今回のテーマは「オンラインサービスバックアップ」

ここ数年、ブラウザを使ったWebサービスが続々と登場している。シンプルなコミュニケーションサイトからはじまって、オフィススイートレベルに使えるものや、メール、画像編集など各種Webアプリケーションが存在する。ローカルでの動作と違い、データもオンライン上にある……だから安心と思うことはないだろうか。

実際にはそのようなことはない。コンピュータが壊れるのと同様、オンラインサービスもまた突然のサービス停止やデータの消失が発生する可能性がある。そのような事態に陥った時のリスクを軽減するのはやはりバックアップしかない。

そこで今回はオンラインのサービスに特化したバックアップサービス、オープンソース・ソフトウェアを紹介したい。これまでなんとなく不安だったオンラインのデータも、安心して利用できるようになるだろう。

今回紹介するOSS・Webアプリ
BackupMy.Net』 Webメールやブログをバックアップ
Lifestream Backup』 保存先も選べるライフストリーム保管サービス
Blogger Backup』 Bloggerに書きつづったエントリーを保存したい!
GDocBackup』 「Googleドキュメント」文書を一括バックアップ



Webメールやブログをバックアップ

名称 BackupMy.Net
URL http://backupmy.net/

BackupMy.Net』はメールや各種ソーシャルサービスに対応したオンラインバックアップサービスを提供している。提供しているのはメール/ ブログ/ Twitter/ 写真。メールはGmail/ Hotmail/ Windows Live accountといった具合にWebメールサービスが利用できる。ブログはWordPress/ Blogger/ Typepadが利用可能。それぞれオンラインのアカウントを登録するので、未公開データもバックアップできる点が特徴だ。

トップページ。メール/ ブログ/ Twitter/ 写真の4サービスに分かれている

サービスは有料で提供されており、1GBで19.95ドル、2GBで25.85ドル、5GBで34.7ドルの年間料金がかかる。7日間の無料トライも可能だ。

メールの説明。IMAPやPOP3にも対応している

アカウントを預けることになるので、サービスの信頼性がなければ成り立たないのは事実だろう。だが、格安でデータを多重化をしたいという方は注目したいサービスだ。




保存先も選べるライフストリーム保管サービス

名称 Lifestream Backup
URL http://lifestreambackup.com/

Lifestream Backup』はその名のとおり、ライフストリーミング系サービスに特化したオンラインバックアップサービスだ。Twitter/ Delicious/ Zoho Writer/ Googleドキュメント/ Photobucket/ WordPress/ Flickrといったサービスに対応している。近いうちにYouTubeにも対応予定だ。

トップページ。多彩なソーシャル系サービスに対応

各サービスは複数アカウントの登録が可能で、アカウントを使い分けているユーザにはぴったりのサービスと言えそうだ。データはLifestream Backupへ保存するほか、自分で用意したAmazon S3アカウントへの保存も選択できる。自分でコントロールできる場所にバックアップできるのは大きな利点だろう。

設定画面のスクリーンショット。複数アカウントの登録が可能

利用料は年間で26.95ドル、Amazon S3アカウントを用意すれば9.95ドルでバックアップされるので、わりと低価格なのではないだろうか(Amazon S3の料金は別途)。ソーシャル系サービスを多数利用される方は使ってみてほしい。




Bloggerに書きつづったエントリーを保存したい!

名称 Blogger Backup
URL http://www.codeplex.com/bloggerbackup

Blogger Backup』はBlogger.comのブログデータをバックアップするためのオープンソース・ソフトウェアだ。ひとつのアカウントに紐づいた複数のブログを扱えるようになっており、データはXML形式で保存される。バックアップしたデータは逆にリストアすることも可能だ。

メイン画面。エントリーを指定してバックアップも可能

複数のファイルに分けて保存し、必要なものだけリストアすることもできる。WordPressやMovableTypeで取り込める形式ではないようなので、あくまでもバックアップとして保存しておくものになる。とは言え、バックアップ行為は重要なので、Blogger.comでブログを書かれている方はぜひご利用いただきたい。

バックアップ設定画面。保存方法も指定できる




「Googleドキュメント」文書を一括バックアップ

名称 GDocBackup
URL http://gs.fhtino.it/gdocbackup

メディアへの原稿はここ数年、「Googleドキュメント」を使ってやりとりするようにしている。メールを使うよりも手軽で、何度も同じファイルをやりとりせずに済むのが利点だ。その結果として、100以上のGoogleドキュメントのファイルがリストアップされている。

使わなくなったファイルは消してしまいたいが、その前に実行したいのが『GDocBackup』によるバックアップだ。GDocBackupは自分のアカウントに登録されているGoogleドキュメントの各種ファイルを一括ダウンロードできるソフトウェアだ。

バックアップ処理中画面。複数のドキュメントを一括してバックアップできる

対応しているのはドキュメント/ スプレッドシート/ プレゼンテーションの3形式。各ファイル形式を選択してダウンロードできる。日本語のドキュメントであっても問題なくダウンロードし、そのまますぐにローカルで編集ができるようになる。Googleドキュメントを活用しているユーザにとって便利なソフトウェアになるだろう。

設定画面。バックアップする際にファイル形式を指定できる

いかがでしたか?

ローカルのファイルであっても、オンラインのデータであっても消失したときの痛手は変わらない。Webアプリケーション化が進んでいるからこそ、オンラインデータについてもバックアップを検討する必要が出てきているのではないだろうか。

とはいえ、逆に考えればバックアップがあればこそ、積極的にWebアプリケーションを活用できると言えそうだ。万一の消失やサービスの停止を懸念する人は多いが、適切にバックアップを行っていれば気にせず利用できるようになる。Webサービスを活用している人はもちろん、「これから利用を」と思っている方にとっても有益なサービス、ソフトウェアではないだろうか。

著者プロフィール:MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)

1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。