今回のテーマは「音楽」
インターネットで扱うメディアはテキスト、画像、音楽そして動画と容量が増えてきている。こと音楽についてはMP3が爆発的に広まったこと、そしてiPodがさらにそれを促進して誰もが手軽に扱えるようになっている。従来のCDに対してインターネット上でデータとして扱える分、さまざまなサイトが音楽データを扱っている。
音楽は言葉の壁を越えて楽しめる。パソコンの中に数百曲、数千曲の音楽データを入れている人もいるのではないだろうか。MP3にすれば数GBもあれば十分だ。それだけで一年かかっても聞ききれないほどの音楽量になってしまう。
今回はそんな音楽をテーマにWebアプリケーション、オープンソース・ソフトウェア(OSS)を紹介したい。これらを知れば、もっと音楽が楽しめるようになるはずだ。
今回紹介するOSS・Webアプリ
『Mixwit』 自分だけのテープを作る
『MTV Music』 MTV正式の音楽PVコミュニティ
『Opentape』 Muxtapeクローン
『eAR OS』 各種メディアを楽しむディストリビューション
自分だけのテープを作る
名称 | Mixwit |
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URL | http://www.mixwit.com/ |
20代後半以上の方であれば、CDなどの音楽を編集して自分だけのオリジナルテープを作った経験があるだろう。好きなアーティストを集めたり、音楽のジャンルで集めたりと自分なりの工夫がそこにはあった。そして個人で楽しむのはもちろん、友人にも聞かせたりして楽しんだはずだ。
そんな思い出を蘇らせてくれるサービスが『Mixwit』だ。このサービスでは好きな音楽をリストに追加してテープ風のガジェットを作成するサービスだ。同様のサービスとして「Muxtape」があったが、Muxtapeでは自分のMP3ファイルをアップロードするのに対して、Mixwitは「Skreemr」「Seeqpod」「ccMixer」といったサービスがインデックス化しているオンラインに存在する音楽データを利用している。Mixwit自体は音楽そのものは保持せず、著作権周りでのトラブルを防ごうとしている。
音楽を登録したらテープのラベルに文字を書いたり、スキンを変更したりできる。まさに昔懐かしいテープの形でウィジェットができあがる。できあがったウィジェットはブログやiGoogleへの貼り付け、MySpaceやfacebookなどのSNSで共有といったことができる。テープに音楽を入れる、そんなアナログな楽しさを味わえるのが面白い。
MTV正式の音楽PVコミュニティ
名称 | MTV Music |
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URL | http://www.mtvmusic.com/ |
音楽をオンラインで扱うサービスの場合、常に著作権周りの問題がつきまとう。その点、この『MTV Music』はまったく問題がない。なんとMTVが自身の持っている音楽PV20,000曲以上をオンライン上に解放したものだからだ。もちろんブログに貼り付けるためのコードが用意され、画質も良い。
YouTubeをはじめとした動画共有サイトには多数の動画がアップロードされており、その中にはこうしたPVも存在している。そのためMTV Musicがもっと早く立ち上がっていれば、という意見も聞かれるようだ。だが、コンテンツの合法性や恒久的なサービス提供を行うにはやはりきちんとしたデータを持っているのが望ましい。むしろ適切なコンテンツがあればわざわざYouTubeにアップロードする必要はなくなってくるだろう。
PVに対してコメントを書いたりレーティングをしたりとコミュニケーションを楽しむ仕組みも用意されている。洋楽中心になるだろうが、音楽PVを探す時にはまず見てみたいサービスだ。
Muxtapeクローン
名称 | Opentape |
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URL | http://opentape.fm/ |
オンライン上で音楽を共有、編集サービスであったMuxtapeは、各ユーザが音楽データをアップロードするために違法性を問われ、運営を停止している。手軽に音楽を共有できるので一気に人気が出てしまったのが裏目になり、無念に感じていたユーザの前に現れたのが『Opentape』だ。
Opentapeは、Muxtapeのクローン的オープンソース・ソフトウェアで、同じようにMP3ファイルをアップロードしてオンライン上で聴けるようにする。オープンソースなので、LAN上に立てたりして限定的な楽しみ方ができるはずだ。
アップロードはWebブラウザ上からもできるが、FTPを使って一括でアップロードすることもできる。Flash製の音楽プレーヤが付属するので、アクセスできればどこからでも音楽が楽しめるようになる。この点はMuxtapeのコンセプトを感じさせる。
MuxtapeのコンセプトはMixwitにも生きている。自分でオリジナルのMuxtape風サービスが立てたければOpentapeを使うのが良さそうだ。
各種メディアを楽しむディストリビューション
名称 | eAR OS |
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URL | http://www.earos.dk/ |
音楽だけでなく、動画や写真なども含めて楽しむならメディアサーバを立てることを考えたほうが良い。HDD容量さえあれば、さまざまなメディアを一個所に集めて皆で楽しめるようになる。このとき重要なのが、通常の画面とは違う、キオスク的なインタフェースだ。リモコンでも操作できるくらい簡単なものが良い。
『eAR OS』を使えば、メディアサーバに必要な要素はすべて含まれている。しかもLive CDでも提供されているので、インストールの手間さえいらずに動かすことができるのだ。気に入ればそのままインストールすることもできる。eAR OSはUbuntuをベースとしたディストリビューションだ。
音楽のほか、TV/DVD/写真/ラジオなど各種メディアをeAR OSで楽しめる。Mac OS XのFront Rowに似たインタフェースが提供されており、簡単な操作でメディアを利用できる。HDDを使えばCDやDVDのように入れ替える必要もなく、ずっと音楽を楽しめる。
いかがでしたか?
音楽はデジタルデータの中ではポピュラーな存在だ。レコードやカセットテープのようなアナログなツールからCDやMDなどに移り変わり、さらにHDDやSDカードに移行している。そんな中、テープの楽しさを感じさせてくれるアナログ的なサービスが人気を集めているのも興味深い点だ。
数百GBを超えるHDDではMP3の音楽であれば何千曲も入れられる。だが、その楽しみ方を考えなければ肥やしになってしまい非常にもったいない。メディアサーバを立てたり、編集して掘り起こせたりするようなサービスを使って、もっと音楽を楽しもう。
著者プロフィール
MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)
1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。