これたで3回にわたっお「䞖界最先端IT囜家創造宣蚀・官民デヌタ掻甚掚進基本蚈画」の内容に぀いお、「官民の手続におけるオンラむン化原則」や「マむナンバヌカヌドの普及・掻甚」などに焊点を圓おおみおきたした。

この「官民デヌタ掻甚掚進基本蚈画」では具䜓的な斜策ずしお取り䞊げられおいたせんが、日本経枈新聞が4月に報じた「法人の法人皎・消費皎の電子申告の矩務化」の蚈画が、財務省が6月30日に公衚した『「行政コスト」削枛のための基本蚈画(囜皎)』のなかに盛り蟌たれたした。今回は、電子行政分野では「官民デヌタ掻甚掚進基本蚈画」の諞斜策よりも先行しお進められるこずになりそうな「法人の法人皎・消費皎の電子申告の矩務化」および関連する事項に぀いお、財務省の「囜皎基本蚈画」を䞭心にみおいきたしょう。

政府皎制調査䌚の海倖の電子申告等の調査報告をみる

財務省が「囜皎基本蚈画」を公衚する盎前の6月䞭旬に内閣府・政府皎制調査䌚が開かれ、海倖の皎制に぀いおの調査報告が公衚されたした。アメリカ・カナダ・フランス・むギリス・゚ストニア・スェヌデン・韓囜の7カ囜に぀いお、法人・個人に察する皎制の仕組みず電子化の進み具合などが報告されおいたす。ここにある問題意識は、我が囜の皎務手続のICT化は道半ばであり、政府の情報基盀やICTの掻甚により、皎務手続の簡玠化及び皎務行政の高床化・効率化を図るこずが考えられるが、そのためには諞倖囜の先進的な取り組みに぀いおも参考にする必芁があるのではないか、ずいったものです。海倖の皎制の調査報告ずしお取りたずめられた資料のなかの各囜の法人皎の電子申告矩務化に関しお比范した資料が(図1)になりたす。

(図1) 法人皎の電子申告に぀いお(「政府皎制調査䌚 海倖調査報告(総論)」より)

この海倖調査報告のなかでは、囜別の報告曞も公衚されおいたすが、党䜓ずしお法人皎よりは個人(絊䞎所埗者・事業者)に関する皎制および電子申告状況に倚くのペヌゞが割かれおおり、(図1) の電子申告割合がどのような皎制や電子申告の仕組みの違いにより生じおいるのかずいった点では物足りない印象がありたす。

この(図1)から芋お取れるのは、むギリスのように原則電子申告が矩務化され99%の電子申告割合を達成しおいる囜もあれば、䞀郚矩務化たたは矩務化せずに90%以䞊の電子申告割合を達成しおいる囜もあるずいうこずです。これだけの率を達成する背景にあるのは、皎制ず電子申告の仕組みがうたくマッチするように制床蚭蚈がなされおおり、電子申告の利䟿性が広く認識されおいるからだず思われたす。

(図2) は、我が囜の電子申告状況に぀いおたずめられたペヌゞです。

(図2) e-Tax(囜皎電子申告・玍皎システム) (「政府皎制調査䌚 海倖調査報告(総論)」より)

4月の日本経枈新聞で報じられた通り、平成27幎床で法人皎の電子申告は党䜓で75.4%、倧芏暡法人に限定するず52.1%ずいう数字が瀺されおいたす。所埗皎は52.1%ずなっおいたす。たた、その他の皎目等に぀いお、「囜皎基本蚈画」では同じく27幎床実瞟が瀺されおおり、消費皎(法人) 73.4%、消費皎(個人) 58.8%、申請・届出等 46.4%、玍付 7.0%ずなっおいたす。

「囜皎基本蚈画」で瀺された電子申告矩務化ぞの方針

「囜皎基本蚈画」では、「コスト削枛の取組内容及びスケゞュヌル」の課題ずしお法人皎・消費皎の電子申告矩務化が掲げられおいたす。そこでは、倧法人ず䞭小法人に分けお目暙蚭定がされおいたす。

倧法人
・電子申告の矩務化が実珟されるこずを前提に、法人皎・消費皎の電子申告(e-Tax)の利甚率100%

䞭小法人
・法人皎・消費皎の電子申告(e-Tax)の利甚率85%以䞊
・将来的に電子申告が矩務化されるこずを前提に、電子申告(e-Tax)の利甚率100%

利甚率ずしお目暙が明瀺されおいたすが、達成時期に぀いおは蚀及されおいたせん。電子申告矩務化は圓然電子申告利甚率100%を意味したすが、䞭小法人の目暙が2段構えになっおいるこずなどから、電子申告矩務化が法制床化されおも、䞭小䌁業には猶予期間が蚭けられるなどの措眮が考えられおいるようです。その点を衚すように、「倧法人の法人皎・消費皎の電子申告の矩務化に぀いおは、平成29幎床に怜蚎を開始し、早期に結論を埗る」ずし、倧法人に぀いおは早期の矩務化が怜蚎されるようです。これに察し、䞭小法人に぀いおは法人皎・消費皎の利甚率85%以䞊ずいう目暙達成に向けお、䜿い勝手改善等の取組や皎理士や未利甚者ぞの個別の利甚勧奚、関係団䜓を通じた利甚勧奚、リヌフレット等による広報・呚知等の取組を進めるずしおいたす。そしお、そのうえで䞭小法人の法人皎・消費皎の電子申告利甚率の掚移を螏たえ、電子申告の矩務化も含めた曎なる利甚率向䞊のための方策を怜蚎するずしおおり、倧法人ず䞭小法人では、電子申告が矩務化される時期は異なるず思われたすが、この「囜皎基本蚈画」のなかでは、矩務化の時期は明確にされおいたせん。

たた、「囜皎基本蚈画」で矩務化にふれた郚分では、「添付曞類も含めお電子申告を矩務化する方向で怜蚎する」ずしおいたす。この添付曞類ずは、法人皎申告曞に添付が矩務付けられおいる決算報告曞や勘定科目内蚳曞などのこずだず思われたすが、珟状は玙での別送が認められおいるこれらの曞類も、電子化が矩務付けられるこずになりたす。決算報告曞などを玙で別送せざるを埗ない事情は、個々の法人によっお異なるず考えられたすが、決算報告曞を䜜成する䌚蚈゜フトず申告曞を䜜成・電子申告する゜フトの連携が面倒などずいった課題がここにはあるず思われたす。これらの課題をどのように解決するのか、そうした点が瀺され改善されなければ、倧法人は電子申告を矩務化しお利甚率100%、䞭小法人は利甚率85%以䞊ずいう目暙達成もおが぀かないず思われたす。

「囜皎基本蚈画」で瀺された e-Taxの䜿い勝手改善策

そのため「囜皎基本蚈画」では、「e-Taxの䜿い勝手の倧幅改善」ずしお利甚満足床に係るアンケヌトを実斜し、改善に取り組むずし、䜿い勝手改善の新芏斜策を列挙しおいたす。「マむナポヌタルの利掻甚の掚進-マむナポヌタルからe-Taxぞのシヌムレスな認蚌連携」などが、䜿い勝手改善策の最初の項目ずしお掲げられおいたすが、これらは個人のe-Tax掻甚における改善策になりたすので、ここでは法人に係る改善策を取り䞊げおみたす。

認蚌手続等の簡䟿化
・法人玍皎者のe-Taxメッセヌゞボックスの閲芧方法の改善(30幎床実斜に向けお怜蚎)
・法人玍皎者のe-Tax利甚の電子眲名の簡䟿化(制床改正を含め怜蚎)

申告曞等の送信手続の利䟿性向䞊
・申告曞等の送信容量の拡倧(30幎床実斜に向けお怜蚎)
・e-Tax゜フトにおける財務諞衚の勘定科目蚭定機胜の実装(30幎床実斜に向けお怜蚎)

地方皎ずの情報連携の培底-電子的提出の䞀元化等
・法人皎及び地方法人二皎の電子申告における共通入力事務の重耇排陀(総務省ず連携しお31幎床実斜に向けお怜蚎)
・法人玍皎者の開廃業・異動等に係る申請・届出手続の電子的提出の䞀元化(31幎床実斜に向けお怜蚎)

地方皎ずの情報連携の培底-囜ず地方ずの情報連携等
・e-TaxずeLTAXの仕様の共通化の掚進(29幎床以降順次実斜)
・e-Tax゜フトずeLTAX゜フト(PCdesk)ずの連携の掚進(31幎床実斜に向けお怜蚎)

最初の認蚌手続等の簡䟿化で掲げられた2぀の斜策は、いずれも倧法人を意識した改善策ず思われたす。e-Taxメッセヌゞボックスの閲芧方法の改善では、法人の郚眲ごずに電子申告する内容が異なる(法人皎ず源泉城収祚など)堎合、郚眲単䜍で情報を管理できるようなメッセヌゞボックスの閲芧方法の改善を行うずしおいたす。たた、電子眲名の簡䟿化では、具䜓的な方向性は瀺されおいたせんが、珟状代衚取締圹の電子眲名が必芁ずなるずころ、「電子委任状」の仕組みを利甚し、担圓者がマむナンバヌカヌドで電子眲名すれば良いずするような方向性が怜蚎されおいるものず思われたす。

たた、次の申告曞等の送信手続の利䟿性向䞊で掲げられた斜策も倧法人を意識したものず思われたす。送信容量の拡倧では、1送信圓たりのデヌタ容量(珟状、申告曞1送信圓たり10MB、添付曞類のむメヌゞデヌタ1送信圓たり1.5MBの制限)を拡倧するずしおおり、これらの容量制限がもずもず課題ずなるのは倧法人ず考えられるからです。次の財務諞衚の勘定科目蚭定機胜の実装も、自瀟開発の独自の䌚蚈゜フトを利甚しおいるこずが倚い倧法人を意識したものず考えられ、こうした斜策を実斜するこずを前提に、決算報告曞などの添付曞類も含めお矩務化するずしおいるのだず思われたす。

これらの斜策が「電子眲名の簡䟿化」以倖はすべお「30幎床実斜に向けお怜蚎」ず比范的早い時期の実斜を目指しおいるこずから、倧法人の法人皎・消費皎電子申告矩務化は30幎床、遅くずも31幎床には実斜される方向で動いおいくこずが想定されたす。

これらの斜策により、珟圚電子申告未察応の玄1䞇瀟の倧法人が、矩務化が想定される時期たでにスムヌズに電子申告矩務化に察応できるかどうか、泚目しおいきたいず思いたす。

次に、地方皎ずの情報連携の培底ずしお掲げられた斜策は、囜皎である法人皎・消費皎の電子申告矩務化に盎接関わるものではありたせんが、法人皎のように同時に地方皎の申告曞も䜜成・提出する業務においお、䜿い勝手向䞊のために積極的に取り組んでもらいたい課題です。ただし、ここでは法人皎に぀いおは地方法人二皎(法人䜏民皎・法人事業皎)ずの共通する事項の重耇入力の排陀たでしか螏み蟌たれおいたせん。開廃業・異動等に係る申請・届出手続に぀いおは電子的提出の䞀元化たで実珟するずしおいたすので、法人皎および地方法人二皎に぀いおも、共通事項の重耇入力の排陀にずどたらず電子的提出の䞀元化たで進めば、利甚者の利䟿性は倧幅にアップしたす。あわせお地方皎電子申告(eLTAX)の䜿い勝手の向䞊策ずしお、提出先の地方自治䜓や利甚する手続をあらかじめ登録しおおくなどの事前の手続(電子申告に取り組む際地方皎の電子申告で皎理士でさえ最初に぀たずくポむントです)を䞍芁にするような改善が実斜されれば、さらに利甚者の利䟿性は倧幅にアップしたす。

e-Tax・eLTAXそれぞれの仕組みの改善ず合わせお、囜皎・地方皎の電子的提出の䞀元化に぀いおは、同時に提出が必芁ずなる申告や申請・届出のすべおを察象に、利甚ナヌザヌがe-Tax・eLTAXの仕組みの違いなどを意識するこずなくスムヌズに行えるように改善を進めおほしいず思いたす。

この、地方皎ずの情報連携の培底では、さらに「仕様の共通化の掚進」や「゜フト間の連携の掚進」が掲げられおいたす。䟋えば共通化されおいない仕様ずしお、利甚可胜文字の範囲がe-TaxずeLTAXで異なるずいった問題がありたす。電子申告゜フトを開発しおいるベンダヌからは、䜕床も共通化を芁望しおきた項目でもありたす。利甚可胜文字の範囲が異なるこずにより、e-Taxでぱラヌにならない文字がeLTAXでぱラヌになるため、eLTAX甚にデヌタを䜜成し盎すなどずいう手間の係る凊理を匷いられる珟状は、是非ずも早期に改善しおもらいたいずころです。

この「囜皎基本蚈画」では、これたでより螏み蟌んだ改善策が掲げられおいるずはいえ、これらの改善策からは明確になっおいない点が残っおいたす。法人皎は毎幎のように改正があり、改正が最初に適甚されるのは4月決算法人に察応した6月申告分からずなりたす。皎制改正が成立するのが3月末ずしお、申告曞類の倉曎点が玙ベヌスで公衚されるのが4月䞋旬、申告曞類の倉曎点を反映した電子申告の仕様が公開されるのが5月䞋旬ず、毎幎タむトなスケゞュヌルで進むため、4月決算法人に察応した6月申告分の時点では、限られた申告曞類しか電子申告できないずいった実情がありたす。4月決算法人では必芁ずなる申告曞類のうち電子申告の仕様が公衚されおいないものに぀いおは玙に印刷しお別送するこずになりたす。このように事態になっおいるこずは、皎制ず電子申告の仕組みがうたくマッチしおいないこずを意味しおいるのではないでしょうか。

電子申告の矩務化が電子申告割合100%を目指すのであれば、それは䌁業が100%電子申告する状態だけでなく、すべおの申告曞類が100%電子申告される状態でなければならないず思いたす。䞊蚘のように玙の申告曞類を別送しなければならない状況になっおいるのは、皎制改正の適甚事業幎床を「平成○○幎4 月1日以降終了事業幎床」ずしおいるこずを、芁因の䞀぀ずしおあげるこずができたす。改正された皎制をいち早く適甚したいずする政府などの思惑から、このような適甚事業幎床の考え方がずられおきたしたが、これを「平成○○幎4 月1日以降開始事業幎床」ずするず、事業期間は通垞1幎ですので、翌幎の3月決算法人から察応すればよいこずになり、すべおの申告曞類を100%電子申告できる状況を぀くれるこずになりたす。

法人皎・消費皎の電子申告矩務化が、100%玙での提出をなくすこずを目指すのであれば、珟状の皎制改正のあり方はそのたたにしお電子申告の仕組みだけ改善しおいくのではなく、皎制ず電子申告の仕組みがうたくマッチするように皎制や皎制改正のあり方にも螏み蟌んでいくべきではないでしょうか。

䞭尟 健䞀(なかおけんいち)
アカりンティング・サヌス・ゞャパン株匏䌚瀟 取締圹
1982幎、日本デゞタル研究所 (JDL) 入瀟。30幎以䞊にわたっお日本の䌚蚈事務所のコンピュヌタ化を゜フトりェアの芳点から支えおきた。2009幎、皎理士向けクラりド皎務・䌚蚈・絊䞎システム「A-SaaS゚ヌサヌス」を䌁画・開発・運営するアカりンティング・サヌス・ゞャパンに創業メンバヌずしお参画、取締圹に就任。マむナンバヌ゚バンゞェリストずしお、マむナンバヌ制床が䞭小䌁業に䞎える圱響を解説する。