今回から、Server Coreインストールについて解説していく。これはWindows Server 2008から加わった新しいセットアップ形態で、システム負荷の低減や安全性の向上といった利点がある。その反面、コマンド操作を必要とする場面が多いので、最初は取っつきにくく感じられるかもしれない。

Server Coreはどんな場面で使う?

Server Coreはサーバ本来の機能以外は徹底的にそぎ落とされており、エクスプローラすら存在しない。ログオンすると、画面にはコマンドプロンプトのウィンドウが現れるだけだ。操作はすべてこのコマンドプロンプトで行う。

こうしたシンプルな外見とは裏腹に、使用頻度が高いサーバ機能はフルインストール時と同様に利用できる。フルインストール時と同様に役割・役割サービス・機能の追加操作を行い、必要なものだけを追加する仕組みだ。セキュリティ強化のために「必要なものだけを追加する」という考えを推し進めた、一種の「究極の姿」と言えるだろう。

副次的利点(?)としては、CPUやメモリの負荷が減る点が挙げられる。そのため、Hyper-Vによる仮想化環境で運用する際はServer Coreインストールの利用が推奨されており、このことはベストプラクティスアナライザを動作させると確認できる(ベストプラクティスアナライザはまた別な機会に取り上げる予定だ)。

つまり、Server Coreインストールに向いている場面としては、仮想化環境のようにシステム負荷をできるだけ抑えたい場面、外部からの攻撃に晒されやすいインターネット向けのサーバが考えられる。もちろん、それ以外の時も利用して構わないが、メリットが特に生きるのこの2種類と考えられる。

逆に、不定形の管理操作を頻繁に必要とする用途のサーバでは、Server Coreは面倒に感じられるかもしれない。Server Coreは基本的にコマンドを使用して操作するものだからだ。

なお、コマンドプロンプトで利用可能なコマンドを知るには、書籍の形で刊行されているコマンドリファレンスを参考にする方法と、helpコマンドによるコマンド一覧表示を利用する方法がある。Windowsが標準装備するコマンドは、「/?」や「-?」といったスイッチを指定して実行すれば確認できる。また、いわゆるNETコマンド(「NET ○○」という名前を持つコマンドの一群)は「NET HELP <コマンド名>」と入力すればよい。

Server Coreの操作では、かなり長いコマンドを入力しなければならない場面が発生する。コマンドの中に日本語が混じると、さらに話がややこしくなる。利用可能なコマンドのサンプルをWebサイトで公開していてもその内容が長いと、手作業で入力するのは大変だ。

そんな時は、入力すべきコマンドを別のコンピュータでバッチファイルの形にしておき、それをServer CoreインストールしたWindows Server 2008にUSBフラッシュメモリで持ち込んで実行する手が考えられそうだ。

Server Coreインストールの手順

Server Coreは、Windows Server 2008のセットアップ形態の1種であり、エディションの種類ではない。つまり、エディションごとに、通常のセットアップ(フルインストール)かServer Coreのいずれかを選択するという位置付けになっている。

そして、フルインストールするか、それともServer Coreインストールするかはセットアップ時に選択しなければならず、セットアップ完了後に変更することはできない。もし、変更が必要になった場合はセットアップをやり直す必要がある。

だから、場当たり式にServer Coreインストールを行うと、後で余分な手間がかかる羽目になりそうだ。サーバの設置計画を立案する時点で、どのサーバをフルインストールにするか、どのサーバをServer Coreインストールにするかを、きちんと検討したうえで確定しておく必要がある。

Server Coreインストールにするかどうかは、セットアップの時点で選択する。後から変更することはできず、セットアップのやり直しが必要になる

この選択を行った後のセットアップ手順には、特に変わったところはない。ファイルのコピーとシステム構成を行い、起動した時点でログオン画面を表示する。

Server Coreインストールを行った場合でもフルインストールと同様に、セットアップ完了直後の初回ログオン時にはAdministratorとしてログオンする。ただし、ユーザー名も入力しなければならない点に違いがある。パスワードの初期値は空白で、ログオン直後に変更するよう求められるので、その場で直ちに変更するようにしたい。セキュリティ強化のために余分な機能を削ぎ落としても、Administratorのパスワードが空白では話にならない。

初回は、ユーザー名「Administrator」、パスワード「空白で」ログオンする。その場でパスワードの変更を求めてくるので、手を抜かず、直ちに変更すること

ログオンすると、前述したように、コマンドプロンプトのウィンドウが1つだけ表示された状態になる。ここでコマンドを入力して操作するのだが、注意点がいくつかある。

IMEのオン/オフ操作

コマンドプロンプトでIMEのオン/オフを切り替える際には、[半角/全角]キーではなく、[Alt]+[半角/全角]キーを使用する。

コマンドプロンプトを終了させてしまったら?

実は、フルインストールで使用するコマンドプロンプトと同様、Server Coreインストールしたときに現れるコマンドプロンプトも、exitコマンドを入力すると終了してしまう。すると画面には何もない状態になり、一切の操作が不可能になってしまう。

そんな時は、[Ctrl]+[Alt]+[Del]キーを使ってタスクマネージャを起動したうえで、[ファイル]-[新しいタスクの実行]を選択する。続いて表示するダイアログで「CMD」と入力して[OK]をクリックすると、CMD.EXE、すなわちコマンドプロンプトを起動させることができる。