一般的に、アウトソーシングの活用は、コスト削減などの観点から「守りの経営」に活用されるという認識が強い。
だが、アウトソーシングの活用メリットが生み出されるのは、むしろ、「攻めの経営」の場合だといっていい。
サンクネットの片町吉男社長は、こんな事例を示しながら、攻めの経営でのアウトソーシング活用を提案する。
「これまで10年以上に渡って、当該企業の基幹ビジネスであったものを、当社に丸ごとアウトソーシングするといった企業があった。そのビジネスは、確かにいまは基幹ビジネスではあるが、今後は事業縮小が見込まれ、成長事業とは捉えていない。それを当社がアウトソーシングの形で事業を継続する一方、社員を新たな事業創出の方にシフトし、成長戦略に踏み出すことにした。攻めの経営を実現するために、アウトソーシングを活用する好例のひとつ」という。
これは、安定事業に関しては、担当役員を1人だけ配置して、アウトソーシングしてしまうことが、企業存続に向けて不可欠だと判断した事例だ。
一方で、自らの企業にノウハウがない事業やサービスを新たに開始する場合にもアウトソーシングの利用は効果的だ。
サンクネットが手がけるコールセンターアウトソーシングや物流アウトソーシングは、その最たるものだろう。
顧客満足度を高めるためにコールセンターを開設する場合にも、そのノウハウを持たない企業が1から構築するのでは、あまりにも時間やコストがかかり、即効性が薄くなる。一定の顧客満足度レベルにまで引き上げるのも時間がかかるだろう。
また、新規事業を開始する際にも、これまでにノウハウがない物流や在庫管理などが求められる場合がある。だが、この仕組みの構築には、時間とコストがかかりすぎて、新規参入の障壁にもなりかねない。
こうした場合にも、アウトソーシングを活用することは大きな意味を持つ。
片町社長は、「当社のアウトソーシングは、作業を提供するのではなく、業務を提供している」と表現する。
作業とは単に与えられた仕事をこなすことだが、業務には蓄積したノウハウを活用して付加価値を提供するという意味を込めている。
コールセンターや物流アウトソーシングでも、同社が蓄積した業務ノウハウを提供できる点が特徴だと胸を張る。
「アウトソーシングが持つ業務ノウハウを活用してもらうことで、お互いにWIN-WINの関係が構築できる。そこにアウトソーシング活用の大きな意味がある」と片町社長は語る。
アウトソーシングは攻めの経営に活用することこそが最大のメリットを生みやすい。その視点から捉えれば、アウトソーシングを活用する意味が深く理解できよう。