える起爆剤となりそうなのが、POSアプリだ。販売員は、ポケポスを常に持ち歩くことになるので、隙間時間にPOSデータを入力したり、分析ができるようになる。POSが使いやすく、身近になれば小規模店舗でもそれを活用するアイデアが生まれてくる。既存のPOSシステムと連動して、サテライトPOSやモバイルPOSとして連携することも可能だ。
「ポケポスは、自社で業務システムなどを開発するのが難しい中規模チェーン、独立系小売店舗が一番のお客様だと考えていました。しかし、加盟店に販売を開始してみるとたくさんの大手チェーン店からも反応があります。自社の既存POSと連動させて、モバイルPOSとして活用したいというニーズです。つまり、規模に限らず、自社の店舗オペレーションを改革しなければならないという意識の強いお客様に響いているのだと思います」(三菱UFJニコス、アクワイアリング開発部・熊田健一(くまだけんいち)氏)
店舗における本来の接客というのは、店員がお客に付きそうという密度の濃いものだった。しかし、効率が重視され、利益が出しづらい経済状況が長く続き、次第に接客レスのセルフ方式が普及し、従来型の接客は高級品を扱う店舗に限られていくようになった。「もっと丁寧な接客を」と悩む店舗、希望する消費者は多いだろう。
クレメンテック代表取締役の武内寛氏。「ポケポスを販売員が持つようになれば、レジ要員が不要になり、全体の店舗要員を減らすことができます。それでいて、接客の密度と質が上がり、さらに導入コストが抑えられる。そういう一石二鳥、三鳥が可能になる端末だと思います」 |
とはいえ、消費者の感覚もさまざまだ。「高級品を買うときでも接客は不要、むしろ煩わしい」と考える消費者もいれば、お年寄りなどの中には「日用品を買うときでも接客をしてほしい」と考える人もいるだろう。つまり、業態や店舗ごとの正解があるのではなく、今求められているのは「顧客の特性に応じてマルチ対応できる接客オペレーション」なのだ。
三菱UFJニコスがポケポスの市場投入に至った背景には、決済システムとしての利便性の向上のみならず、iOSデバイスという新しいITの力を活用することで「お客」と「お店」のよりよい関係性を築いてほしいという考えがある。そうした思いを乗せて、フットワークが軽く、多種多様なニーズに応えられるポケポスは、決済業界に新たな風を巻き起こし、これから日本の隅々まで広がっていくのだ。
文●牧野武文
ポケポスを使うことで、いつでもどこでも決済処理が可能となり、さらに業務アプリを活用することで、ユーザの発想次第では使い方が無限に広がる。ユーザそれぞれのカスタマイズを簡単に、また安価にできるのもポケポスの魅力だ。 |
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