ひとくちに「アウトソーシング」といっても、その内容は多岐に渡る。

コールセンターやヘルプデスク、機器設置や運用・保守、トレーニング委託やシステム管理委託、通販運営、そして物流管理など、あらゆる領域へと広がりつつある。また、最近ではビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)と呼ばれるように、企業経営にとって重要な意味を持つ「ビジネスプロセス」さえも、アウトソーシングするといった動きがみられる。

では、なぜ企業はアウトソーシングを活用するのだろうか。それは、企業がアウトソーシングそのものに、大きな価値を見い出しているからにほかならない。

利用目的は、コスト削減であったり、本業へリソースを集中させるために定型業務を外部委託したり、自らがノウハウを持たない領域において、アウトソーシングを活用するといったように、いくつかに分類できるが、ここにきて、より戦略的に活用していこうとする企業が増加している点は見逃せないだろう。

サンクネット 代表取締役社長 片町吉男氏

サンクネットの片町吉男社長は、「アウトソーシングというとコスト削減という観点から捉える企業経営者も少なくない。しかし、アウトソーシングをうまく活用している企業は、むしろ攻めの経営のために活用している例が多い」と語る。

サンクネットは、1997年3月に設立したアウトソーシング専業企業。これまでに、さまざまな業種、業界、事業規模を対象にアウトソーシング事業を展開。そこで培った経験とノウハウを生かし、ワンストップ型でのアウトソーシング事業を行っているのが特徴だ。さらに社内に設計チームを擁し、顧客ごとにカスタマイズしたアウトソーシング受託を行うなど、きめ細かさと柔軟性が特徴ともいえる。

「従業員にしか担えない高度なコア業務に付随して発生する、従業員にとっては負荷がかかる作業を行う、これが当社のアウトソーシングに対する基本的な考え方。従業員には高度なコア業務を本来業務として行ってもらい、余分に発生する負荷のかかる業務を当社が請け負う。その作業の行い方にも専業ならではのノウハウを生かす。本来業務の時間を割いてまで負荷のかかる作業を行うのではなく、本業に関係ない部分を当社に任してもらいたい」 -- 社員がより高い生産性を発揮し、本来業務の業績向上につなげるための後方支援としての役割こそが、アウトソーシング活用の最大の特徴だ。

社員がより高い生産性を発揮し、本業の業績向上につなげるための後方支援としての役割こそが、アウトソーシング活用の最大の特徴だ。

「これまでにも事業のコア部分をアウトソーシングしたいという商談があった。だが、そうした場合には、お互いにメリットがないと判断してお断りさせていただいた。なにをアウトソーシングすればお互いにメリットがあるのか。それを理解した上で、アウトソーシングを活用することが重要だ」と片町社長は語る。

アウトソーシングに対する認識については、誤った捉え方をしている企業があまりにも多いと、片町社長は指摘する。

果たして企業はアウトソーシングに対して、どんな誤解があるのか。次回、その点に触れたい。