カスペルスキーは6月24日、オンラインで事業方針および法人向け新オンライントレーニングサービスに関する記者説明会を開催した。

全体の業績は前年比7%増の成長

まず、はじめにカスペルスキー 代表取締役社長の藤岡健氏は2020年度の業績について「コンシューマ事業はコロナ禍によるリモートワークの需要増、Amazonを中心としたダウンロードビジネスの大幅伸長、サブスクリプションライセンス・新製品により前年比5%となった。また、法人事業は中小企業の新顧顧客が同38%増となり、大手企業は公共系を中心とした大型案件や高度な脅威情報提供サービスの浸透などで同20%増となった。アライアンス事業はモバイルバンキングなど新規プロジェクトの深耕に加え、VPN系ソリューションのアドオンで同2%となり、全体の業績は同7%となった」と振り返る。

カスペルスキー 代表取締役社長の藤岡健氏

カスペルスキー 代表取締役社長の藤岡健氏

2020年度の業績

2020年度の業績

2020年のサイバー脅威に関しては1997年から検知を開始したマルウェアサンプル数は10億以上、2020年に同社製品が検知した悪意のあるファイル、URLなどのオブジェクト数は100億、1日に検知する新規の悪意のあるファイル数は36万に達した。こうした中、日本の傾向として「組織を狙う標的型ランサムウェア攻撃が台頭」「既知のSSL-VPN製品の脆弱性を悪用した初期侵入を観測」「国内モバイルデバイスへの攻撃が活発化」の3点を挙げている。

標的型ランサムウェア攻撃の台頭では、さまざまな業界を標的とし、脅迫手口の変化、窃取したデータを暴露すると脅し、主な初期感染経路はVPNやリモートデスクトップへの総当たり攻撃、サプライチェーン攻撃、スピアフィッシングメールなどがあった。

既知のSSL-VPN製品の脆弱性を悪用した初期侵入については、リモートワーク増加に伴う侵害ポイントの角田により、日本国内でもSSL-VPN製品の脆弱性や漏えいした認証情報の悪用を観測したほか組織ネットワークに不正侵入し、ランサムウェアに感染ケースもあったという。

国内のモバイルデバイスへの攻撃では、金銭の窃取を目的とする「Roaming Mantis」の継続した攻撃活動を観測、Androidデバイスは「Wronba」(バンキング型トロイの木馬)を使用し、iOSデバイスはフィッシングサイトに誘導するケースが散見された。

2020年~2021年の日本におけるサイバー脅威の傾向

2020年~2021年の日本におけるサイバー脅威の傾向