Zuora Japanは4月16日、半期ごとに調査している「サブスクリプション・エコノミー・インデックス(SEI:Subscription Economy Index)」の最新レポート(日本語版)を公開した。
同日行われた記者説明会には、米Zuoraのカスタマーイノベーション担当副社長であり、SEIを発行するサブスクリプション専門シンクタンクSubscribed Instituteの創設者/会長を務めるエイミー・コナリー(Amy Konary)氏が登壇。最新レポートを元に、サブスクリプションビジネスの現状と今後の展望について解説した。
所有から利用へ - サブスクリプションビジネスの伸長
「世の中の嗜好は”所有(Ownership)”から”利用(Usership)”に動いていっていると見ています」――コナリー氏は冒頭、こう切り出した。
つまり、人々が「価値」を手に入れる際、モノやサービスを所有するのではなく、製品やサービスにアクセスして使えればよいという考え方にシフトしているというのだ。
Subscribed Instituteが2012年から1000社以上の企業を対象に実施している調査によれば、サブスクリプション・エコノミー・インデックスは、過去約10年間で437%の成長を見せているという。
2019年の第4四半期から2020年の第4四半期までの収益成長率をピックアップしてみると、サブスクリプション型ビジネスモデルの導入企業は比較的高いパフォーマンスを見せており、特に2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって多少鈍化しつつも、継続的な成長を続けている。
コロナ禍において、各企業が同じような課題を抱える中、なぜサブスクリプション型ビジネスモデルを導入した企業は成長できているのだろうか。
サブスクリプション型ビジネスモデルのメリット
従来型のプロダクト販売ビジネスモデルでは、基本的に複数のチャネルを使い、できるだけ多くの顧客に製品を届ける仕組みで成り立つ。一方、「サブスクリプション型ビジネスモデルでは、中心に顧客がある」とコナリー氏は説明する。
「顧客にフォーカスし、顧客との関係性を重視することがビジネス上の成果に結び付いていっています」(コナリー氏)
顧客との関係性を維持することで、市場の状況が短期的に変化しても、非常に高いレジリエンシー(適応力)を発揮できるのだという。Zuoraの顧客を見ると、コロナ禍においてもサブスクリプション型ビジネスモデルを取り入れている企業は、5社中4社は成長を続けている。これは、「(それらの企業が、自社の)顧客との継続的な関係を構築し、新たな価値を提供したから」(コナリー氏)だ。
そもそも、サブスクリプションのサービスに対する消費者ニーズが高まっていることは言うまでもないだろう。米Harris Pollの協力の下、Subscribed Instituteが12カ国13,626人の成人を対象にオンラインで実施した調査でも、すでに多くの人々が何らかのサブスクリプションサービスを利用しているという結果が出ている。
こうしたニーズの高まりは各業界にインパクトを与えており、「これまでプロダクトやサービスを提供してきた企業は、顧客への価値の提供方法をシフトしていく必要がある」とコナリー氏は見解を示す。
「例えば、ここ数年、自動車の販売台数は下降傾向にありますが、走行距離を見るとどんどん伸びています。となると、各自動車メーカーは自分たちのビジネスを成長させるにあたって、サブスクリプションによっていかに成果を出して行けば良いのか、というところに着目するわけです」(コナリー氏)