OpenStack Days Tokyo 2018が8月2日、東京都中央区のベルサール東京日本橋にて、いよいよ開幕する。

6回目を迎える今年は「Toward Cloud-Native」がテーマ。OpenStackの枠を超えてCloud Nativeにまで深掘りするため、「Cloud Native Days Tokyo 2018」というイベントタイトルも同時に掲げ、今後のテクノロジーについて広く議論していく。

実行委員長を務める長谷川 章博氏は、Cloud Native Days Tokyo 2018を併催する背景について、「これまでのOpenStack Days Tokyoは、OpneStackがカバーする『クラウドネイティブ インフラを作る技術』にフォーカスしてきたが、今後のIT活用においては、VMの運用術だけでなく、APIやフレームワーク、ミドルウェアを使って、全体を効率的に動かす方法についても議論していかなければならない」とコメント。

時代に即した変化であることを強調した。

OpenStack Days Tokyo 2018、Cloud Native Days Tokyo 2018の実行委員長を務める長谷川 章博氏

OpenStack Foundationにも変化が

こうした時流と連動し、OpenStackの役割も大きく変わってきているという。

注力対象は、クラウドインフラからクラウド活用へとシフト。従来のIaaS基盤だけでなく、コンテナ(Kata Containers)やCI/CDツール(Zuul)の開発にも力を入れている。

一方で、IaaS基盤という面においては、2010年のプロジェクト開始以降、コミュニティは拡大を続け、プロジェクトの数は60以上に達した。結果として、未成熟のプロジェクトが増え、各プロダクトが実用に耐えうるものなのか否かが、外部のメンバーから判断できなくなってきたことから、現在は安定稼働を推進するべく、Core開発に注力する方向で議論が進んでいるという。

また、今年5月に開催された「OpenStack Summit Vancouver 2018」では、OpenStackのサポート期間を12カ月から18カ月に延長するほか、18カ月以上のサポートも、メンテナンスするボランティアを調達できる場合に限り認めることを発表。

サポート期間を12カ月から18カ月に延長

さらに、バージョンアップ作業を簡略化するべく、2世代前のバージョンを使用中のユーザーが、最新版へまとめてアップグレードできるような機能を開発している。

2世代分のバージョンアップをまとめでできるFast-Foward Upgradesを開発

クラウド活用へのシフトとともに、OpenStackを支えるメンバーも変わってきている。AT&Tをはじめとするテレコムキャリアや、中国企業の貢献度が大きくなり、エッジ環境など、ユースケース別のインテグレーションや運用ツール群を提供するプロジェクトが増えた。本体の開発に加えて、OpenStack周辺ツールを含めた「活用」という面にも力が注がれている。

エッジ環境向に最適化するプロジェクトが進められている

AI、コンテナ、エッジの講演にも注目

以上のように、OpenStack変革期の只中に開催される今回の「OpenStack Days Tokyo 2018」「Cloud Native Days Tokyo 2018」。主催者が挙げる注目のポイントは、OpenStack本体だけでなく、AIやコンテナ、エッジ環境などにも置かれている。

初日基調講演では、OpenStack FoundationのExecutive Director2名が来日してOpenStackの方針などを解説。そのうえで、キーノートでは、NTTドコモのAIプラットフォーム事例や、トヨタにおけるコネクティッドカー向けサービス基盤などが紹介される。

そのほか、AIの講演としては、グーグルの佐藤 一憲氏によるTesorFlowの解説。エッジ環境に関しては、国内3大モバイルキャリアが5G時代のインフラについてパネルディスカッションを繰り広げる。コンテナでは、KDDIのプラットフォーム技術部の2名がKubernetesによるGPU演算基盤技術の検証結果について発表する予定だ。

最先端を走るエンジニアから直接情報収集できる貴重な機会。ぜひ、楽しみにしていただきたい。