これまで、さまざまなマイクロソフトのサーバ製品を引き合いに出しながら、「TechNet Onlineには、こんなコンテンツがある」「TechNet Onlineには、こんな使い方がある」といった話を取り上げてきた。その話はひと区切りとして、今週はTechNet Onlineに新たに加わった新コーナー、Active Directory TechCenterを紹介しよう。

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Active Directory (AD) TechNetマイクロソフト技術情報

今まで存在しなかったのが不思議な話だが、TechNet OnlineにActive DirectoryのTechCenterが開設された

なお、Active Directoryが登場したのはWindows 2000からなので、2010年はちょうど10周年にあたるそうだ。まさか、10周年だからTechCenterができたというわけでもないだろうが…。

全般的に、エンタープライズ向けの内容

かく申す筆者自身、マイコミジャーナルで『にわか管理者のためのActive Directory入門』という連載を行っている。これはどちらかというと「基本」に属する話を、個別に手短にまとめて連載の形にしたものだ。それに対してTechNet OnlineのActive Directory TechCenterでは、TechNet Onlineという媒体の性質もあってか、企業のシステム管理者を念頭に置いた記事が充実している点が特徴といえる。

もちろん、「Active Directoryとは?」あるいはWindows Serverのバージョンに依存する情報といった基本的な解説もあるのだが、たとえばWebキャストの一覧を見ると「グループポリシー」「認証基盤の可用性向上」「IDの集中管理」など、企業ユーザーを意識したコンテンツが目立つ。

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IT Pro 道場 for Webcast: Active Directory 入門編

同じことは、トップ画面を下の方にスクロールしていくと並んでいる、コンテンツの一覧にもいえる。基本となるAD DSはともかく、それ以外は "エンタープライズ色が濃い" 内容となっている。

  • Active Directory Domain Service (AD DS)
  • Active Directory Certification Service(AD CS)
  • Active Directory Rights Management Service(AD RMS)
  • Active Directory Lightweight Directory Service(AD LDS)
  • Active Directory Federation Service(AD FS)

Active Directory TechCenterのトップページで画面を下方にスクロールしていくと、主要機能の一覧が現れる。それぞれ、クリックすると解説記事のリンク集に移動できる

個人的には、マイコミジャーナルの連載で入門して、さらにそこからTechNet Onlineの情報にステップアップしていただけると嬉しい。それぞれ、目指しているところが異なるため、うまく相互補完の関係が成立すると思うが、どうだろうか。

どの機能解説についても、機能名称をクリックするか、画面を下方にスクロールしていくと、Windows Serverのバージョンごとに、それぞれの機能に関する解説を読めるようになっている。いずれも、「設計」→「導入」→「トラブルシューティングなど」といった流れになっている。

Windows Serverが提供する機能によっては、Windows Serverのバージョンアップによって能力強化が図られている場合があるため、バージョンごとに分けて解説しなければならない理屈だ。惜しまれるのは、本稿執筆時点では日本語のドキュメントが提供されていないケースが残っていることだが、これはおいおい、追加されていくことになるのだろう。

Active DirectoryのTechCenterでも例によって、新着情報のRSS配信を行っている。まだ出来たてで、記事がこれから充実していく段階だから、新着情報のチェックは他のTechCenter以上に重要かも知れない。

関連するコンテンツいろいろ

理想をいえば、Active Directoryを使ってすべてのユーザーID情報を集中管理してシングルサインオン(SSO)を実現したい。しかし、使用しているハード/ソフトによっては、なかなかそうもいかない場合がある。そこで問題になるのがID管理だが、それについては別途、FIM(Forefront Identity Manager)のTechCenterがあり、Active DirectoryのTechCenterからリンクされている。

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FIM TechCenter (旧称 ILM)

FIM(Forefront Identity Manager)は、MIIS(Microsoft Identity Integration Server) 2003やILM(Identity Lifecycle Manger)2007といった、ユーザーID情報管理に使用する製品の最新バージョンだ。Active DirectoryによるユーザーID集中管理を行えない場面で活用する製品、と位置付けられている。

Active DirectoryだけでユーザーID管理を完結できない場合、MIIS、ILM、FIMといった製品を利用する場面も出てくるだろう

このほか、他のTechCenterでも馴染み深い「自習書シリーズ」は、Active Directoryに対応するものも用意されている。

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Active Directory 自習書シリーズ

これまで、本連載で大きく取り上げてきていないTechNet Onlineのコンテンツとして、スクリプトセンターがある。Windowsが備えるスクリプト機能を使ってシステム管理の自動化を図るための情報をまとめたコーナーだ。

そして、Active DirectoryはADSI(Active Directory Service Interfaces)を使って外部のプログラムから操作できる設計になっているため、スクリプトによる操作も行える。Active Directoryの管理作業に関連するスクリプトについては、スクリプトセンターの中に専用のコーナーが設けられているので、Active Directoryを扱うシステム管理者は要チェックだ。

Active Directoryの管理にまつわる提携作業をスクリプトで自動化するなら、Active Directory TechCenterからリンクされている、スクリプトセンター内のスクリプト集は要チェックだ

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スクリプト一覧 : Active Directory