サテライトオフィスの設置やリモートワークの実施など”自由な働き方”が広がり始めているが、一方で顔を合わせないことに起因する「社員間のコミュニケーション不足」が課題になる企業も多い。これまでにない働き方を推進するのであれば、それに対応できるコミュニケーション基盤をしっかりと整備することが必要だ。

10月4日、5日に開催された「NTT Communications Forum 2018」では、NTTコミュニケーションズ ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部 担当課長の藤平武巳氏が登壇。「2020年に向けた「ワークスタイル変革」のこれから~AI時代の働き方改革とコミュニケーション改革~」と題し、コミュニケーションの変化について解説すると共に、それに対応するソリューションを紹介した。

今、コミュニケーションの世界では何が起きているのか

藤平氏は、NTTコミュニケーションズが考える働き方改革とは「ICTを活用して社員の皆さんの幸せ/成長と、会社としての生産性/創造性の向上につながる『新しい働き方』を実現すること」だと説明する。

これに対し、同社が提供できる価値とは「ICT部分をワンストップで提供すること」。すなわち、「ネットワークとセキュリティ」「生産性を向上するためのソリューション」、そして「リモートワークのためのコミュニケーション環境」の3つである。これらをAIやビッグデータ活用と結びつけることで、将来の働き方を再定義していこうというわけだ。

セッションでは、これらのうち特に「リモートワークのためのコミュニケーション環境」について掘り下げた話が展開された。

NTTコミュニケーションズ ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部 担当課長 藤平武巳氏

今、コミュニケーションの世界では何が起きているのか。

藤平氏はコミュニケーションに影響する要素として3つの”変化”を挙げる。

まず、従来はオフィス中心だった働き方が、今はどこにいても仕事ができるようになった。つまり、「場所」の変化だ。次に、PCやメールの利用が中心だった世代からスマホとSNSが中心の世代へと移行する「人」の変化。最後に、メールや電話しかなかった連絡手段が、SNSやチャットなどが普及し多様化した「ツール」の変化である。

特にコミュニケーションの世代間ギャップは使用ツールの違いとイコールで語られがちだが、藤平氏によるとそうではなく、根本的にコミュニケーションに対する考え方が変わってきているのだという。

「1,000人の学生と話してみた結果、興味深いことがわかりました。『リアルな世界で面識のない人とSNSでつながることがある』と答えた学生がとても多かったのです。さらにその人と実際に会ったことがあるという学生もたくさんいましたし、会った学生はほぼ全員が『会って良かった』と答えました」

コミュニケーションに対する若い世代の考え方には、背景として「クラスや家族、塾や部活といった日常で所属するコミュニティでなかなか本音が出せず、外の世界で合う人を見つけているのではないか」と藤平氏は分析する。