原口 豊(はらぐち・ゆたか)
大手証券会社システム部に在籍後、1998年ベイテックシステムズを設立し社長就任。2008年に、いち早くクラウドコンピューティングの可能性に注目し、サービスの提供を開始、GoogleAppsの導入サポート実績はこれまで300社以上。「サテライト・オフィス」ブランドで多数のテンプレートを無償提供するなど、GoogleAppsの普及に尽力。自ら、iPhoneや Androidなどのスマートフォンを駆使して、仕事の効率化を図り、ビジネスシーンですぐに役立つノウハウを多数、蓄積している。ツイッターアカウントは sateraito_jp。GoogleEnterprise Day2009ではパートナーアワードを受賞した。

Googleバズとツイッターはどこが違う?

Googleが提供する「Googleバズ」は、2010年2月よりGmailに追加されたコミュニケーション機能だ。近年ユーザー数が急増しているコミュニケーションサービス「ツイッター」と同様に、何気ない日常の出来事からビジネス情報までを気軽に投稿することが可能だ。

このように書くと、「Googleバズって、ツイッターと同じじゃないの?」と思う人がいるかもしれない。しかし、ツイッターが"まったり"としたコミュニケーションと手軽さを追求しているのに対して、Googleバズはサービス連携やコメントなどの各種機能が提供されているため、より円滑なコミュニケーションスペースとして活用できるのだ。

それでは以下、Googleバズの主な特徴を紹介しよう。まず導入のしやすさでは、Googleアカウントをそのまま使える点が挙げられる。残念ながら今のところ「Google Apps」のアカウントには対応していないが、通常のGoogleアカウントでGmailにログインすると受信トレイの下に「バ ズ」と表示されており、ここをクリックすることですぐに利用が始められる。

GoogleアカウントでGmailにログインすると、受信トレイの下に「バズ」という表示がある。ここをクリックすればすぐに「Googleバズ」が利用可能だ

ただし、利用前に1点だけ注意してもらいたい。それは、Googleバズでは基本的にGoogleサービスで共通の「公開プロフィール」を使用するという点だ。Googleバズ専用のプロフィールは設けられていないので、本名や住所などの個人情報が公開プロフィールに含まれていないかどうか事前にチェックしておこう。

Googleバズでは「公開プロフィール」を使用するので、本名や住所などの個人情報が含まれていないかをチェック

受信トレイへの配信やプロフィールに対するフォローリストの表示、Gmailでの表示・非表示などを設定可能

見やすい表示や各種サービスとの連携機能が魅力

使い勝手に関しては、発言を見やすくするためになされている工夫をぜひ紹介しておきたい。例えば、ツイッターはコミュニケーションの手軽さを最優先している都合上、「リツイート(他者の発言の再投稿)」や「リプライ(特定ユーザー向けの発言)」を含むすべての発言が時系列順に表示される。フォローしている相手が多い場合、ログが流れてしまい「発言を見逃していた!」といった経験がある人も多いだろう。

一方Googleバズでは、相手の発言に対してコメントを付けることが可能だ。このコメントは発言の下部に表示されるのでまとめて読める。また、全文検索が行えるのも便利である。

Googleバズでは、発言の下部にコメントが表示されるのでわかりやすい

ツイッター/Picasa/Flickr/Googleリーダーなどと簡単に連携できるほか、サービスごとに「一般公開」と「プライベート」の選択も可能

さらに、ツイッター/Picasa/Flickr/Googleリーダーなどの各種サービスと簡単に連携できるのも魅力の1つだ。設定画面からこれらのサービスを登録しておけば、PicasaやFlickrの写真をGoogleバズで公開したり、GoogleバズからTwitterやGoogleリーダーの内容をまとめてチェックしたりすることが可能になる。

そのほか、「ツイッターのように文字数制限がない」、「制限なしの"ウェブ上で一般公開"と特定グループのみが対象の"限定公開"を発言ごとに選択できる」、「"Good!"ボタンを用いて発言を評価できる」、「多くのユーザーが注目している話題を自動表示する」などの機能も利便性を高めるポイントだ。

スマートフォンからはモバイル版やiPhoneアプリ「Buzzie」を活用

Googleバズにはスマートフォンから利用可能なモバイル版も用意されている。このモバイル版で注目したいのが、GPS機能を利用した位置情報付きの発言に加え、現在地の地図や撮影した写真をその場でアップできることだ。閲覧に関しても、現在地周辺の発言を地図や一覧で表示するというモバイルならではの使い方が用意されている。なお、位置情報に関しては必要に応じて添付の有無を選択できるので安心だ。

モバイル版で周辺の発言を表示した画面

周辺の発言を地図上に表示してくれる「バズマップ」も面白い

加えて、iPhone専用アプリ「Buzzie」もぜひオススメしておきたい。これはGoogleバズに初めて対応したiPhoneアプリで、ログイン状態での発言やコメント追加、閲覧といった基本機能はもちろん、ログインしていなくても一般公開されている発言の閲覧が可能。モバイル版の特徴である、GPS機能を使った付近の発言一覧も表示できる。

さらに3月から、新しい発言やコメントを受け取った際に自動で知らせるプッシュ通知機能が採用された。フォロー人数が多すぎる場合はオフにしておいたほうが無難だが、いち早く最新情報をチェックしたいという人には便利な機能だ。

ちなみにBuzzieは有料アプリだが、価格は350円とお手頃。無料の「Buzzie Lite」も提供されているが、こちらは近辺の発言を閲覧する機能のみとなっている。

iPhoneアプリ「Buzzie」のメイン画面(画面左)。フォローしている人の発言はもちろん、周辺にいる人の発言も一覧表示できる(画面中、右)

アプリ起動時に「許可しない」を選ぶと位置情報が添付されなくなる。また、発言時に「No locatopn(tap to add)」と表示されたボタンをタップすることでも、位置情報の有無を選択可能だ

このようにGoogleバズは、コミュニケーションの幅を飛躍的に向上させてくれるサービスだ。確かに"手軽さ"という面だけを見ればツイッターに軍配が上がるかもしれないが、社内連絡用などのビジネスユースでは、Googleバズのほうが圧倒的に使いやすい。有用な情報に絞り込んだコミュニケーションスペースが欲しいという企業にとって、Googleバズは最適な選択と言えるだろう。なお、原口氏は利便性の点から、GoogleバズがGoogleAppsファミリーとして利用できることを切に望んでいる。