本連載では、ユーザー側も開発側もたくさんの問題を抱えている見積りに関する問題を解決するためのヒントを提供します。今回から数回にわたり、規模見積りに焦点を当てて、陥りやすい失敗や成功のための秘訣について解説します。今回は、上流行程の規模見積りとしてよく行われる「画面・帳票の見積り」を成功させるためのポイントを説明します。

**事例1** 画面/帳票数の見積りで見落としてしまったものは?

上流工程における見積りでは、画面/帳票数を規模の尺度として使用して見積もることがよくあります。ユーザーも理解しやすい尺度であり、要求仕様の中でも比較的早い時期に明確になるため、使い勝手の良い尺度です。しかし、システムの特性などを考えずに安直に使用すると、他システムとの外部接続機能や内部のバッチ処理など、ユーザーから見えにくい機能を見落としてしまいがちなので注意が必要です。

見積り対象が画面/帳票主体のシステムであれば大きな問題にはなりませんが、そうでない場合は規模だけでなく、その後の工数、コスト見積りに大きな影響を与えます。そのシステムの主体となる部分をきちんと見抜き、適切な尺度を使用することが大切です。昨今は個々のシステムが複雑に結び付き、外部接続機能の重要性が高まってきているので、特にご注意ください。

ファンクションポイント数を尺度として使用すれば、外部接続機能も規模として計上するのでこのような見落としを防ぐことができます。要求仕様から画面/帳票数が見える段階であれば、簡略化したファンクションポイント法により見積もることが可能です。

画面/帳票数の見積りではシステムの特性を考慮して尺度を決める!

執筆者プロフィール

藤貫美佐(Misa Fujinuki)
株式会社NTTデータ SIコンピテンシー本部 SEPG 設計積算推進担当 課長。IFPUG Certified Function Point Specialist。日本ファンクションポイントユーザー会の事務局長を務める。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.2(2008年1月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。