前回は給与計算ソフトの必要性について説明した。今回からは、その中の有力な選択肢の1つである「給与応援Lite」を取り上げ、導入手順と特徴を紹介していこう。

導入上の制限はほぼなし

「給与応援Lite」で計算できる会社数や従業員数に基本的に制限はない(※)。唯一対応できないのは、1人あたりの月額給与を1億円以上支給する場合だ。つまり給与明細書の取り扱える桁が8桁なのである。とはいえ、それ以上の桁数が必要な会社はたぶんないだろう。

※ 「制限なし」とは、コンピュータのデータ領域の許容範囲になります。また、データ容量が多い場合は処理速度が劣化する場合があります。

機能面に目を移すと、勤怠管理による支給額の自動計算は当然として、タイムカードとの連動もできる。給与や賞与の支給明細書の印字は美しく出力タイプも選べる。年末調整の対応も早く、法定調書も作成され、社会保険の標準報酬基礎届や変更届も自動的に作成される。社会保険庁のFD(フロッピーディスク)提出にも対応している。

小規模な企業で望む給与計算ソフトの機能としては、パーフェクトだ。あとは、いかに「簡単に導入」できるかと、毎月毎月の給与計算の「入力が容易」にできるのかの2点だ。別な言い方をすれば、給与計算を「片手間」にやらなければならない小規模な企業でほんとうに使えるのか? ということだ。実際に導入しながら検証していきたい。

基本的な操作項目が一覧できる

給与応援Liteは、パソコンにインストールして利用する、スタンドアロンタイプの給与計算システムだ。Windows Vista/Windows XP/2000のOSを使用しており、ディスクの空き容量が86MB以上あれば問題ない。

給与応援Liteのメニューは、階層構造の深いメニューになっていないのがよい。最近のシステムは、プルダウン型でメニューの階層構造になっているものが多いが、給与計算ソフトは毎日使うものではないので、画面上で基本的な項目が一覧できたほうが使いやすい。

メニュー画面: 給与応援Liteのメニューでは、基本項目が一覧できる。また、ファンクションキー(Fキー)を活かしたボタンメニューと実務フローに合わせたメニュー構成なので、操作が分かりやすい

では、はじめて導入する会社を前提として入力を開始しよう。まずは、初めに会社基本情報登録だ。

2種類のパスワードでデータを保護

給与応援Liteでは、パスワードを設定することができる。システム全体に対するパスワードと、会社ごとのパスワードの2種類が設定可能だ。1台のパソコンで複数の会社の給与計算をする場合もあることを考えると便利な機能だと言えよう。

会社情報は省略も可能

給与応援Liteを使用する際に最初に登録するのが、会社の「基本情報」である。必須項目は会社名だけ。先を急ぎたい場合は、会社名のみで済ませることもできる。しかし、このデータは、帳票に印字される会社情報なのでいずれは埋めておく必要がある。

基本情報の設定画面: 会社名以外は省略可能。ただし、帳票に印字される情報なので、極力埋めておいたほうがよい

計算条件は詳細かつ簡単に設定可能

次に設定するのが「計算条件」である。これは非常に重要だ。給与応援Liteでは、タイムカード情報などから給与が自動計算される仕組みになっているので、計算条件は非常に細かく設定することができる。もっとも、基本的には、必要な項目をプルダウンで選んで設定していくだけなので、それほど難しい作業ではない。

計算条件の設定画面: 各項目を直接入力もしくはプルダウンの選択で設定していく。なお、保険料率はあらかじめ決められているが、支給額に影響を与える重要な設定項目が「社会保険の徴収月」である。後で入力する従業員の生年月日から40歳以上70歳未満を判断して控除されるため、適切な設定が必要だ

3階層の部門設定で計算処理を効率化

その後、部門や役職、銀行などの登録へと進む。以下、これらについて簡単に説明しよう。

  • 部門設定: ここでは、実際の組織上の部門をそのまま設定するのではなく、給与計算の方法が複数ある場合に、それを1つの部門として設定することになる。後に出てくる「給与項目」はこの部門単位で設定する。部門は3階層まで設定でき、この設定によって集計計算もできる
  • 役職: 役職名と手当ての額を入力する
  • 銀行: 銀行の登録が行えるが、都市銀行と郵便局はあらかじめ取り込まれている
  • 銀行支店: 従業員一人一人の給与の振込に使用する銀行支店を登録する
  • 取引銀行: 給与を振り込む銀行、つまり会社の口座がある銀行を入力する
  • 住民税納付先: 住民税の納付先を入力する

続いて、最も重要な項目とも言える「給与項目」の設定に進むわけだが、こちらは次回の解説に回そう。