サンクネット 代表取締役社長 片町吉男氏 |
「派遣社員を雇うよりも、なぜアウトソーシングの方が高いんだ」 -- アウトソーシングを検討している企業経営者のなかには、こうした疑問を呈するケースが見受けられるという。「これはアウトソーシングに対する大きな誤解のひとつ」とサンクネットの片町吉男社長は反論する。
「人材派遣は、人材が持つ技術、ノウハウに対して人件費を支払うもの。それに対してアウトソーシングは、人材コストだけでなく、アウトソーサー全体として持つノウハウや、それに伴う仕組みを提供するところに大きな違いがある。物流のアウトソーシングであれば、必要となる場所の提供や、運送といった物流インフラも必要になる。こうしたことをひっくるめて、アウトソーシングならではの価値を捉えてほしい」(片町社長)
サンクネットでは、「人材・環境」や「経験・ノウハウ」だけでなく、これに裏づけされた「専門力」と「活動力」が特徴であるとし、人材派遣とアウトソーシングの大きな違いもここにあるとする。
経営者のなかには、「社員に任せればタダだから」という発想で、アウトソーシングの活用をまったく検討しない例もある。これもアウトソーシングに対する認識を誤ることの遠因となっている。「社員には必ずコストがかかっている。その社員に生産性が低い仕事まで担当させるのでは、むしろマイナス要素にしかならない。コストをかけている社員をより戦略的に活用するには、アウトソーシングの活用を一度検討してみてはどうだろうか」と片町社長は呼びかける。
社員にやらせばタダという発想では、アウトソーシングの効果的な活用はままならない。社員を積極活用する手段のひとつとして、アウトソーシングの活用意義がある。
一方で、アウトソーシングに対して、完全主義を求める企業経営者も存在する。これもアウトソーシングに対する誤解のひとつだ。
「当社では、ミスは必ず存在するということを最初に宣言する。事務処理においても、過去10年以上に渡ってその業務を担当してきた社員に比べると、当然のことながら、ノウハウの蓄積、活用といった点では追いつかない。また、物流アウトソーシングにおいても、荷受け方法ひとつとっても、それが取引先にまで浸透するのに一定の時間を有し、その間はどうしても混乱が起こる可能性がある。こうしたことも捉えていただきながら、アウトソーシングを活用することが大切だ」という。
もちろん、サンクネットでは、ミス再発に対する防止策には徹底的に取り組む。顧客企業とのきめ細かな打ち合わせなどを通じて、解決を図る体制を確立している。
では、なぜミスが発生する可能性があっても、アウトソーシングを活用する意味があるのだろうか。それは、繰り返しになるが、社員のリソースを生産性の高い部分に振り分けることこそが、企業の成長につながるからだ。「社員がいかに高度なコア業務にリソースを集中するかが、企業の生き残りを左右する。それを支援するのが、アウトソーシング事業者ということになる」(片町社長)
つまり、「攻めの経営」をするためには、社員を高度なコア業務に活用することを優先し、コア業務以外の部分でアウトソーシングを活用するという仕組みが重要なのだ。