今回のテーマは「広告配信」
良くも悪くもインターネットのビジネスモデルとしてもっともポピュラーなのは、広告配信だ。ユーザ数やアクセス数の多いサイトでは、Google AdSenseの貼り付けやバナー広告の表示を行なっていることが多い。広告配信サービス(アドネットワーク)を使えば、広告主を集める必要はなく、ローリスクで収益を得ることができる。
現在は世界的な不況を引きずって広告型のビジネスモデルに影響が出ているが、それでもオンラインビジネスの基本を成すものだ。それゆえ、先進的な技術を使った取り組みや新しい配信手段が常に考案され、ビジネスモデルも磨かれている。今回はそんな広告配信に注目してWebアプリケーション、オープンソース・ソフトウェアを紹介したい。
今回紹介するOSS・Webアプリ
『Pitta! [ピッタ!]』 個人/企業サイトを問わず「広告枠を提供します」
『アドメーカー』 iPhoneアプリ開発者は注目! 広告収益モデルの実現に
『Chuck’s List』 シンプルなクラシファイド広告サイトを構築できる
『Xibo』 デジタルサイネージ配信システムを構築するなら
個人/企業サイトを問わず「広告枠を提供します」
名称 | Pitta! [ピッタ!] |
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URL | http://www.pitta.ne.jp/ |
『Pitta!』は広告マーケットプレイスを提供している。個人や企業が広告枠を登録し、それを広告主が購入して出稿するという仕組みだ。メディア側から1日あたりの料金を設定でき、最低金額10円からの指定が可能。広告主も高額な予算をかけず、最低1日から効果を確かめつつ出稿できるのが特徴といえる。
個人であればブログサイトを中心に、1,000サイト以上が登録。「FC2」「ドリコムRSS」「フォト蔵」など有名なWebサービスも多数バナー枠を提供・登録している。一日10,000円程度でも有名なWebサービス(サイト)に広告を配信することが可能だ。
広告主であれば、セグメントをより細かく指定して配信を行うことで効果を高められるだろう。メディア側としては収益の機会を広げるうえでも知っておきたいサービスだ。
iPhoneアプリ開発者は注目! 広告収益モデルの実現に
名称 | アドメーカー(ad maker) |
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URL | http://ad-maker.net/ |
『アドメーカー』は、"iPhoneのネイティブアプリケーションに広告を表示"することで収益モデルを確立するというサービスを提供する。同様のサービスはすでに海外では存在するが、日本ではアドメーカーが最初のものになるようだ。日本のマーケット向けのアプリケーションであれば、日本の広告のほうが効果は得やすいだろう。
現在開発中の段階であるため今後の変更もありえるが、主な機能としては、Web管理画面からの広告ネットワークの追加・変更、広告ネットワークの自動変更、成果の確認となっている。海外のiPhoneアプリには、"フリー版は広告付き、有料版は広告なし"というケースが多い。本サービスのようなものが出始めれば、日本でも同様のモデルを利用したアプリケーションが増えてくるのではないだろうか。
中期的には売り切り型のアプリケーションよりも、広告配信型のほうが収益は大きくなるというレポートもある。iPhoneアプリケーション開発者の方はぜひチェックしておきたい。
シンプルなクラシファイド広告サイトを構築できる
名称 | Chuck’s List |
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URL | http://github.com/goodkarma/chuckslist/tree/master |
日本ではあまり流行らないクラシファイド広告。いわゆる三行広告と呼ばれる類のもので、新聞ではよく見かける短い広告だ。アメリカでは「Craigslist」が最大手として知られている。そんなCraigslistと同じくらいシンプルな画面のクラシファイド広告サイトを構築できるのが『Chuck’s List』だ。
Chuck’s Listは、大・中にジャンルが定義され、その中に広告のリストが掲載される形式になっている。広告は誰でも掲載でき、登録完了時に送られてくるメールに記載のURLをクリックすることで掲載が開始される。広告はタイトル・本文・画像だけのシンプルなものだ。
クラシファイド広告が日本で受け入れられるかどうかは現状を見ればわかるかと思うが、やり方によっては大きな市場が存在する可能性もある。そのクラシファイドシステムを構築するのにChuck’s Listを使ってみてもよいかもしれない。
デジタルサイネージ配信システムを構築するなら
名称 | Xibo |
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URL | http://xibo.org.uk/ |
従来のポスターなど紙ベースの広告に変わって注目を集めているのがデジタルサイネージだ。大型ディスプレイやプロジェクタを使って広告を配信する。初期費用はかかるが、よりインタラクティブで差し替えも容易な広告配信が可能になる。
『Xibo』はそんなデジタルサイネージシステムを構築するオープンソース・ソフトウェアだ。広告の表示はWindows向けに提供されるビューアで処理し、コンテンツの配信はインターネットを介してサーバから行なう。サーバはWebブラウザ経由で管理可能だ。
広告は画像・文字・プレゼンテーション・動画・Flashなどを指定してWebブラウザ上で組み立てる。そしてスケジュールや広告の表示先を指定すると、ビューアが指定どおりに広告配信を開始する。インターネット回線が必須ではあるが、遠隔地を含めてよりシンプルに広告配信管理が可能になるはずだ。
いかがでしたか?
広告は時代の流れに合わせてさまざまな媒体/筐体に表示される。最新のガジェットであるiPhoneでもそれは変わらない。また、デジタルサイネージをはじめ、新しい技術を駆使することで、より訴求力を高めようとする広告が登場している。インターネットを活用すれば、まだまだ市場は拡大するだろう。
たとえば、最近では拡張現実(AR)にも広告分野からの注目が集まっている。メディアサイトをただ作るだけではもう芸が無い。インターネットの特性を生かし、海外を含めた地理的な距離に制限されず、リアルタイム性にこだわらない、双方向コミュニケーションを生み出すような広告配信システムを考えてみるのも面白いのではないだろうか。
著者プロフィール:MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)
1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。