監視機能だけじゃない! 多彩な管理機能を提供
Hinemos(ヒネモス)は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2004年に実施した「オープンソフトウエア活用基盤整備事業」の1つ「分散ファシリティ統合マネージャの開発」の委託を受けて、NTTデータが開発したオープンソースの統合運用管理ツールです。2005年8月末にHinemos ver.1がリリースされ、その後ver.2.0、ver.2.1、ver.2.2のリリースを経て、2007年10月に最新版のver.2.3がリリースされました(注)。
注:2008年にHinemos ver.3.0.0 がリリースされています
このHinemos ver.2.3では、改善の要望が多かったWindowsに対する監視機能が強化されています。これによって、LinuxサーバとWindowsサーバが混在する環境において同レベルの監視を行えるようになりました。また、IPAが主催する「ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー2007」を受賞するなど、Hinemosに対する評価、注目度はますます高まっています。
Hinemosの最大の特徴は、他のオープンソースソフトウェア(OSS)の運用管理ツールと比べて機能が豊富な点です。他のOSSの運用管理ツールは、ログ監視や死活監視(*)、性能監視といった監視機能のみを提供しているのに対し、Hinemosでは監視機能に加えて、ジョブ管理機能や一括制御機能などの管理機能も提供されています。
また、運用対象ノードをグループ化し、そのグループ(スコープ)単位で各機能を実行できるため、複数の監視対象を効率的に運用管理できる点も特徴の1つと言えます。その他、インストールマニュアルやユーザーマニュアルなどの各種日本語ドキュメントが開発元より提供されていること、GUIによる操作や設定が容易であること、OSSなので誰でも自由にダウンロードして無料で利用できること、それによってベンダーロックインを回避できることなども、Hinemosの特徴として挙げられます。
死活監視:定期的に信号を送るなどして、サーバやネットワーク機器が動作しているかどうかを監視すること
パッケージを構成する既存のOSSの準備・設定は不要
Hinemosは大きくマネージャ部、エージェント部、クライアント部の3つの部分から構成されています。マネージャ部では運用対象ノードの情報やスコープ、監視設定情報の管理、データの収集、蓄積、処理を行います。また、エージェント部では運用対象ノードの制御とデータ転送を行っており、クライアント部ではユーザーへの情報表示、およびユーザー操作画面を提供しています。以下の図に示した通り、各部分では既存のOSSを利用しています。
Hinemosのインストールパッケージは、SourceForge.jpで公開されているHinemosのダウンロードサイトより入手できます。各部分を構成している各種OSSはインストールパッケージにすべて含まれているため、個別に準備・設定する必要はありません。また、Hinemosの最新情報は、Hinemosのポータルサイトに適宜アップロードされるので、参考にしてください。
執筆者プロフィール
中西康貴(Koki Nakanishi)
株式会社NTTデータ 基盤システム事業本部 オープンソース開発センタ 技術開発担当。
『出典:システム開発ジャーナル Vol.1(2007年11月発刊)』
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。