JALとNTT Comの導入事例
長谷氏のプレゼンテーション後に、JALとNTT Comの事例が紹介された。JALでは、2017年に各部門個別にトライアル的にRPAの導入を開始し、2018年にIT本部が主管となりエンタープライズアーキテクチャとしてRPA導入の準備を開始。全グループ会社・組織が共通概念のもと開発運用を行い、社内規定やIT部門がCoE(Center Of Excellence)として開発・運用を行う体制を設定し、これらを実現するソリューションとしてBlue Prismを選定した。
そして、2019年から運用を開始しており、現在では社内のさまざまな部門で利用され、オペレーションにおける予備搭載する燃油量の分析や販売部門でセールスレポート(販売報告)の作成、各国のコロナ対応を各便搭乗予定の利用客への案内をはじめ、経理、経営、整備、調達、運航部門などの部門で活用している。
日本航空 IT企画本部 IT推進企画部 一般管理グループ グループ長の高橋優子氏は「エンタープライズアーキテクチャとして導入したことでガバナンスを確立して開発・運用の標準化が実現できたほか、全部門が対象のため類似業務の自動化、オブジェクトの点などの効率性が高く、既存ITシステムの機能追加の代替手段として利用が可能だ。また、CoE体制のため開発レビューを行うことで安定的な運用ができ、関連システムに与えるリスクを管理・回避できる」と効果を口にする。
今後は変化する環境に柔軟・適切に対応するため「運用体制の強化」に加え、ガバナンスを担保して社員独自で開発するためのシステム環境整備、社内教育を開始すると同時にAIなど新技術と連携し、活用の幅を広げていく方針としている。
一方、NTT ComはBlue Prism Cloudを初めて導入した国内企業であり、企業に点在するデータを1つのプラットフォーム上でシームレスに融合するデータ利活用基盤「Smart Data Platform」と組み合わせた「デジタルワーカープラットフォーム」を構想。
これは、デジタルワーカーの開発・実行・管理を行うプラットフォームをクラウド型で提供し、ユーザーの拠点から各種システム・サービスまでをエンドツーエンドで安心・安全な環境で利用できるという。ユースケースとして、問い合わせ対応業務の自動化や審査/検査業務の自動化・高度化、保守業務の自動化・品質向上、複数システムのオペレーション自動化を想定している。
NTT 取締役 プラットフォームサービス本部 データプラットフォームサービス部長の佐々倉秀一氏は「将来的には当社やNTTグループの技術を取り入れた独自のデジタルワーカーの開発・提供を目指し、Smart Data Platformのバックエンドアーキテクチャとして採用を検討している」と強調していた。