今週は、1ページあたりの「文字数」と「行数」を指定する方法、ならびに文書の「余白」について解説する。「1字」や「1行」の単位にも関連する設定項目なので、それぞれの設定が意味する内容をよく理解しておく必要があるだろう。

「行数」と「行送り」の指定

Wordを起動して「白紙の文書」を選択すると、A4縦の用紙サイズで文書が作成される。このとき、1ページあたりの文字数は「40文字×36行」になるように初期設定されている。もちろん、この設定値は好きな値に変更することが可能だ。

まずは、1ページあたりの「行数」を指定する方法から解説していこう。ページ全体に関わる設定を行うときは、「ページ レイアウト」タブを選択し、「ページ設定」の領域にある「起動ツール」(小さい四角形のアイコン)をクリックする。すると、「ページ設定」の設定画面が表示される。

「ページ設定」の呼び出し

「ページ設定」の設定画面

1ページあたりの行数を変更するときは「行数」の項目を操作すればよい。例えば、1ページあたりの行数を30行に変更するときは「行数」に30を指定する。このとき注意しなければならないのが、指定した「行数」に連動して「行送り」の値も自動的に変更されることである。例えば「行数」に30行を指定すると、「行送り」の値は21.9ptに変更される。

行数を「30」に変更した場合

「行送り」は「1行の高さ」を指定する設定項目であり、行間の「1行」と密接に関連している。前回の連載でも解説したように、Wordの「1行」は18ptに初期設定されているが、「行数」を変更した場合はその限りではない。先ほどの例のように「行数」に30行を指定すると、「行送り」が21.9ptに変更されるため、「1行の高さ」も21.9ptになる。

当然ながら「1行」の行間に収まる文字サイズも変化する。初期設定(1行=18pt)では13.5ptまでの文字サイズを「1行」の行間に収められたが、「行数」を30行にすると「1行の高さ」が大きくなるため、16ptの文字サイズでも「1行」の行間に収まるようになる。

文字サイズと行間の関係(1行=21.9ptの場合)

このように「行数」の指定は文書全体のレイアウトに大きく関わる設定項目となる。「行数」の設定値はいつでも変更することが可能だが、文書を作成した後に「行数」を変更すると、文書全体のレイアウトが乱れてしまうケースもある。よって、「行数」の指定は、文書の作成を開始する前に行うのが基本となる。

「文字数」と「文字送り」の指定

続いては、1行あたりの「文字数」について解説する。1行あたりの「文字数」を変更するときは、最初に「ページ設定」の画面で「文字数と行数を指定する」を選択しておく必要がある。その後「文字数」の項目を操作すると、1行あたりの文字数を変更することができる。この場合は、指定した「文字数」に連動して「字送り」の値が自動的に変更される仕組みになっている。

文字数を「34文字」に変更した場合

「字送り」はインデントの「1字」に相当する設定項目となる。このため、「文字数」を変更するとインデントの「1字」のサイズが変化することになる。つまり、「1字」=10.5ptという概念は成り立たなくなる訳だ。例えば「文字数」を34文字に変更すると、「字送り」は12.5ptに変更される。よって、インデントの「1字」も12.5ptずつ余白が増減していくことになる。

なお、インデントをmmやcmの単位で指定した場合は、「文字数」(字送り)の値に関係なく、指定したサイズのインデントが確保される。インデントを指定する際の単位に応じて、その後の動作が異なることも覚えておく必要があるだろう。

標準の文字サイズの指定

「ページ設定」の画面で「文字数」を変更しても、「標準」スタイルの文字サイズは10.5ptのまま変化しない。「文字数」は"文字と文字の間隔"を調整する設定項目であり、文字サイズを変化させる機能ではない。

このことは「文字数」に小さな値を指定すると確認できる。例えば「文字数」に15文字を指定すると、10.5ptの文字サイズを維持したまま、文字間隔を広くすることで1行あたりの文字数調整が行われる。

文字数を「15文字」に指定した場合

「標準」スタイルの文字サイズを変更したいときは、「ページ設定」の画面で「フォントの設定」ボタンをクリックしなければならない。すると、以下の図のような設定画面が表示され、「標準」スタイルの文字の書式を変更できるようになる。文字サイズを変更するときは「サイズ」の項目を操作すればよい。

「標準」スタイルの書式設定画面の呼び出し

「標準」スタイルの文字の書式指定

ここで指定した書式は「標準」の文字書式として扱われる。つまり、特に書式を変更していない文字は、ここで指定した書式で文字が表示されることになる。同様に、「標準」スタイルをクリックして書式指定を解除した文字も、ここで指定した書式が適用されることになる。

「標準」の書式を指定するスタイル

「標準」スタイルの書式は、最も使用頻度が高い文字、すなわち本文の書式に合わせて指定するのが基本となる。Wordの初期設定では「標準」スタイルに10.5ptの文字サイズが指定されているため、10.5ptの文字サイズで本文を記述する場合に最適化されていると考えられる。もちろん、この設定のまま文書を作成しても構わないし、作成する文書の内容に合わせて設定を変更してもよい。

例えば、本文を10ptの文字サイズにする場合は、「標準」スタイルの文字サイズを10ptに変更しておくとよい。すると「字送り」も10ptに自動設定され、本文の文字サイズとインデントの「1字」のサイズが一致するようになる。

ページ余白の指定

「文字数」「行数」ならびに「標準の文字サイズ」を指定する方法を解説したついでに、ページの周囲にある「余白」のサイズを変更する方法も紹介しておこう。ページの上下左右にある余白を変更するときは、「ページ設定」の「余白」タブを利用する。

ページ余白の指定

もちろん、「余白」のサイズを変更すると、それに応じて「文字数」や「行数」の値も変更される仕組みになっている。具体的には、上下の余白を変更すると「行数」が、左右の余白を変更すると「文字数」が自動的に変更されることになる。

このような仕組みがあることを覚えておくと、「文字数」と「行数」を指定した文書をスムーズに作成できるようになる。1ページあたりの文字数/行数を指定するときは、「余白の指定」→「文字数と行数の指定」の順番で作業を進めるのが基本となる。

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今回の連載で解説した内容は、文書の根幹に関わる重要な設定項目となる。Wordの理解を深めるためにも、実際に操作しながら、その仕組みをよく確認しておくとよいだろう。なお、これらの設定は文書(Wordファイル)に対して指定する設定項目となるため、ほかのWord文書に影響を与えることはない。よって、気軽に試してみることが可能だ。

ただし、「ページ設定」の画面の左下にある「既定に設定」ボタンだけは絶対にクリックしないこと。このボタンはWord本体の初期値を変更するボタンとなるため、他のWord文書にも影響を与えてしまう。動作をテストするときは十分に注意していただきたい。