本連載では前々回より、給与計算ソフトの解説に入っている。1回目となる前々回は給与計算ソフトの導入メリットについて説明し、前回はその有力な選択肢の一つである「給与応援Lite」の特徴を紹介した。

今回からは、給与計算ソフトの核となる給与項目の設定方法について見ていこう。

一覧画面で項目クリック! 初めてでも困らない給与項目設定

給与項目では、給与計算に必要な各種項目や計算方法を設定する。設定項目は、大きく「勤怠」「単価項目」「支給項目」「控除項目」「その他」に分類される。

画面上では、以下のように各設定項目がボタンになっており、クリックすると専用のウィンドウが表示されて設定が行える。空欄になっている部分は予備項目で、自社の事情に合わせて項目名や内容などを自由に設定できる。

給与項目の設定: 各項目をクリックすると詳細を設定する画面が表示される。空欄部分に新たな項目作成することも可能

一見すると設定項目が多く、うんざりしてしまいそうだが、基本的なものはあらかじめ設定済みである。自社に特有のものだけを変更すればよいため、作業はそれほど煩雑ではない。設定済み項目の項目名も変更できるので、既存のものを流用して自社特有の項目を作ることもできる。

項目設定の一例をご覧いただくために、「扶養控除」を追加する。

まず、「支給項目」の空欄のどこかをクリックする。すると、ウィンドウが開くので、項目名等を入力・選択していく。最後にOK[F3]をクリックすれば登録終了だ。

給与項目の変更画面: 「支給項目」の空欄をクリックして表示される画面。ここでは扶養控除を追加した

賞与支給のある会社は、同様の手順で賞与項目の設定も行う。

賞与項目の設定画面: 給与項目と同様の操作で各項目を設定していく。基本的な項目はあらかじめ設定済み

従業員をまとめて登録可能

給与支払いの対象となる従業員の登録は、個別入力と一覧入力の二つの方法が用意されている。従業員登録のもとになる従業員名簿が1ページ1従業員といった形式なら個別入力、一覧表形式なら一覧入力が使いやすいだろう。

従業員の個別入力画面: 従業員の詳細情報を個別に入力することが可能。細かなデータを管理したい場合にはこちらが便利

従業員の一覧入力画面: 従業員データを一覧形式で入力することができる。大人数を一度に追加する場合などには有効

登録すべきデータは多岐に渡るが、登録済みの従業員のデータをコピーして必要な部分だけを修正するという方法も取れるので、効率的に作業を進められるだろう。

わかりやすい明細入力画面、外部データの取り込みも可能

データの登録が済んだら、いよいよ給与計算である。

給与計算には勤怠データの入力が必要になる。勤怠データの入力は「給与明細」で行うが、従業員データの入力のときと同様、個別入力と一覧入力が用意されている。ここではより詳細な設定が行える個別入力について触れておく。

給与明細では、「勤怠項目」の各欄を入力していくと、「支給項目」「控除項目」などが自動計算されていく(以下参照)。入力可能項目は白色で表示され、入力不能項目は黄色で塗られる。黄色項目は、たとえ入力しようとしても受け付けられないので安心だ。

給与明細の個別入力画面: 白色項目を入力することで支給額が自動計算される。もし、登録済み従業員データを変更する場合は、従業員[F6]ボタンを押すことで、従業員データの変更画面を直接呼び出すことができる

なお、勤怠データは、アマノのタイムカード集計ソフト「タイムパック」を使用している企業であれば、各人のタイムレコーダ(勤怠データ)の集計値を自動的に取り込むことも可能だ。この場合、会社情報・従業員情報でその旨をあらかじめ設定しておく必要があるが、入力ミスの心配もないため、従業員数が多い企業にとっては便利な機能だろう。

「タイムパック」以外のタイムカード集計ソフトを使っている場合でも、一般的な形式でデータを出力できるものであれば、汎用データの読み込み機能を使って勤怠データを取り込むことができる。

このデータ読み込み機能は、そのほかにもさまざまなマスタ・データの受け入れが可能だ。データ出力機能があるソフトを使用している場合や、前処理をExcelなどで行える場合には、便利な機能だろう。

汎用データ画面: この画面から各種のマスタ・データを読み込むことができる

普通紙への印刷もきれい

勤怠データの入力が終了したら、「勤怠一覧表」を印刷して、入力ミスがないかチェックした後、「給与支給明細書」の印刷に移ることになる。

給与支給明細書は、従業員に手渡すものなので、わかりやすくきれいに印刷できることが好ましい。給与計算ソフトによっては、専用用紙を使用するものもあるが、従業員数が多いと、用紙のコストもばかにならない。

給与応援Liteでは、専用用紙だけでなく、B5、A4の白紙に罫線網掛け付きで、きれいに印刷することもできるようになっている。コスト削減が叫ばれる昨今では、ありがたい機能だ。

給与支給明細書の印刷プレビュー画面: 専用用紙に加えてB5、A4にも対応。通常の用紙を使用した場合でも罫線等がきれいに印刷される。なお、ここでは、試用版を使用したため「見本」と印字されているが、正規版ではもちろん見本の文字はない

給与の支給方法は、現金支給か銀行振込ということになるが、給与応援Liteでは、それぞれの作業で必要になる「金種一覧表」、「給与振込依頼書」が印刷できる。さらに、銀行との間でファームバンキングサービスの契約をしている場合には、ファームバンキング用のデータの作成を行うことができるなど、至れり尽くせりだ。

給与振込依頼書の印刷プレビュー画面: 給与を銀行振込にする際に必要になる給与振込依頼書もボタン一つで印刷できる

給与計算の結果は、当然仕訳して会計ソフトに入力しなければならないわけだが、給与の仕訳は科目も多く、なかなか面倒だ。給与応援Liteでは、仕訳を自動作成して、印刷ないしはデータ出力できるようになっているので、頭を悩ませる必要はない。