前回は「システムを理解するためにオブザーバビリティが必要」というお話をしました。しかし、多くの組織が「データは集めているのに問題解決につながらない」という課題に直面しています。
例えば、最新ツールや専門チームを用意しても、重要な機能のパフォーマンス低下に数週間も対応できないケースが起きているのです。これは、オブザーバビリティの誤解と、その本質を理解する重要性を示しています。今回は、代表的な誤解と解決策の例を交えてご紹介します。
初級レベル:入門者の陥りやすい技術的な誤解
オブザーバビリティ導入初期は、以下のような技術的な誤解がよく見られます。
監視との混同
オブザーバビリティは「監視を高度化・精緻化したもの」と捉え、「今まで通りインフラのログやアラートを導入すれば十分」と思い込んでしまうのはよくある誤解です。
監視は既知の問題を素早く発見する行為ですが、オブザーバビリティは未知の問題を含むシステム全体の理解を目指す取り組みを指します。監視はあくまでオブザーバビリティを構成する一部であることを見落とすと、システム全体を理解できる状態を十分に確保できないため、問題原因の特定ができないまま、アラートの管理ばかりに集中してしまいます。