この1年の間に新型コロナ感染症対策としてリモートワークが急激に普及し、人々の働き方には大きな変化があった。企業と従業員との関係性も変わりつつあり、人事評価や労働時間管理、安全衛生対策など、人事労務管理領域においても変化への対応が求められている。これからの働き方を考える上で、どのような労務管理が必要なのだろうか。
2月3日に開催されたマイナビニューススペシャルセミナー「労務管理が支える『働き方改革』適応法~New Normal時代の労務対応~」にて、特定社会保険労務士である社会保険労務士法人スマイング 代表社員 成澤紀美氏が解説した。
企業がまず行うべき新型コロナウイルス感染症対策
成澤氏が新型コロナウイルス感染症対策としてまず行うべきとしたのは、会社として対応する際の基本方針の策定と発信だ。従業員に加えて対外的にも安心を伝えるため、以下の項目を中心に決めていくべきだという。
- 予防措置
- 発熱時の対応
- 訪問/来客などの応対対応
- 移動外出時の制限
- 休業時の取り扱い
- 発熱時の出勤停止期間
- テレワーク対応
- 問い合わせ窓口
- 感染が確認された場合の問い合わせ先
また、新型コロナウイルスへの感染が事業所内で確認された場合には、感染症法に基づき、就業禁止の措置を取る必要がある。これについて成澤氏は、従業員が休みやすい環境の整備とハラスメントにつなげないための工夫が重要であるとする。
「体調が思わしくない場合には無理をしないで各種休暇制度を取得するよう奨励したり、治るまではきちんと医師や保健所の相談を仰いで対応するよう呼びかけたりすることが必要です。また、事業所内の派遣労働者や請負労働者についても同様の対応をしなければいけません」(成澤氏)