セキュリティ・キャンプ実施協議会と情報処理推進機構(IPA)は8月14日~18日、「セキュリティ・キャンプ全国大会2017」を開催した。本稿では、レポート前編として、大会の趣旨を紹介するとともに、3日目に行われた実践を伴う講義「サイバー犯罪捜査の現場」の模様をお届けする。

「セキュリティ漬け」になる5日間!

セキュリティ・キャンプ全国大会は、まだ社会に出ていない若年層に、独学ではなかなか触れることのできない深い専門知識を伝えることで興味・関心を広げ、ひいては将来、社会を支える人材として活躍してもらうことを目的とした取り組みだ。

のべ500名を超える卒業生は、IT・セキュリティ業界に就職したり、勉強会やCTF(Capture The Flag)大会を開催して身近なところで知識を交換したりと、さまざまなかたちで活躍している。

14回目となる今回は、全国各地から310名が応募し、事前の応募課題の選考を通過した82名が参加。その大半を占めるのは大学生だが、なかには小学生や中学生の姿も見られるなど、若い活気に溢れた大会となった。

大学生を中心に、セキュリティに関心を抱く大勢の若者が一同に介した

4泊5日の期間中、受講者は朝から晩まで、講師やチューターとともにコンピュータアーキテクチャやOS、CPUの仕組み、インターネットやパケットの中身やWebアプリケーションに至るまで、つまり下のレイヤから上のレイヤまでを深く学んでいく。一連の講義の最大の特徴は、「手を動かす」こと。受講者には1~2カ月前から事前課題が課されており、キャンプ当日は手を動かして、時に失敗もしながら試行錯誤し、その知識を体で覚えていく。

これをリードするのが、実際に日本のサイバーセキュリティ業界や研究の最前線で活躍する講師陣だ。今回は、昨年から採用した「トラック制」の講義に加え、「ものづくり」を大きなテーマに掲げて3日間通してハッカソン形式で開発演習を行う「集中コース」を追加したこともあり、全国各地からのべ58名の講師が集まり、講義を行った。

こうした構成について、「セキュリティだけでなく、『ものづくり』を起点にセキュリティを知るコースも設け、昨年までよりも多彩なジャンルにまたがる講義が用意できたと思います。セキュリティの研究を極めるのもいいし、違う業界を目指す人にもセキュリティを意識してもらえればと期待しています」と、セキュリティ・キャンプ実施協議会 講師WG主査の上野宣氏はコメントを寄せる。

全国大会では講義以外にグループワークの時間も設けられている。グループワークでは、グループごとにテーマを決め、講師やチューターのほか、見学者として会場を訪れたセキュリティ技術者に意見を求めながらプレゼンテーションをまとめ、最終日に発表する。こうした取り組みを通じて、受講者同士はもちろん、受講者と講師陣の絆も強くなるのである。