クラウド型人事ソリューション「Workday HCM」を展開するワークデイは7月19日、同社のプライベートカンファレンス「Workday Elevate Tokyo 2017」を東京都内にて開催した。今年で3回目を迎える同カンファレンスでは、HR領域の有識者が集い、今後の日本企業が目指すべきグローバル人事の姿について、さまざまな切り口から語られた。

本稿では、米Workday アジア太平洋地区および日本担当プレジデント デイビッド・ホープ氏による講演「確信を持ってデジタル時代をリードする」の模様をレポートする。

デジタルトランスフォーメーションの成功に必要なモノ

ビジネス環境が目まぐるしく変化する昨今、ライドシェア(相乗り)サービスを提供するUberや完全自動運転に挑むTeslaなど、さまざまな企業が各業界で「ディスラプター(創造的破壊者)」として活躍している。グローバル化が進む国内でもそれは例外ではなく、日本企業は世界の競合にさらされていると言っても過言ではないだろう。

こうした状況の今、デジタルトランスフォーメーションへの取り組みをチャンスだと考えられるかどうかは、変化に対する企業の姿勢次第だ。

登壇したホープ氏は、「デジタルトランスフォーメーションは、ユーザーとの関係や従業員のエンゲージメントにも影響を与えます。どちらも、今後の企業の成長にとって大切なものです」と語り、デジタル戦略がビジネス戦略の重要なカギとなった事例を紹介した。

米Workday アジア太平洋地区および日本担当プレジデント デイビッド・ホープ氏

氏がまず最初に挙げたのは、オンラインDVDレンタルと映像ストリーミング配信事業を展開する米Netflixだ。同社は、オンラインDVDのレンタル・配達サービスによって、従来は実店舗で運営されるのが一般的だったDVDレンタル業界にイノベーションを巻き起こした。その後、映像ストリーミングにフォーカスしたビジネスモデルによって、自らのビジネスも大きく変革したのである。

次に紹介されたING銀行では、銀行内部のIT組織を変革し、アジャイルな変革の実現に取り組んだ。具体的には、組織の階層を排除し、イノベーティブな会議を行える環境を構築したのだという。その試みが成功したことを踏まえ、これを全行に展開。その結果、醸成された企業文化が競合との重要な差別化要因に位置づけられた。

ホープ氏は、「こうした例から、デジタルトランスフォーメーションの成功のために何が必要なのかが見えてきます」と語る。

グローバル化が進み、日進月歩で技術が進化するなかで新たなビジネスを始めようとするならば、俊敏性とスピード感は欠かせない。また、自社製品・サービスのユーザーにはもちろん、従業員にも同じエンゲージメント体験を提供することが重要だという。

「データ主導型のシステムを活用し、従業員にモチベーションを与えられる環境を作ることが大切です。これまでの人事システムは管理者向けのものが主流でしたが、これをクラウド化することで、誰からもアクセスは容易になり、変更にも柔軟に対応できるようになります。迅速な決断も可能になるでしょう」(ホープ氏)

Workdayでは、「Power of 1」という製品コンセプトを掲げており、HCMや財務管理など、同社が提供するソリューションを1つのアーキテクチャでまとめ、全て同じセキュリティモデル、同じバージョンのものをクラウドベースで提供している。

Workdayでは、毎年3月と9月にバージョンアップを行う。2017年7月時点でリリースされているのは、バージョン28だ

「(当社は)2006年にクラウド上でビジネスをスタートしました。これまで我々のプラットフォームに追加してきたイノベーションの多くは、ユーザー主導で生まれたものです。オンラインコミュニティやグローバルイベントなどでのフィードバックを生かしています」(ホープ氏)