サンクネット 代表取締役社長 片町吉男氏

サンクネットが手掛けるアウトソーシング事業の内容は多岐にわたる。それは同社の生い立ちにも関係していると言えよう。1997年に設立した同社は、ITサポートのアウトソーシング事業からスタートしている。

金融機関における端末機の設置、流通業におけるPOSレジなどを、一定期間内に全国一斉に設置する業務が設立当初の中核事業。全国のエンジニアリング会社とパートナーシップを結び、全国均一の技術水準で、短期間に端末を一斉に設置するための仕組みを持つことが、同社の大きな差別化点となっていた。

「設立当初から、技術水準が低い企業や学生を起用するといったことは行わず、各地域において実績を持つ企業とパートナーシップを結んだ。パートナー各社がスムーズに設置を行えるように手順書などを準備し、これにより、短期間で信頼性の高い機器設置を進めていった」(サンクネットの片町吉男社長)という。

現在では、このパートナーシップが47都道府県、約900社にまで広がっている。信頼性の高い機器設置の実績は、その後、機器の保守・サポート展開への広がりやコールセンター事業への拡大へと結びつき、さらには、コールセンターを活用したサポート事業の委託、個人宅向けの訪問サポート事業、アウトバウンド型営業ビジネスなどへと広がりを見せた。

「お客様からこんなことはできないかという提案をいただくと、どうやったら実現できるかを考えてみる。その繰り返しが、サンクネットのアウトソーシング事業の幅を広げることにつながった」と、片町社長は振り返る。

サンクネット 事業推進グループ グループマネージャー 神田俊輔氏

コールセンターのアウトソーシングを請け負っていたある企業からは、物流アウトソーシングに関する相談を持ちかけられ、それに合わせて物流センターを開設したという経緯のほか、社内の名刺印刷やパンフレットのデザインなどについても、同様に顧客からの要望をもとに検討した結果、新たなサービスとして提供した経緯がある。

「1つのアウトソーシングサービスを提供するだけでなく、複数の業務を組み合わせたアウトソーシングを請け負うことができるのがサンクネットの特徴。それによって、お客様はトータルでのメリットを享受でき、当社にとっても他社との差別化につながる」というわけだ。

例えば、EC事業に参入したい企業の場合、ECに関するノウハウをまったく持っていなくても、サイトの構築、サイトに掲載する写真の撮影、サイトの運用、購入決済、物流、在庫管理、顧客管理、製品検査、製品サポート、修理といった一連のサービスを、サンクネットに一括して任せることができる。もちろん、これらのサービスから必要なものだけを選んで委託するということも可能だ。

「お客様が必要とするサービスだけを組み合わせて提供できるのがサンクネットのアウトソーシング事業の強み。さらに、欲しいと思うサービスがない場合も、お客様と協業しながら、新たなサービスとして開発し、柔軟に対応することもできる。1つのアウトソーシングサービスを低料金で提供するというビジネスモデルは当社には適していない。複数のサービスを組み合わせることによって、サンクネットならではの付加価値を提供できる」と、事業推進グループの神田俊輔グループマネージャーは語る。

設計チームにより、業務分析やサービス設計を行い、最適なサービスを提供することができるのも、サンクネットならではの体制だ。サービスをモジュールのように組み合わせることによって、ワンストップで、利便性の高いアウトソーシングサービスを提供できるのがサンクネットの事業スタイルと言える。