まずは、Power Automateのレコーダー機能を活用して操作を自動化する方法を身に付けよう。今回は、Windowsの背景画像とモードの変更を自動化する手順を紹介する。実用的なサンプルになるので実際に自分で試して操作に慣れていただきたい。
Power Automateのレコーダー機能について
これまで手動で行っていた操作をPower Automate (Power Automate for Desktop)で自動化するには、同アプリケーションのレコーダー機能を使って操作を記録する。
Power Automateでは編集画面の左に「アクション」が整理した状態で列挙されている。このアクションを編集画面の中央に配置することで自動化を組み上げるのが基本的な方法だ。プログラミングの経験があればある程度のフローは組みやすいが、プログラミングの経験がないと正しくアクションを設定するのは難しいだろう。
ここでレコーダー機能を使えば、ユーザーの操作をアクションと認識して自動的に編集画面の中央に配置できる。これだけでもさまざまな業務の効率向上が見込めるため、最初に使いこなせるようにしておきたい。
ディスプレイの背景画像とモードを変える
仕事をしていると、「PCの画面操作をマニュアル化したい」「他の人とエラー画面を共有したい」など、何かとスクリーンショットが必要になる機会がある。
メーカーにもよるが購入したWindows 11のUIはこの画像のようになっていることが多い。
この状態でウィンドウのスクリーンショットを撮ると、背景が映り込んでしまう。これを回避するには、背景画像を次のように真っ白な状態にしておくとよい。
設定アプリケーションを使えば、背景を単色に変更することができる。まず、設定アプリケーションを起動して「個人用設定」を選択する。
さらに「背景」を選択し、「背景のカスタマイズ」を「単色」に設定する。
単色に「白」は用意されていないので、「色の表示」をクリックして白を選択する。
「さらに表示」をクリックして表示されるフィールドに次のように「#FFFFFF」と入力する。詳しい説明は省くが、#FFFFFFが色としての白を意味すると考えておいてもらえればよい。
これで次のように背景に白が設定された状態になる。
現在のWindowsには、カラーテーマとして「ダーク」と「ライト」が用意されている。マニュアルに掲載するスクリーンショットには「ライト」が使われることが多いので、この設定を行っておこう。設定アプリケーションから「個人用設定」→「色」→「モードを選ぶ」→「ライト」を選択する。
これで、スクリーンショットをきれいに撮れる状態になる。スクリーンショットは、「Win」+「Shift」+「S」のショートカットキーで起動する「Snipping Tool」で撮影できる。
Power Automateで先ほどの操作を自動化する
ウィンドウのスクリーンショットを撮るたびに上記の手順を踏むは面倒なので、操作をPower Automateに登録して自動的に切り替えられるようにしよう。こうした取り組みがPower Automateの最初の活用ステップであり、業務改善につながる重要なポイントになるはずだ。
Power Automateを起動して、「自分のフロー」の「+新しいフロー」をクリックする。フローの名前は「スクリーン ホワイトモード」としてから「作成」ボタンを押す。背景を白一色にするのと、モードを「ライト」にするので、その2つの操作をまとめて「ホワイトモード」と命名した。
フローの編集画面が起動したら、メニューから「ツール」→「レコーダー」を選択してレコーダーを起動し、先ほど行った設定アプリケーションの操作を記録する。
レコーダーで記録した内容は次のようになる。
ここで記録した操作は次のようになっている。
- コメント
- 「Start Button」を押す
- 「すべてのアプリ」を押す
- 「設定」をクリックする
- 「個人用設定」をクリックする
- 「背景」をクリックする
- 「背景をカスタマイズ」から「単色」を選択する
- 「色の表示」を押す
- 「さらに表示」を押す
- 「RGB 16進数」をクリックする
- 「BS BS BS BS BS BS BS」キーを入力する
- 「F F F F F F F F」キーを入力する
- 「Enter」キーを入力する
- 「完了」を押す
- 「個人用設定」をクリックする
- 「色」をクリックする
- 「モードを選ぶ」から「ライト」を選択する
- 設定を閉じる
- コメント
この状態になったら一度保存をしてから「▷」ボタンを押して実行してみよう。問題が発生してうまくいかない場合、記録した操作(追加されたアクション)を全て削除してから、再度レコーダーで操作を記録する必要がある。
レコーダーでの記録は慣れないとうまくいかない。いつもの操作よりもゆっくり、確実に、丁寧に作業をするのがポイントだ。何度か記録と再生を繰り返して、うまくいくまで挑戦していただきたい。上記のように設定の起動から変更、設定終了までを記録できたら、次のようにPower Automateで自動処理できるようになる。
手順としては簡単だ。まずは実際にやってみよう。
レコーダーに慣れよう
レコーダーで記録中の操作は、通常の操作とは少し異なる。どこを操作するかがインジケータが表示され、リストからの選択などはUIそのものが変わってしまう。いつもと同じ要領で操作しようとするとうまくいかないので、レコーダーで記録するときはゆっくりと操作することを推奨する。
レコーダーを使って操作を記録するだけで業務効率の改善につながる。人間は操作ミスを犯すが、一度記録した操作は記録された通りに動くので、ヒューマンエラーの軽減につながる。この機能だけでもPower Automateのもたらす効果は大きい。まずはレコーダーを使いこなせるようになろう。