日本IBMは9月27日、IBM Watson(Watson)において、これまで提供してきた実績のあるソリューションをパッケージ化したサービスを10月11日より提供開始すると発表。併せて、Watsonのビジネスパートナー連携を拡充していく。
日本でのWatsonの取り組み
冒頭、同社IBMクラウド事業本部長である三澤智光氏は、これまでの取り組みを振り返り「多くのお客様の本番環境で使用されているのは、Watsonの大きな功績だと思っている」と語った。
同社では、ソフトバンクとの提携によりWatsonの日本語APIの提供を続けており、採用企業は今春で200社を超えたという。「AIとコグニティブ市場を牽引する存在として実績を積んできた(三澤氏)」と語る。
昨今、ビジネスにAIを活用する事例は増えている。だからこそ、「”ビジネスのためのAIプラットフォーム”としてWatsonを使って欲しい」と三澤氏は強調する。ビジネス利用を念頭に置いているからこそ、Watsonでは顧客の許可なしにデータやコンテンツを2次利用することはないという。当たり前のように思えるが、自社のサービス向上のために一部データを利用する企業も多い。そんな中、Watsonはビジネスで安心して利用できる環境を強く意識し、あえて明言している。
Watsonの実績のあるソリューションをカタログ化
提供サービスの拡充と先進事例の増大により、これまでにない多くの顧客がWatsonの活用を検討している状況だという。ワトソン事業部長である吉崎敏文氏は、「AIを入れればすべての問題が解決するように思われているが、導入の際は”スイートスポット”を狙わなければ高い効果が期待できない」と語る。
これらの背景から同社では、Watsonのソリューションカタログを作成。IBMとソフトバンクが提供するソリューションを1つにまとめて顧客へ提供する。内容は、「コンサルティング/導入支援」「フロントオフィス業務」「バックオフィス業務」などカテゴリーごとに分類されている。特定の用途に特化しているため、すぐに利用できるほか、効果も出やすいという。現在は45ソリューション(IBM:16、ソフトバンク:29)を用意している。
カタログでは、それぞれのソリューションが解決する課題や機能の紹介、価格、導入までの期間が記載され、顧客は選択するだけでWatsonを活用することが可能となる。どのソリューションも、「すでに導入経験があり、ノウハウもあり、短期間に導入できる」ものだという。吉崎氏の体感だと、導入期間と費用は従来の1/3ほどに削減できるという。
例えば、チャットボットを使った新しい顧客管理では、IBMのチャットボットソリューションをベースにSNSなどの外部サイトと連携し、ユーザー個人の性格と趣向を分析して個人向けレコメンド情報を提供するなどが考えられる。
Watsonのビジネスパートナー制度を拡充
また、Watsonのさらなる拡充を図るために戦略的パートナーであるソフトバンクとの提携関係を強化し、新たなパートナー戦略を進めていく。
従来のWatson開発プログラムでは、すべてソフトバンクに委託していたため、IBMパートナー企業が日本語Watsonを取り扱えない問題があった。今後は、ソフトバンクが束ねていたエコシステムと連携し、よりプログラムを拡充していくという。
現在の提供パートナーは以下の通り。
・インテック
・エス・アンド・アイ
・シグマクシス
・情報技術開発
・トランスコスモス
・AIT
・NCS&A
・システム情報
・電通国際情報サービス
・日本情報通信
今後はソフトバンクと共同でイベントを開催するなど、さらなるエコシステム拡充に努めていくという。