Microsoftから、Windows 10の次期ブランドとなる「Windows 11」が発表された。気になるのはWindows 11でPowerShellとWindows Terminalがどのような扱いになっていくかだ。今後を予測する上で、すでに配信が始まっている開発版「Windows 11 Insider Preview Build 22000.51」は、リテール版の提供までに中身が大きく変わる可能性があるとはいえ有効なバージョンだと言える。今回は、この辺りについて見ていこう。

Windows 11 Insider Preview登場

Microsoftは「Windows 10が最後のWindowsになる」と発表していたが、この宣言が有効だったのは6年間だけだったということになる。

ただし、Windows 11がWindows 10と全く異なる製品かと言えば、そんなことはない。この秋にリリースが予定されているフィーチャーアップデートバージョンにしてはUI/UXを大胆に変えてきたな、という印象で、Windows 10の漸進的なアップデートといった感のあるバージョンだ。実際、Windows 10からWindows 11へのアップグレードはそれほど難しくないし、少なくとも開発者ならばUI/UXもすぐになじめる程度の違いだ。Windows 10からWindows 11へのアップグレードも無料であり、もしかすると経営判断上のブランド名変更だったのかもしれない。

Windows 11 Insider Preview Build 22000.51

MicrosoftはInsider Prewview Program経由でWindows 11 Insider Previewの配信も始めた。Windows 10 Insider Preview Dev Channelを使っている場合、条件が整っていれば「Windows 11 Insider Preview」へのアップデートが可能だ。

では、Windows 11でPowerShellとWindows Terminalはどのような扱いになっていくのだろうか。もしかすると、MicrosoftはPowerShellとWindows TerminalについてWindows 10での扱いを現状のままに変更し、Windows 11以降にデフォルト化させるという可能性もある。

Windows 11 Insider Previewの状況

Windows 11 Insider Preview Build 22000.51は一番最初に一般向けに公開された開発版だ。このバージョンは今後リテール版の提供までに中身が大きく変わる可能性があり、このまま出荷されるわけではない。しかし、Windows 11のリテール版出荷時の状況を予測する上では有効なバージョンだ。

まず、スタートメニューからアプリケーションをたどっていくと、その中に「Windows Terminal」を見つけることができる。

Windows Terminal on Windows 11 Insider Preview Build 22000.51

この段階でWindows Terminalが入っているということは、Windows 11におけるデフォルトのターミナルアプリケーションはWindows Terminalということで間違いなさそうだ。出荷時にはその時最新の安定版が同梱され、以降はMicrosoft Store経由やWinget経由でアップデートできるものと見られる。

ただし、残念なことに、同梱されているPowerShellは次のスクリーンショットのように以前のWindows PowerShell 5.1系だ。このバージョンにはPowerShell 7の同梱は間に合わなかったか、また基準をクリアすることができなかったのだろう。

デフォルトで同梱されているWindows Terminal

同梱されているPowerShellはWindows PowerShell 5.1系

このため、Windows 11でPowerShell 7を使おうと思ったら、やはり自分で「Releases · PowerShell/PowerShell」から最新版をダウンロードしてきてインストールする必要がある。自分でインストールすれば、次のようにPowerShell 7が動作する。

PowerShell 7.1.3 on Windows Terminal on Windows 11 Insider Preview Build 22000.51

同様に従来のWindows PowerShellのようにターミナル付きで起動してくるバージョンも動作する。

PowerShell 7ターミナル付きでの起動

PowerShell 7ターミナル付きでの起動

今後、どの段階でPowerShell 7が同梱されるようになるかに注目だ。当初のスケジュールから考えると、もしかすると最初のリテール版の出荷には間に合わない可能性もある。しかし、その段階でもまだWindows PowerShell 5.1しか同梱されていないというのはどうかと思うので、筆者は何とかして入れてくるのではないかと予想している。

Windows 10のPowerShellも7になって欲しい

理想としては、Windows 11もWindows 10もPowerShell 7がデフォルトのシェルとなり、Windows Terminalがデフォルトのターミナルアプリケーションになってほしい。2021年後半にWindows 11搭載PCの出荷が開始され、2022年前半には既存のWindows 10ユーザーがWindows 11へアップグレードするパスが開かれると言われている。どれほど多くのユーザーがWindows 11へ移行するかは実施してみないとわからないが、これまでの事例を踏襲するなら、その移行は緩やかに数年間かけて行われる可能性が高い(もちろん、Microsoftが通常のWindows Updateのような簡易さでWindows 11へのアップグレードをプロモーションしてきたら、もっと早く移行が進む可能性もある)。

Windows 10は2025年10月までのサポートが予定されているので、少なくとも後4年以上はセキュリティアップデートが提供される。その場合、4年間はWindows 10とWindows 11が併走する可能性があり、これまでの事例を踏まえればサポートが終了した後もWindows 10が存在し続けるかもしれない。

Windows PowerShellとPowerShell 7に互換性があると言っても、PowerShell 7向けに書いたスクリプトがWindows PowerShell 5.1で動作するとは限らない。できれば、Windows 10もWindows 11もPowerShell 7がデフォルトで利用できるという状況になっていることが好ましいのだ。