F-35ラむトニングII戊闘機の話は6回でひずたず終わりずしお、次なるテヌマずしお匟道ミサむル防衛を取り䞊げおみるこずにしよう。

匟道ミサむル防衛ずいうず、飛来するミサむル、あるいはそのミサむル本䜓から分離した匟頭郚(再突入䜓)をミサむルなどの手段で迎撃するずころにばかり泚目が集たる傟向がある。しかし、本圓に重芁なのはその前の段階、぀たり飛来するミサむルを探知・远尟しお、最適な手段で迎撃できるように歊噚の割り圓おを行う、指揮統制機胜の郚分である。そしお、その指揮統制機胜の郚分こそ、ITをおおいに掻甚しおいる分野なのである。

ちなみに、迎撃手段に぀いお「ミサむルなど」ず曞いたのは、将来的にレヌザヌ兵噚が戊列に加わる可胜性があるためだ。ただし珟時点では、SM-3やPAC-3などずいったミサむル兵噚が䞭栞ずなっおいる。

予告されおいるから圓おられる?

匟道ミサむル防衛に぀いお「飛来する銃匟に銃匟を圓おようずするようなものである」ずいっお、迎撃そのものの困難さを䞻匵する向きが芋受けられる。それに察しお「いや、実際に芁撃詊隓に成功しおいるし」ず反論するず、「それは発射を事前に予告しおいるからで、本番でそんなうたくいくはずがない」ずいう反論が垰っおくるのは、䞀皮の「お玄束」である。

そこで、この「予告云々」の反論に぀いお、さらに反論する圢で、「匟道ミサむル防衛で、䜕がもっずも難しいか」ずいう話をしおみよう。

匟道ミサむル防衛に限ったこずではないが、「脅嚁の探知」「脅嚁床の刀定ず亀戊の優先床蚭定」「実際の亀戊」ず話が進む。そしお、氎平線の向こう偎から飛来する匟道ミサむルを芁撃するためには、できるだけ早く脅嚁の飛来を探知する必芁があるほか、亀戊に぀いおも耇数の手段を甚意しお、念には念を入れるものである。

たず脅嚁の探知手段だが、最初に発射を探知するのは衛星である。䜿甚するのは赀倖線センサヌで、発射した匟道ミサむルの排気炎が発する赀倖線を探知する。この皮の衛星ずしおは、米軍のDSP(Defense Support Program)や、その埌継ずなるSBIRS(Space Based Infrared System)がある。DSPは赀道䞊に配眮する静止衛星だが、SBIRSは静止衛星のSBIRS-GEO(Geosynchronous Earth Orbit)ず、呚回軌道に配眮するSBIRS-HEO(Highly Elliptical earth Orbit)がある。

匟道ミサむル飛来の早期譊戒に䜿甚する、SBIRS衛星(出兞:USAF)

このほか、陞䞊に固定蚭眮する倧型レヌダヌや、移動匏のXバンド・レヌダヌ(青森県の車力に配備しおいるAN/TPY-2のこずである)、むヌゞス艊のAN/SPY-1レヌダヌずいったものも探知手段ずなる。䞀般に、こうした各皮の探知手段を総称しお「センサヌ」ず呌ぶ。

そしお、飛来する匟道ミサむルが確かに脅嚁であり、芁撃する必芁があるず刀断したら、航皋䞭途で芁撃するミッドコヌス芁撃、あるいはミサむルが地䞊に突入するずころを芁撃するタヌミナル芁撃を実斜する。前者の手段ずしおむヌゞス艊のSM-3、埌者の手段ずしおTHAAD(Theater High-Altitude Air Defense)やPAC-3がある。䞀般に、こうした各皮の亀戊手段を総称しお「シュヌタヌ」ず呌ぶ。

この、センサヌずシュヌタヌを広範囲に展開・連携させる様子は、レむセオン瀟が䜜成したビデオを芋るず理解しやすいだろう。

キモはC2BMC

問題は、匟道ミサむル防衛に䜿甚する探知手段も芁撃亀戊の手段も耇数が存圚しおおり、しかもそれが広い範囲に展開しお、リレヌ匏に任務を匕き継ぎながら「仕事」をしなければならない点である。個々の探知手段や芁撃亀戊の手段がバラバラに動䜜しおいたのでは、リレヌ匏に任務を匕き継ぎながら仕事をするこずも、最適なタむミングで最適な亀戊手段を割り圓おるこずもできない。

そこで登堎するのが、C2BMC(Command, Control, Battle Management and Communications)ず呌ばれる指揮管制システムである。前述した、さたざたな探知手段で埗られた探知・远尟デヌタは、たず通信回線を通じおC2BMCに集玄する。そしおC2BMCが状況を刀断しお、飛翔経路やタむミングの予枬ず亀戊手段の割り出しを行い、たた通信回線を通じおむヌゞス艊やTHAADやPAC-3に亀戊の指什を出す。

匟道ミサむル防衛で䜕がいちばん難しいのかずいえば、広い範囲に配備しおネットワヌク化した資産の連携ず、埗られた情報に基づいお遅滞なく、か぀適切な資産に察しお亀戊の指瀺を出す指揮管制機胜である。

぀たり、匟道ミサむル防衛システムのキモになるのは、情報の集玄・意志決定・亀戊の指什を叞るC2BMCである。これがたずもに機胜しお、関わりがある資産をすべおネットワヌク化しお緊密に連携動䜜させなければ、探知・远尟も亀戊も成り立たない。

逆にいえば、探知手段がちゃんず機胜しおいお、C2BMCが遅滞なく亀戊の指瀺を出すこずができれば、ミサむルが近くたで飛来しおから慌おお亀戊の準備をする、なんおいうこずにはならない。

぀たり、「発射時刻の予告」に盞圓する機胜を実珟するのが各皮の探知・远尟手段ずC2BMCの仕事であり、これらがきちんず機胜しおいれば、発射時刻の予告を受けるのに近い効果を期埅できる、ずいえる。かくしお「発射時刻を事前に知らされおいるから迎撃できるのだ」ずいう批刀の論拠は怪しくなる。

ただし、迎撃手段をあらかじめ、適切な堎所に展開しおおかなければならないずいう課題は残る。たた、飛来を感知しおから囜家指揮暩限者(NCA : National Command Authority)が迎撃の指瀺を出すのでは間に合わないから、すでに日本で行っおいるように、発射の兆候を把握した時点で事前に砎壊呜什を出しお、亀戊の暩限を䞎えおおくこずも必芁である。

珟堎が亀戊の暩限を䞎えられおいないのに独断でミサむルを撃ったのでは、軍隊の根幹である「指揮・統制」が成り立たない。事前に砎壊措眮呜什を出すこずは、迅速な芁撃ず指揮・統制の維持を䞡立させるために必芁なこずだ。

そのため、重芁なのは発射の兆候をできるだけ早く把握しお、適切な資産を展開しおおくこずである、ずいう話になる。

執筆者玹介

井䞊孝叞

IT分野から鉄道・航空ずいった各皮亀通機関や軍事分野に進出しお著述掻動を展開䞭のテクニカルラむタヌ。マむクロ゜フト株匏䌚瀟を経お1999幎春に独立。「戊うコンピュヌタ2011」(朮曞房光人瀟)のように情報通信技術を切口にする展開に加えお、さたざたな分野の蚘事を手掛ける。マむナビニュヌスに加えお「軍事研究」「䞞」「Jwings」「゚アワヌルド」「新幹線EX」などに寄皿しおいるほか、最新刊「珟代ミリタリヌ・ロゞスティクス入門」(朮曞房光人瀟)がある。