ワークスモバイルジャパンは2018年2月2日、ビジネスチャットツールワークスモバイルジャパンは2018年2月2日、ビジネスチャットツール「LINE WORKS」の1周年記念カンファレンス「LINE WORKS DAY」を開催した。

今回はその中から、野村證券 国内IT戦略部 部長の酒井克臣氏と、ミズノ 情報システム部 情報システム課 課長の南英孝氏が登壇した講演の様子をレポートする。

根強く残る電話とメールの文化から脱却

酒井氏は、LINE WORKSを導入する前の課題について「いま、世の中にはさまざまなコミュニケーション手段があふれています。しかし、なぜか社内には電話とメールの文化が根強く残っており、実際に現場からも『ビジネスで使えるLINEのようなツールはないの?』といった声が上がっていました」と語る。

LINE WORKS導入前の課題

野村證券 国内IT戦略部 部長の酒井克臣氏

そこで同社では、10店舗でLINE WORKSのトライアルを開始。1カ月後にアンケートと利用頻度の調査を実施したところ、「電話が使えない電車内でも利用できる」「”○○様”のようなメール作成時の形式的な文章なしで使える」「リアルタイムに情報共有ができる」「操作が簡単」といった反響があったそうだ。

このトライアル後、同社では約9000名規模の新たなコミュニケーション手段として、2017年12月にLINE WORKSを正式導入した。導入に至ったポイントについては、ビジネスの現場に欠かせない”即時性・スピード感”、堅苦しさがなく”容易なコミュニケーション”、スタンプの利用に代表される”雰囲気の高揚効果”の3つが大きかったそうだ。

コミュニケーションツールなどを導入する際、一般的にはシステム部門からの働きかけが中心となる。しかし、今回のLINE WORKSに関しては圧倒的に現場からの後押しが大きかったという。

また、導入自体は9月頃に決まっていたものの、同社で社員向けに支給しているスマートフォンのセキュリティが強固で確認作業に時間がかかってしまったが、KDDIとワークスモバイルジャパンの手厚いサポートで技術的な課題がクリアできたそうだ。

LINE WORKSの導入に至ったポイント

最後に酒井氏は「今後もLINE WORKSを通じてさまざまな取り組みを行っていく予定です。スマートフォン以外にiPadも支給しているのですが、実際のところあまり使われていませんでした。これは、日々の業務で使うものを入れていなかったのが原因です。LINE WORKSはAPIが公開されているので、各種情報をLINE WORKS経由で配信する、といった使い方もできますね。そのほか、社内における問い合わせ業務の負荷軽減、各種情報収集やログ分析、LINE通話の活用など、幅広い活用方法が考えられます」と語った。

LINE WORKSで働き方が”自然に”改善

ミズノ 情報システム部 情報システム課 課長の南英孝氏

続いて登壇した南氏のセッションは、モデレーターとの対話形式で行われた。 南氏は、LINE WORKSを導入した経緯について「LINE WORKSを導入する以前、弊社のコミュニケーションツールはメールや電話が中心でした。しかし、営業部門や契約選手のサポート部門は外出が多く、電話やメールを使ったやり取りではどうしても時間のロスが発生してしまいます。そうした中で『LINEは使えないのか』という声も数多く出てきました」と語る。

現場の担当者は、選手と社内の両方とコミュニケーションをとる必要がある。そして選手の大半が日常のコミュニケーションツールとして利用しているのがLINEだ。このLINEが使えれば、選手とのコミュニケーションにも大きな変化が生まれる。

彼らの仕事は選手の声をいかに引き出せるかが重要であるため、密接したコミュニケーションが果たす役割は極めて大きいのだ。選手としても、普段から使い慣れているLINEの方が素早く返信できる。

しかし、情報システム部門の観点からは、一般向けのコミュニケーションツールであるLINEをビジネス現場で用いるには、セキュリティ上の大きな壁があった。企業側でIDやログの管理が行えないため、リスクを考えると許可できない状況だったのだ。

そんな時に登場したのがLINE WORKSだった。現場のニーズともマッチしていたことから、同社ではすぐにトライアルをスタートしたそうだ。

モデレーターを務めたワークスモバイルジャパン カスタマーエクスペリエンスマネージャーの長橋明子氏(左)と南氏(右)

LINE WORKS導入後の効果について、南氏は「働き方に大きな変化が生まれました。こうやって使えば効果が出る、というのではなく、まさしく”自然に”改善されていった感じですね。情報システム部門は従来、なにを導入したら、どのような効果が得られるのか、綿密に事前調査を行います。しかし、LINE WORKS導入の場合は異例で、現場からの声が一番大きなきっかけでした。しかも、それぞれが最適な使い方を見つけて、自然な形で働き方改革にも結び付いていく。ツールを押しつけるのではなく、自発的に工夫をする、やる気になることが重要なんだと改めて実感しました」と語る。

最後に南氏は「現在弊社では、営業やサポート部門のように、一日の大半が外出しているような部門において、LINE WORKSの活用でPCを持たずにあらゆる業務がこなせないか、というチャレンジを実施しています。また、LINE WORKSは現状で一般のLINEとグループでのコミュニケーションが行えないのですが、このあたりが改善されればさらに使いやすくなるでしょう。こうした部分も含めて、今後もLINE WORKSの進化に期待したいですね」と、セッションを締めくくった。

なお、一般のLINEを含むグループチャット機能については、別のセッションにおいてLINE 代表取締役社長 CEOの出澤剛氏から「上半期までにはリリースしたいと思っています」という発表が行われた。