水中のイメージを画面で確認できる釣り専用デバイス

ワカサギが棲む主な湖は様々だ。川を堰き止めて作った人造湖もあれば、平野の浅い湖にも居る。湖底の形状も起伏に富んでいる場合もあれば、ほぼお皿型に広がっている場合もある。そんな様々な湖にある日突然行くことになって、何の事前情報も無いとすれば、ワカサギの群れを探すのは非常に時間の掛かる作業になることだろう。

一番手っ取り早いのは、地元の釣具店でヒアリングすること。地域の湖沼に詳しく、その日釣れそうなポイントも教えてくれるはずだ。ただし、エキスパートが揃う地元の釣具店とはいえ、その時々の天候の変化などは店に居ながらではなかなか対応できない。結局は、良さそうなポイントを教えてもらったとしても、その日の状況に合わせるのは釣り人の責任になるのだ。

なんだか、釣り人とは孤独なのだと言いたいように思われるかも知れないが、状況に合わせて行くのも釣りの楽しさの一つなであることは間違い無い。そして、その日、その時に居る魚を探す強い味方が魚群探知機なのである。

魚群探知機はアングラーの強い味方。乾電池駆動のポータブルタイプなら、小物釣りに最適だ

魚群探知機を知らない人は多いと思うし、名前は知っていても何をする道具かよく知らない人も居るだろう。ここで簡単に説明しておくと、センサー(振動子)から発信される音波の反射を拾い、それを視覚できるように変換して表示してくれるデバイスだと思ってくれればよい。

水底は硬軟はあれど、水よりはかなり硬いので音波をよく反射する。なので、まずは音波が跳ね返ってくるまでの時間を目安に、水深や地形の変化、また跳ね返りの強弱などによって、岩盤であるか泥であるかなどということまで分かる。最近の魚群探知機は精度が高いので、水草や倒木、沈舟なども映し出してくれるのだ。

そしてここがキモでもあるのだが、魚というのは浮き袋を持っている。ここには気体が詰まっているため、音波を反射する。なので、センサーの下を魚が通ればその反射を拾うので、それも画面に表示されることになるのだ。とはいえ、ワカサギのような小さな魚が一匹居ただけでは、感度設定をよほど高くしなければ映らない。しかし、一塊の群れになっていれば、それは雲のように映るという訳だ。

ワカサギ釣りの場合、魚群探知機で調べるのは湖底の深さと、群れの有無がメインになる。大きな群れの場合、数メートルの幅に密集するように移動するので、調べるのにそれほど苦労はしない。ただし、そのように密集している群れを探すにはそれなりの労力が必要になるし、そうそう思うように密集していないケースも多い。映った群れの形状や密度によって、釣れる群れなのかそうでないかを見極めることも肝心なのだ。

これが投げ込み式のセンサー(振動子)。このタイプはフロート材で浮くように作られている

ボートの脇にぶら下げるようにするだけでオッケーなので、ロープが張り巡らされている中でも使いやすい

実際に使ってみよう!

魚群探知機には様々な種類があるが、今回は電池で稼働するポータブルタイプを使ってみよう。このタイプはコンパクトに収納できるため、ワカサギ釣りのような小物釣りには最適だ。ただし、このシーズンになると湖中にボートを固定するためのロープが張り巡らされるエリアが多く、センサーには一工夫が必要になる。一般的な船縁に固定するタイプのものは移動する度に引っかかってしまうのであまり向いていない。フロートにセンサーがぶら下がるタイプのものだと、自在にロープをかわしてくれるので便利だ。あまりボートのスピードを上げるとセンサーが斜めになってしまい精度が落ちるが、ゆっくり漕いでいるぐらいならきちんと底を向いてくれる。

魚群探知機がセットできたら、いよいよ画面のスイッチを入れる。まずは最初に決めたポイントへ向かいながら、水深の変化や魚の様子を見てみるといい。わたしもあらかじめシーズンによるパターンを考えて、最初にいくポイントは事前に決めておくことが多い。そして、実際にポイントへ向かいながら魚探を見つつ群れの状態を観察、ポイントへ着いたらその周辺をじっくり探って、一番効率が良さそうな場所へボートを固定するといった手順だ。

センサーをセットしたら魚群探知機のスイッチを入れる。ボート乗り場近くは水深5.7m

移動中に群れを発見。しかし、とても小規模で足が速く、これを狙うのは難しそうだ

ちなみに、魚群探知機のセンサーが映している範囲は水深10mで2~5mの円錐形を描く。写真の振動子の場合はあえてエリアを狭く、感度を高くしているタイプなので、水深10mで2mの範囲といったところだ。なので、ボートと同じぐらいの幅をサーチしている感じだと思えばよい。

また、魚群探知機の画面は常に左へスクロールする。一番右が最新の映像で、順に左へ送られているのだ。なので、今この瞬間のデータを見ようと思えば常に右端に出てくる映像を注目しておけば良いし、群れの大きさを判断しようと思ったら全体的に見るようにする。ちなみにスクロールスピードは調整でき、一般的にはボートの進むスピードに合わせるようにすると、底の形状の映像と実際の様子が重なるようになる。しかし、完全に固定するワカサギ釣りのような場合は、好みで選んでもいいだろう。

この他、魚群探知機の各種設定によっても映り方は変わるが、慣れるまではオートモード、もしくはそれに類する簡易設定でも構わない。薄い群れしか居ないような場合は、慎重に設定する必要はあるが、まずは慣れるのが一番だ。

さぁ、準備は整った。あとは画面から得られる情報を頼りに釣りを組み立てていくだけだ

次回は実際の画面を見ながら、ワカサギがどんな映り方をして、どのように釣れてくるか説明していこう。