セキュリティ対策の中でも、アンチウイルスは群を抜いて導入率が高いです。したがって、「著名なソフトでしっかり保護しているから安心!」と思っている人もが多いのではないでしょうか。「メジャーなアンチウイルスはたくさん利用されているから、実績も信頼もあるって大丈夫」と勘違いしている人が多いです。
ある程度技術に詳しい人ならば知っていると思いますが、アンチウイルスでしっかりと保護してもらえるかどうかは、その設定がシビアかどうかに関わってきます。メーカーの立場で話をすれば、シビアにすればするほどしっかり保護できますが、Webサイトを閲覧するたび、メールを受信するたびにアラートがバンバン鳴って、「うるさいアンチウイルス」になってしまいます。
「アンチウイルスがうるさくなる」と、SNSなどで「ウイルスじゃないのにアラートが上がって、つかえねー」などと言われてしまい、売上にも影響が出るので、設定を甘めにしている有名なアンチウイルスも多いです。詳しい人に聞けば「あそこは甘いよねー」「ここはシビアだよねー」という意見が出てきます。
個人的には、甘いアンチウイルスは怖くて使えません。ウイルス感染はたった1つの穴でも十分打撃を受けるので、シビアじゃないとアンチウイルスとしては不完全だと考えています。私がアドバイザーをしているDr.Webはかなりシビアなほうと言えます。
シビアなアンチウイルスはチューニングができるケースが多い
有名なアンチウイルスで保護しているのにマルウェアがザクザク出てくる調査結果は、最後に紹介します。その前に、シビアなアンチウイルスについて触れておきます。
実際にシビアなアンチウイルスを使ってみるとわかりますが、アラートがバンバン上がります。怪しいものはすべてブロックし、アラートを上げるといった感じです。そうなると、本当にうるさくて使い物になりませんよね。
しかし、シビアなアンチウイルスには大抵チューニング機能がついています。アラートが上がるたびに、そのパターンごとに対応を記憶させることができるのです。これを切り返すことにより、ユーザの環境や使い方に合わせた最適かつシビアなアンチウイルス環境を作れるのです。これは使いこなせばこなすほど、最適なシビアなアンチウイルス環境が作られていくのでとってもおすすめです。
普段保護されているPCを他のアンチウイルスでスキャンするとどうなるか?
さて、以下の表をご覧ください。3つの企業において、すべての検査対象PCに何らかのアンチウイルスのソリューションを導入されている状態で、シビアなアンチウイルスソリューションでスキャンした結果です。
上記の調査結果によると、33.6%~42.4%の割合でウイルスに感染していることがわかりました。これはかなりの割合と考えられます。筆者の経験でも、アンチウイルスを変えてみるとウイルスが見つかる話はよく聞く話です。
次は、日本国内大手機械メーカーの例です。既存のアンチウイルスとは違う、シビアなアンチウイルスを導入した場合のケースになります。
- 企業情報:国内大手機械メーカー
- 既存製品:某社製クライアント用アンチウイルスソフトウェア
- 検査対象:特定のPC300台
- 導入後1カ月以内に検出されたマルウェア数:63件
検出されたマルウェアの内訳
この事例は残念ながら実名での公開はできませんが、かなりのウイルスが見つかっています。ここで終わってしまいますと、不安をあおって終わってしまいますので、最後に簡単な解決方法というか確認方法をお伝えします。
試用版をインストールしてチェックしてみてください
個人のPCであれば、アンチウイルスは自由にインストールできるはずなので、ぜひ普段利用しているものとは違う、アンチウイルスの試用版をインストールしてスキャンしてみてください。それだけで、見えてくるはずです。会社のPCは勝手にインストールできない場合がありますので、管理部門に問い合わせてから試してみてください。経験上、ウイルスが検知される可能性は高いと思いますよ。
ちなみに、アンチウイルス業界にもセカンドオピニオンという考え方があります。もともとは医療の世界で、別のお医者様に見てもらい、第二(セカンド)の意見(オピニオン)をいただくという言葉がありますが、その言葉がそのままアンチウイルスの世界でも利用されています。相性が悪いアンチウイルス同士を同一の端末で稼働させてしまうと、競合することがあるので、同時に複数のアンチウイルスを動作させる際はご注意ください。
試しに別のアンチウイルスを使ってスキャンしてみて、タイトルや前述の調査結果のようにザクザク、マルウェアが出てきてしまった場合は、シビアなほうのアンチウイルスに切り替えたほうがいいかもしれませんよ。甘いアンチウイルスって、やっぱり怖いです。