パフォーマンスモニターとPowerShell
Windowsには「パフォーマンスモニター」と呼ばれるアプリケーションが同梱されているこれは、プロセッサやメモリ、ディスク、ネットワークといったシステムのパフォーマンスに関連するような基本統計データを閲覧するためのアプリケーションだ。タスクマネージャよりも専門性の高いアプリケーションなので普段使うことはないかもしれないが、システムのさまざまな統計データを取得することができるアプリケーションであり、知っておいて損はない。
パフォーマンスモニターの表示を折れ線グラフからレポートに切り替えると、プログラミング言語から利用できるデータとして想像しやすくなる。表示されているテキストがアクセスパスになっており、表示されている値が返り値ということになる。
パフォーマンスモニターが表示するデータはWindows PowerShellからも取得することができるのだが、PowerShell Coreというオープンソースソフトウエアになった段階で利用することができなくなった。ベースとしている.NET Coreがこの機能を提供しなくなったためだ。複数のプラットフォームで動作するようにする場合には除外の対象となるところだろう。
PowerShell 7.0.0 Preview6から、このWindowsのパフォーマンスカウンター情報に再度アクセスできるようになった。今回はこのデータを取得する方法を紹介する。
パフォーマンスカウンターデータを取得するGet-Counterコマンドレット
パフォーマンスカウンターデータはGet-Counterコマンドレットを使って取得することができる。次のように何の引数も指定しないでGet-Counterコマンドレットを実行すると指定可能な引数のサンプルが表示される。
表示されたCounterSamplesを参考にしながらGet-Counterコマンドレットの引数に指定すると、次のように指定したパスのカウンターデータを取得できる。
Get-Counterコマンドレットに指定できるパスは多岐に渡る。指定できるパスはパフォーマンスモニターで追加できる内容などから推測できる。次のようにパフォーマンスモニターではグラフに表示したい対象を追加することができるのだが、ここで指定できるパスはGet-Counterコマンドレットでも指定できる。
次のスクリーンショットは、パフォーマンスモニターで追加表示を行ったカウンターデータをGet-Counterコマンドレットで取得して表示させたものだ。
なお、カウンターのセット名がわかれば次のようにGet-Counterコマンドレットに-ListSetパラメータを指定して内容を表示させることができる。
また、Get-Counterコマンドレットは、-Continuousパラメータを指定することで連続して取得値を表示させ続けることができる。UNIX系OSのstat系コマンドの動作のようなものだ。
システムの挙動に合わせたスクリプトが作成可能になる
Get-Counterコマンドレットが動くと何が嬉しいかと言うと、システムの状況に応じて挙動を変えるスクリプトが組めるようになる点にある。例えば、ディスクの使用量が90%を超えたら指定のメールアドレスに通知を送るとか、システム負荷が既定値を超えた状態が10分以上続いたら指定のメールアドレスに通知するとかいったことが可能になる。取得できるリソース対象が多岐にわたるというのが、特に嬉しいところだ。同じ方法でさまざまなカウンターデータを取得することができる。
UNIX系のOSではそういったスクリプトを組むことはたやすい。PowerShell 7からはPowerShellでも同じような処理が書けるようになる。これでまた1つ、PowerShell 7を使ったシステム管理の範囲が広がったということになる。
Get-CounterはWindows専用のコマンドレット
残念ながら、この機能はもともとWindowsのパフォーマンスカウンターデータを取得するための機能だ。PowerShell Coreになった段階で削除されたことからもわかる通り、Windowsでしか機能しない。次のようにmacOSで実行しても、Get-Counterというコマンドレットは表示されないというエラーが表示される。
Microsoftはユーザーからの要望に応じてWindows以外のプラットフォームへも対応を進めている。Get-Counterコマンドレットは今のところWindowsプラットフォームでしか動作しないが、将来的にはmacOSやLinuxといったほかのプラットフォームでも利用できるようになる可能性もある。今後のリリースで注目しておきたい。