今週は、「文字幅」や「文字間隔」の書式を活用した具体的な例を紹介していこう。文書作成に必須となる機能ではないが、いろいろな場面に応用できるので、Wordのスキル向上を目指す方はぜひ覚えておくとよいだろう。
見出しデザインとして
まずは、「文字幅」と「文字間隔」の書式を見出しのデザインとして活用した例から紹介していこう。以下の図は、標準の文字で見出しを作成した場合(上)と、「文字幅」と「文字間隔」を変更した場合(下)の例となる。いずれも、見出しの下の二重ラインは段落罫線で描画している。
これら2つの図を見比べると、「文字幅」と「文字間隔」を変更した下側の例の方が趣のあるデザインに仕上がっていると思われる。通常、見出しを作成するときは、フォントや文字サイズ、文字色などの書式を変更するのが一般的であるが、さらに「文字幅」や「文字間隔」の書式変更も加えると、よりバリエーションに富んだ見出しデザインを作成できるようになる。
参考までに、下側の例に指定されている書式を紹介しておこう。この例では、文字幅の「倍率」に80%を指定し、さらに「文字間隔」を3pt広げている。
続いて紹介するのは、見出し文字の両側に「二重線」を描画したデザインとなる。この「二重線」は、「文字間隔」の書式を利用することにより描画している。
仕組みが分かりやすいように種明かしをしておこう。先ほど例に挙げた見出しから「文字間隔」の書式を解除すると以下の図のようになる。
全角の「=」(イコール)を連続して入力し、この「=」の文字がくっついて配置されるように「文字間隔」を狭めることで「二重線」を描画したように見せかけている。このように文字と文字をくっつけて配置することによりさまざまな飾りを作成することも可能だ。
なお、「文字間隔」の書式は「文字の右側」の間隔を調整する書式となるため、この方法で飾りを作成するときは、飾りとなる文字の「最後の1文字」を選択しない状態(先の図を参照)で書式指定を行うのが基本となる。
同様の手法を用いた例をもう一つ紹介しておこう。以下の図は、全角の「×」(バツ)の文字を入力し、「×」と「×」の文字がちょうどつながって配置されるように「文字間隔」を調整した場合の例となる。
少し裏技的なテクニックとして覚えておくとよいだろう。
新聞のような文書を作成する場合
Wordを使って新聞のようなレイアウトの文書を作成する場合もある。この際に覚えておきたいのが「文字幅」の調整である。今回も比較しやすいように2つの例を紹介しておこう。
以下に掲載した2つの例のうち、上側の図は「標準の文字」で作成した文書となる。一方、下側の図は、全ての文字の「倍率」を80%に変更し、文字幅を狭くした場合の例となる。
縦書きの文書では、文字幅が「文字の高さ」として解釈されるため、「倍率」を小さくすると各文字が横長に変形される。このように書式変更を行うことで、より新聞らしいイメージの文書に仕上げることが可能となる。また、1行あたりの文字数を増やせることも、この書式変更のメリットと考えられる。
文字数が異なる単語をそろえて配置
最後に、文字数が異なる単語の両端をそろえて配置する方法を紹介しておこう。以下の図は、東京都、神奈川県、大阪府の人口をまとめた文書となる。ただし、都府県の文字数が異なるため、お世辞にも見やすい文書とは言えない。
このような場合は「ホーム」タブにある「均等割り付け」を利用すると、単語の両端をそろえて配置できる。まずは、配置を調整する単語(東京都)を選択し、「均等割り付け」のアイコンをクリックする。
以下の図のような設定画面が表示されるので、選択した単語を「何文字分の幅で配置するか?」を指定し、「OK」ボタンをクリックする。
すると、選択していた単語(東京都)が指定した文字幅(4字)で配置され、以下の図のように「東京都」と「神奈川県」の文字をそろえて配置できるようになる。
「均等割り付け」は「文字配置を調整する機能」となるが、その正体は「文字間隔」を自動調整する機能に他ならない。試しに「東京」の文字を選択して「フォント」の設定画面を開いてみると、「文字間隔」が「2.6pt広く」に設定されているのを確認できる。つまり、「均等割り付け」は「文字間隔」を自動調整する書式と考えられるわけだ。
もちろん、同様の手順で「大阪府」の文字を「4字」の幅に変更し、「神奈川県」の文字にそろえて配置することも可能である。便利に活用できるので「文字間隔」を自動調整する書式として覚えておくとよいだろう。
念のため、「均等割り付け」により自動指定された「文字間隔」を解除する方法も紹介しておこう。この場合は、その文字を選択した状態で「均等割り付け」をクリックし、続いて「解除」ボタンをクリックすればよい。
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「文字幅」や「文字間隔」の書式は、あまり注目されることのない、地味な書式といえる。しかし、こういう目立たない書式がデザインやレイアウトの要となる場合もある。「頻繁に利用するものではないし……」といって軽視するのではなく、使い方をよく確認しておく必要があるだろう。