デジタル化が進む現代社会において、ネットワークセキュリティは企業や個人の情報資産を守る上で欠かせない要素である。近年特に、リモートワークの普及やクラウドサービスの利用拡大により、セキュリティリスクがかつてないほど増大している。これに立ち向かっていくには、最新のネットワークセキュリティ対策を理解し、実践することが重要だ。本稿では、ネットワークセキュリティの基本から、最新の対策方法までを解説する。

ネットワークセキュリティとは

ネットワークセキュリティとは、企業や個人の情報資産を保護するために、ネットワーク上のさまざまな脅威からシステムやデータを守る手段のことである。マルウェアや不正アクセス、フィッシング攻撃など、攻撃手法が日々進化する昨今、それらに対し、迅速かつ適切な防御策を講じる必要がある。

具体的なセキュリティ対策には、ファイアウォールやIDS/IPS(Intrusion Detection System:侵入検知システム/Intrusion Prevention System:侵入防止システム)の導入、ネットワークセキュリティキーの強化、定期的な脆弱性診断などが挙げられる。これらの対策により、外部からの不正アクセスを防ぎ、データの損失や盗難のリスクを低減できる。

また、クラウドサービスの活用が進む今、クラウド環境におけるデータ保護やアクセス管理を適切に行うことも、ビジネスの継続性を確保するために欠かせない。日々進化するサイバー攻撃に立ち向かうには、最新のセキュリティ技術を適切に活用することが有効だ。

ネットワークを脅かす主な脅威

ネットワークを脅かす主な脅威としては、マルウェアや不正アクセスなどが挙げられる。それぞれについて、以下に説明しよう。

マルウェア

マルウェアとは、悪意を持ったソフトウェアの総称であり、システムに損害を与えたり、情報を無断で収集したりするものである。ウイルスやスパイウェア、ランサムウェアなどさまざまな種類が存在する。

マルウェアが企業のネットワークに侵入を企てる手口は年々巧妙化しているため、最新の動向を踏まえた対策を継続的に実施していくことが不可欠である。例えば、定期的なソフトウェアアップデートや、信頼できるセキュリティソフトの導入などはそうした施策の一つだ。

不正アクセス

不正アクセスとは、権限のない第三者がシステムやネットワークに侵入する行為である。これには、パスワードクラックやフィッシングといった手口が使われるほか、近年ではVPN(Virtual Private Network)の脆弱性を狙った攻撃も増えている。いずれにせよ、不正アクセスは情報漏洩やサービス停止といった甚大な被害をもたらす可能性があり、企業にとって大きな脅威であることは言うまでもない。

具体的な対策として、強固なパスワードポリシーの導入や二要素認証(2FA:two-factor authentication)、多要素認証の活用などが有効だ。また、定期的なログ監視やセキュリティパッチの更新も重要である。こうした対策を着実に実施することで、不正アクセスのリスクの軽減が期待できる。

主なネットワークセキュリティ対策

一口にネットワークセキュリティと言っても、その対策は多岐にわたる。以下に、主なネットワークセキュリティ対策を挙げる。

  • ファイアウォールやIDS/IPSの導入
  • ネットワークセキュリティキーの強化
  • 定期的な脆弱性診断

これらの対策を組み合わせて実施することで、ネットワークセキュリティを大幅に強化することが可能である。以下に、それぞれの対策について説明しよう。

ファイアウォールやIDS/IPSの導入

ファイアウォールは、外部からの不正アクセスを防ぐための基本的なセキュリティソリューションである。内部ネットワークと外部ネットワークの境界に設置し、トラフィックを監視・制御することでセキュリティを強化する。

一方、IDS(侵入検知システム)とIPS(侵入防止システム)は、ネットワークに対する攻撃や異常な活動をリアルタイムで検出、そして防止する役割を担う。

ネットワークセキュリティキーの強化

ネットワークセキュリティキーの強化は、セキュリティ対策において重要な役割を果たす。まず、基本は強力なパスワードを設定することだ。内閣サイバーセキュリティセンターが公開する「インターネットの安全・安心ハンドブックVer 5.00」では、「ログイン用パスワードは英大文字小文字+数字 +記号混じりで10桁以上」が推奨されている。もちろん、定期的なパスワード変更も欠かせない。

さらに、二要素認証を導入することで、不正アクセスのリスクを大幅に低減することが可能となる。

定期的な脆弱性診断

定期的な脆弱性診断は、システムの弱点や未修正のセキュリティホールの早期発見に有効だ。適切な対応策をいち早く講じることが、サイバー攻撃のリスクの大幅な低減につながることは言うまでもない。

最新のセキュリティ技術

最新のセキュリティ技術は、サイバー攻撃が進化する現代において必須である。特に注目されるのは、クラウドセキュリティやゼロトラストアーキテクチャだ。それぞれの概要は以下の通りだ。

クラウドセキュリティ

クラウドセキュリティとは、クラウドサービス上でのデータやアプリケーションを保護するための一連の技術と対策を指す。その利便性の高さから、多くの企業がクラウドサービスを利用しているが、それに伴うセキュリティ面のリスクが上昇するという課題も存在する。クラウド上にデータを保管するため、データ漏洩や不正アクセス、サイバー攻撃のリスクが高まることは否めない。

これらの課題を解決するものとして期待を集めているのがCSPM(Cloud Security Posture Management)やCASB(Cloud Access Security Broker)といった技術だ。CSPMではクラウドインフラ全体の構成やセキュリティ設定を監視・管理する。一方、CASBはアクセスの制御・管理やデータの保護によってセキュリティを強化する。

また近年、ネットワークとセキュリティの機能をクラウド上で統合して管理することで、セキュアなアクセスを実現する概念として登場したのがSASE(Secure Access Service Edge)だ。基本コンポーネントとして、上述のCASBのほか、FWaaS(Firewall as a Service)、DNS(Domain Name System)、SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)などが含まれる(参考記事:ネットワークセキュリティを高めるには? 押さえておきたいSASEの基本)。

ゼロトラストアーキテクチャ

ゼロトラストアーキテクチャは、従来型の境界防御に頼らずに、ネットワークの内外全てのトラフィックを信頼しないことでセキュリティを確保するという考え方だ。ユーザーやデバイスごとにアクセスを認証・許可し、最小権限の原則を適用する。

この枠組みは特にリモートワークが増加する現在、企業の情報資産を保護する上で非常に有効だ。大手企業では、クラウドサービスの利用やリモートアクセス環境を安全に管理するためにゼロトラストモデルを導入する例が増加している。

適切なセキュリティサービスの選び方

適切なセキュリティサービスを選ぶためには、まず自社のセキュリティニーズを正確に把握することが重要である。企業の規模や業種によっても必要となるセキュリティ対策は異なるため、それを踏まえた上で市場に存在するセキュリティサービスの主要な特徴を調べ、各サービスのメリットとデメリットを比較検討することが肝要だ。

検討する上では、導入後の運用を考慮したコストパフォーマンスの評価も必要である。サービスの初期コストだけでなく、定期的なメンテナンスやアップデートの手間も含めて、総合的な評価が求められる。

必要なのは継続的なネットワークセキュリティの強化

ネットワークセキュリティは、現代のビジネス運営における最も重要な要素の一つである。サイバー攻撃の手法が日進月歩で進化する現在、セキュリティ対策もこまめなアップデートが不可欠である。今回、ネットワークセキュリティの基本とも言えるファイアウォールやIDS/IPSの導入、強力なセキュリティキーの設定、脆弱性診断などを紹介したが、必要に応じてクラウドセキュリティやゼロトラストアーキテクチャのような最新技術も取り入れていくべきだろう。

ネットワークセキュリティは一度対策をして終わりではない。巧妙化が進むサイバー攻撃に打ち勝つためにも、継続的な対策の強化を心掛けていただきたい。

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