今回も、前回に引き続き、「財務応援 Lite」の帳票関連の機能、および管理機能について触れていこう。同ソフトには、青色申告決算書を自動生成する機能や、売掛金・買掛金を管理するための機能も用意されている。投資対効果が十分に見込めるソフトと言えそうだ。

決算書はもちろん、消費税の計算も自動

科目残高と仕訳の入力が完了していれば、決算書は自動的に作成される。これは、会計ソフトの大きな特長である。

決算時には、通常仕訳に加えて決算整理仕訳の入力も済ませれば、いくつかの条件を指定するだけで、貸借対照表や損益計算書、製造原価報告書などが自動的に作成される。なお、決算書は、A4またはB5に印刷できる。

決算書1: 決算書作成時には、主に印刷の形式等を指定する

決算書2: 決算書は印刷する前にプレビューで確認できる。帳簿同様に、手書きモードにすれば、ペンツールによる注記等の入力も可能

個人事業者の青色申告にも対応

法人の場合は税務署への提出書類の作成を会計事務所などの専門家に依頼することが多いが、個人事業者の場合は、自分で作成することもできる。「財務応援Lite」は、個人事業者の青色申告にも対応しており、青色申告決算書を自動的に作成することができる。

個人事業者の青色申告の場合、青色申告特別控除(最高65万円)などの特典がある。複式による帳簿の作成や貸借対照表の作成など、経理の素人には敷居が高いイメージがあるが、「財務応援Lite」で帳簿を記帳していれば、確定申告の際に、ちょっとした入力を追加するだけで、青色申告決算書ができてしまう。自分で青色申告決算書を作成すれば、専門家に依頼するコストも不要になる。十分な投資対効果が得られると言えるだろう。

青色申告1: 青色申告決算書の記載内容は、すべて画面上で入力できる。ここで入力した内容は、税務署への提出用紙の所定の場所に印刷される

青色申告2: 税務署に提出する青色申告決算書のOCR用紙に直接印刷することができる

科目残高等は、翌期へ自動繰越

会計処理は年度ごとに行わなければならない。当年度が終わったら科目残高を集計して決算書を作成する。決算が終わったら、次年度の会計処理に移行する必要がある。

次年度の仕訳を入力するためには、当年度の期末残高を次年度の期首残高に転記しなければならないが、「財務応援Lite」は、自動繰越機能によって、残高が移行するので、ほとんど手間がかからない。この点でも、手書き帳簿の会計よりもずっと楽である。

売掛金・買掛金を集計表で管理、「請求応援」のデータ取り込みも可能

会計業務では、事業所のお金をすべて管理しなければならない。もちろん売掛金と買掛金の管理も重要な業務である。

売掛金と買掛金の管理は、「請求応援」(「財務応援Lite」と同シリーズのソフト)のような販売管理ソフトで行うケースもあるが、サービス業のように商品の売買を行っていない場合、会計ソフト上の仕訳の入力がたよりになるということもある。

また、「財務応援Lite」は、同シリーズの販売管理ソフト「請求応援」から売上データおよび入金データを取り込むことができる。また、「財務応援Lite」の仕訳で入力した入金データを「請求応援」へ書き出すことも可能だ。

売掛金: 「財務応援Lite」には、売掛金および買掛金の集計表を作成する機能がある。売掛金、買掛金、仕訳さえ入力しておけば、いつでも期間を指定して集計表を作成することができる。集計単位は、補助科目以外に摘要を選ぶこともできる

会計データのバックアップ機能、保護機能も充実

会計ソフトのデータは、事業者にとって重要な資産である。特に法人の場合、決算書が作成できなければ、もはや法人としての資格がない。そうならないためにも、バックアップはとても重要である。「財務応援Lite」には、自動バックアップ機能があるので、それを活用すれば、意識しなくても定期的にデータのコピーが作成される。

また、「財務応援Lite」の会計データは、8桁までのパスワードで保護することができる。パスワードを設定しておけば、不在時に他人に覗き見される心配もなくなる。

領収書や請求書などを貼り付けることができるユニークな証憑綴り

従業員に仮払いした現金を精算する場合、使途の記録として領収書や請求書などの証憑類を保管しておかなければならない。「財務応援Lite」には、証憑綴りというユニークな機能がある。証憑綴りは、支出や収入などの証憑を貼り付けるための用紙を印刷する機能だ。

証憑綴り: 証憑の保管方法として、ただ白紙に貼り付けるだけでは、後で仕訳と照合するのが面倒である。このように該当する仕訳が印刷された場所に証憑類を貼り付けて保管しておけば、後で確認するときに楽である。証憑綴りにも手書きモードで注記などを記入できる

他のソフトの起動やWebページへのアクセスも可能なお気に入りメニュー

「お気に入り」メニューをクリックすると、ユーザーが登録した機能を一発で呼び出せるリストを表示できる。「お気に入り」には、「財務応援Lite」の機能以外にも他のソフトを起動するショートカットやホームページへのリンクも登録可能だ。

お気に入り: お気に入りでは、「財務応援Q&A」や「ユーザーサポート」などにインターネットで接続できるボタンも表示される。お気に入りに登録されたメニューの順序は、ドラッグで変更可能

経営の拡大には「財務応援Super」で対応

「財務応援Super」は、「財務応援Lite」の上位ソフト。「財務応援Super」には、基本的な会計業務の機能に加えて経営分析やシミュレーションなどの機能が用意されている。

ちなみに、経営分析としては、「経営分析表(一般分析)」「経営分析表(計数一覧)」「貸借対照表上の利益表」「要約資金繰実績表」などがあり、シミュレーション機能としては、「損益シミュレーション」「納税シミュレーション」「必要売上シミュレーション」「資金繰予想シミュレーション」などの機能がある。「財務応援Lite」とデータ互換性があるので、事業規模の拡大にも対応できる。

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前回も触れたとおり、「財務応援Lite」には、ほとんどの機能を試用できる体験版が用意されている。体験版は、3ヶ月間試用可能で、ライセンス購入時には試用時に入力したデータをそのまま引き継ぐことができる。

この種の業務ソフトは、実際に使ってみないと、導入する効果があるかどうかを判断しにくい部分もある。エプソンのWebサイトからダウンロードすることができるので、とりあえず使ってみることをお勧めする。