本連載では、RFPによる調達は主に大規模開発や全社的な基盤構築などを調達する際に実施されると説明してきました。というのも、小規模な開発や機器購入においては、RFPを作成する際にかかる時間、工数、難易度を考えた時、RFPによる調達の必要性、言い換えればそれに見合う効果やリスク回避が達成できるかどうかという点で問題があるからです。さらに、RFPによる調達を実施するにあたっては、評価の面から慎重さが求められます。

RFPに応じて取引先が提示する提案書を評価することは簡単ではありません。評価を誤ると、価格にばかり目が行ってしまい、結果的に安物買いの銭失いとなったり、調達するサービスに比して高い買い物をしてしまったりします。しかし、適切に評価を行って適正な調達ができるならば、よりよい品質のサービス/物品を妥当な価格で手に入れられるでしょう。

繰り返しになりますが、適正な調達をするということは、欲しいものを「より安く調達する」ことではありません。市場価格などを考慮し、求めるサービス/物品の品質に見合った価格で調達することです。そして、その意思決定を第三者に説明できることが大切です。

今回は、RFPを受けて提出される提案書を評価する際に重要なポイントについて解説します。

専門性を有する評価者を選出

評価しなければならない提案書の内容は多岐に渡ります。提示されたサービス/物品の品質、契約条項の妥当性やスケジュール・体制の実現性などです。先述したように、RFPによる調達は高額/大規模案件であることがほとんどである上、専門性も求められることから、1人で実施するのは困難です。また、公正な調達という観点からも複数人で実施することが妥当でしょう。

評価メンバーとしては、主に次のような専門性を有する人の参画が望まれます。

● 契約などの取引条項、コンプライアンス、法令
●プロジェクト管理、原価管理
●品質管理、セキュリティ
●ユーザー要件
●全社のハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなどのインフラ構築・保守、およびこれらに関係する ツール群
●システム構築、保守、およびこれらに関係するツール群
●運用
●市場動向、技術動向

『出典:システム開発ジャーナル Vol.5(2008年7月発刊)
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