4月22日、VAIO初のWindows 10 Mobileスマートフォン「VAIO Phone Biz」が発売された。2月4日の正式発表以降、発売まで3カ月近くを要したものの、現時点ではWindows 10 Mobileとして国内最強スペックを誇ることで注目を集めている。
モデル名に「Biz」が付いたこともあり、法人向けというポジションが明確になっている。だが、VAIOによるオンライン直販や家電量販店、楽天モバイルなどでも発売されており、個人でも問題なく購入できる。
果たしてVAIO Phone Bizはどのような端末に仕上がっているのか、発売前に試用する機会を得たのでレビューしてみたい。
VAIOロゴを中心に高い精度に仕上がっている金属ボディ
VAIO Phone Bizを手に取ってすぐにわかるのが、質感の高さだ。VAIOのロゴは高い工作精度で彫り込まれており、所有感を満たすポイントになっている。特にVAIOシリーズのPCを使っているユーザーなら、統一感のあるデザインに満足できるはずだ。
本体背面はわずかにカーブを描いており、5.5インチという大画面ディスプレイを搭載しながらも持ちやすい。
デザイン性を求めたWindows 10 Mobileには、トリニティの「NuAns NEO」もある。NuAns NEOは木材や革、布といった自然の素材感を強調していたのに対し、VAIOは金属的な質感を前面に出している。どちらが優れているというわけではないものの、薄く先進的なスマートフォンを求める人には、VAIOが向いていると言える。
ただ、本体を隅々まで観察していくと気になる点も目についた。アンテナと思われる樹脂製部品の接合部を見ると、段差のある部分とない部分があった。いわゆる「格安スマホ」なら許容範囲と言えるほど細かな点だが、高いデザイン性を売りにしているVAIOだけに、細部までこだわってほしいところだ。
本体を使っていて気になるのは、電源ボタンの遠さだ。本体に向かって右上端にあり、間違って押すことがないというメリットはあるものの、電源を入れるのに両手を使わざるを得ない場面が多かった。
ケーブルを忘れても大丈夫というmicroUSBの安心感
VAIO Phone Bizは基本性能も高い。CPUは国内向けモデルとしては最上位のSnapdragon 617を、メモリーはNuAns NEOよりも多い3GBを搭載する。Continuumを利用中に次々とアプリを起動しても、余裕がある印象だ。
無線接続によるContinuumは、おおむね問題なく利用できた。だが、画面切り替え時に描画が少しもたついたり、ノイズが乗ってしまったりする点は気になった。また、アプリのContinuum対応にも課題を残しており、ExcelやWordといった標準搭載のアプリのほかに、TwitterやFacebook、LINEの公式アプリなど一部にとどまっている。
インタフェースの特徴としては、一般的なmicroUSB 2.0を採用する点が挙げられる。先進的なイメージのあるVAIOだけに、他機種のように「USB Type-C」を期待する向きもあるだろう。だが、USB Type-Cはまだ実用性が低いという問題もある。
スマホやモバイルバッテリーなどは、まだ充電にmicroUSBを採用する機種がほとんどだ。そのため、USB Type-Cのスマホを使う場合、ケーブルか変換アダプターを余分に持ち歩く必要がある。万が一忘れた時は、持っている人や売っている場所を探すのに一苦労するだろう。
Snapdragon 617ではUSB 2.0止まりのため、有線接続のContinuumに対応できないことも相まって、microUSBを採用したのはかなり現実的な判断と言える。
Continuum評価用の端末としてもおすすめ
このようにVAIO Phone Bizは、これまでに国内で登場したWindows 10 Mobileの中で、デザインも性能も最も高いレベルにある端末と言える。法人向けを想定した製品とはいえ、まずは個人で試したいというIT管理者などにもおすすめできる。
Snapdragon 617を搭載している点では、トリニティの「NuAns NEO」に遅れを取った感はある。だがVAIO Phone Bizはより幅広い地域に展開しており、実際に手に取って試せる機会は多くなりそうだ。
5万4800円(税別)という価格はどうだろうか。NuAns NEOはカバーを入れて4万円台前半で購入できることもあり、VAIO Phone Bizのほうが基本性能が高いことを考慮しても、若干の割高感はある。夏にはHPのハイエンドモデルの登場が見えているだけに、もう一段値下げされれば、より買いやすくなるだろう。